【意外!?】タネは、収穫後に採って、次の年に利用しているわけではない! | 農業・ガーデニング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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  • 【意外!?】タネは、収穫後に採って、次の年に利用しているわけではない!

    2022.08.25 雨のちハレ、ときどき農業生活

    昨年、往年の覆面プロレスラー・デストロイヤーさんに似ているところから命名された「デストロイヤー」と呼ばれるジャガイモを栽培しました。2000年に新種として登録されたこの新参者は、耐陰性があるため日陰でも栽培可能で、無農薬でも病害虫被害を受けずに収穫できるため「園芸革命をおこすジャガイモ」とも呼ばれている話を書きました。

    <関連記事:真夏にシチュー!? 名前とは対照的な優等生ジャガイモ「デストロイヤー」を食べてみた

    8000年の歴史があると言われるジャガイモは、品種改良の歴史でもあります。約1200平米の耕作放棄地を借りた友人のお手伝いする形で、リモートワークと並行しながら、100%オーガニックの鎌倉野菜を育てている『雨のちハレ、ときどき農業生活』でも、新しいジャガイモを育ててみました。それが『レッドムーン』です。

    市場に出回らない「紅メークイン」

    こいつ、紅いぞ!

    レッドムーンの形はメークインのような楕円形で、表面も同じようにつるっとしています。赤い皮をしているのが大きな特徴で、中身は黄色。まるでサツマイモのようです。デンプン価が低い粘質で、煮崩れや黒く変色しにくく改良されました。

    大量生産に向いていないため、あまり市場に出回ることはありません。なので、お店で「レッドムーン」を見かけた人は少ないんじゃないかな。我々のような小規模農園や家庭菜園向きの品種と言えるので、スーパーで売ってないジャガイモを栽培してみたい人にはオススメです。

    人類は暮らしをアップデートし続ける宿命にある!?

    収穫は引っこ抜くだけ。子どもでも簡単にできます。

    レッドムーンの味は、甘みと風味があり、煮崩れしにくいため、いろんな料理に使える守備範囲の広さで隠れた人気野菜でもあります。煮崩れしない特徴から、肉じゃが、シチューやカレーなどの煮込み系はもちろんのこと、皮付きのままでの「じゃがバター」や「フライドポテト」も試してみましたら、彩りも味も最高でした!

    そんな「レッドムーン」は、アメリカから輸入した種子から選抜・育成された固定品種として、1988年に品種登録に出願され、3年後の1991年に登録されました。出願時の名称は「レッドエコー」だったそうで、日本で品種改良されたものなんですね。

    農作物における品種改良で代表的なものはイネの「コシヒカリ」、ジャガイモの「男爵」、リンゴの「ふじ」といったものが身近なもとして挙げられますが、調べてみると、8000年の歴史があるジャガイモの品種改良が始まって200年くらいだそうで、ジャガイモは、品種改良をすると平均10年かかる難しい品種だそうです。

    左と真ん中がレッドムーン、右がメークインれっどむ。

    「人類の歴史は品種改良の歴史」と呼ぶ歴史家がいて、栽培しやすい品種で生産量を増やし、安価で、安定した食料確保につなげてきたことは人類の進化と隣り合わせでもありました。思えば、「徒歩から馬、自動車・飛行機へと変化した移動革命」、「松明からろうそく、そして現代のLEDと変化した灯りの進化」「狼煙や太鼓から始まり、飛脚が登場し、電話が生まれ、携帯電話・スマホへと変遷してきた通信革命」など、私たちは多くの分野でアップデートを繰り返してきました。

    暮らしをより良くさせるためのこれらの「生活改良」は人類の知恵の結晶なのかもしれないですし、昨今の農業でいえば、アグリテックとかバイオテックとかの分野として、ゲノム解析やAIの技術が加わりながら、改良の歴史は後世も続いていくのでしょう。

    “紅い月”の異名を持つ色鮮やかなジャガイモは、サカタのタネが開発!

    サカタのタネHPより

    さて、最後に余談ですが、この「レッドムーン」を作ったのは、国内最大手種苗メーカーの「サカタのタネ」です。この会社名、聞いたことありませんか? 

    種苗(しゅびょう)
    種苗とは、「植物の増殖・生産」に必要となる「タネ・苗・球根」などを総称する言葉で、「種苗業」とは「花や野菜の新しい品種を研究開発し、それらの高品質な種苗を生産・販売する」専門業のこと。古くは江戸時代のころ、優れたタネを育てた農家が、副業として周囲の農家へタネを販売したことが始まりと言われ、明治時代以降、農業の近代化とともに高品質な種苗が大量に必要となり、「種苗業」として専業化していった。(サカタのタネHPより抜粋)

     

    今から109年前の1913年、坂田武雄が欧米より帰国後、現在の神奈川県横浜市神奈川区六角橋に「坂田農園」を設立したのが始まり。翌年の1914年には欧米向けにユリ球根の輸出を開始し、1921年にはシカゴ支店を開設するなど、創業時からグローバルな視点を持っていたようです(凄い!)。1931年に品種改良を開始して今日に至り(一気に端折る!)、現在では売上高600億円を超える国内最大手種苗メーカーです。

    収穫後は、次の作物のために耕し直して、これで完了です。

    創業者・坂田武雄の物語のマンガがPDFで見れます。
    https://corporate.sakataseed.co.jp/company/hjk89n0000000hf7-att/takeo_sakata.pdf

    農地の片隅でダラダラと滝汗をかきながらの農業生活を始めて3年のわたしたちですが、全てではないですが、タネをサカタのタネのような種苗会社から買っています。”花や野菜を育てた後に自分達でタネを採って、それを次の年の栽培に利用している”と思っている人は少なくないと思いますけど(農業やるまで僕もそう思っていました!)、効率性や加工・貯蔵などの手間、うまくタネが採れなかったときのリスクなどを考え、タネのプロから入手することで高品質のタネを安定的かつ確実に入手する方を選ぶわけです。

    レッドムーンを栽培したことで、農業の流通の仕組みを知る機会にもなりました。真夏のホクホクのじゃがバターは、それはそれでビールが進む悪くない味でした。

    私が書きました!
    フリーライター
    山田 洋
    2020年3月から、「ときどき農業生活」を始める。きっかけは「耕作放棄地を農地に再生したい!」と、1200平米ほどの農地を借りた友人のお手伝いから。リモートワークと並行しながら、100%オーガニックの鎌倉野菜を育てるために雑草との格闘を続けている。

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