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雨の日こそ文化を学ぶ!キャンピングカーでめぐる網走監獄と阿寒湖アイヌコタン

2022.07.30

雨のイメージ

雨の日の楽しみ方

北海道キャンピングカーひとり旅。出発時から心配していた天候が、ついに本格的な雨になりました。こうなると景色を眺めるような景勝地や、山道などのワインディングロードは楽しめません。視界が悪く運転にも気を使います。

日本一周などの長期旅行をする旅人の中には、雨の日は動かず、連泊して晴れるのを待つという人もいますね。

私もひとところに長く滞在する旅の場合は、「明日は雨だから車内で仕事!」と割り切ってしまうこともあります。ソーラーパネルが稼働しないのは少々困りますが、直射日光にさらされないので車内で過ごすのに好都合という側面も。

ところが今回は移動を繰り返す旅。帰路のフェリーの都合などでタイムリミットがあるので、ここは少しでも予定をこなしたいところ。

「雨でも楽しめる」となれば企画展や博物館、美術館のような場所がぴったり。網走市には誰もが知るユニークな歴史的遺産があります。

そう、「博物館網走監獄」です。

「博物館網走監獄」で歴史を知る

網走監獄提供画像

正門(提供:博物館網走監獄)

※以下、規約にもとづき施設提供の画像を用いています。個人で楽しむための写真撮影は許可されていますが、詳細は現地でご確認ください。

人気漫画の舞台にもなったことから、これまで以上に幅広い世代から注目を集めている「博物館網走監獄」。明治時代から昭和後期まで実際に使われていた刑務所を、保存公開している野外歴史博物館です。現在の「網走刑務所」はまた別の場所にあります。

乗用車400台が停められる広大な無料駐車場があるため、キャンピングカーでも困ることはありません。ただし園内では展示から展示へと移動して歩くので、歩きやすい靴や雨具があるとよさそうです。

網走監獄提供画像

舎房及び中央見張所(提供:博物館網走監獄)。

中央の見張所から、すべての棟を効率よく監視できる五翼放射状房。

受刑者には余計な情報を与えないよう、逆に職員からは受刑者の様子がよくわかるよう、いろいろな工夫が凝らされています。それでも脱獄する受刑者がいたというから驚きです。房舎のどこかに脱獄囚がいますよ。

網走監獄提供画像

独立型独居房(提供:博物館網走監獄)。

園内には舎房のほかに職員官舎や農場、作業場などが点在しています。そして多くの場合、内部まで見学可能です。

監獄では冬の寒さが一番の敵だったそう。また、受刑者が非常に恐れたのが、狭く孤独な独居房だったとか。

網走監獄提供画像

休泊所(提供:博物館網走監獄)。

野外作業のときの仮の宿泊場所である「休泊所」。道路工事のときなどは、簡単に組み立て・解体ができる休泊所を移動させながら作業を進めていき、「動く監獄」と呼ばれていたそう。

作業の詳細は、後述する「監獄歴史館」でわかります。板張りの寝台に、丸太の枕ではとても眠れそうになく、毎日の肉体労働は大変な困難だったろうと思います。

網走監獄提供画像

浴場(提供:博物館網走監獄)。

網走監獄を特徴づけているもののひとつに、等身大の人形たちがあります。そこかしこに登場し、「リアルすぎる」「目が合いそう」など、クチコミでもたびたび話題に!

建物だけだったら素通りしてしまうような展示も、人形があるだけで具体的なイメージがわき、真に迫る臨場感を生み出しています。

網走監獄は、おそらく歴史や背景にまったく興味がない人でも、ささっと建物を眺めて歩くだけで十分に楽しめます。

「刑務所の裏側をのぞき見る」という体験自体が非日常的ですし、実物大の人形たちも話題性抜群。映画や漫画など多くの作品の舞台にもなっているので、ファンなら写真を撮る手が止まらないでしょう。

網走監獄提供画像

監獄歴史館(提供:博物館網走監獄)。

けれど、もし少しでも知識があれば体験の濃度が何倍にも増加します。監獄の歩みを紹介した「監獄歴史館」は、素通りせず丁寧に見学したい施設。網走監獄が北海道の歴史に与えた「意味」や「影響」を理解すると、見え方ががらりと変わるからです。

私もこれまで何度も北海道を訪れ、そのたびに札幌市時計台やサッポロビール博物館など主要な観光地を見学してきました。移動にはもちろん道路を使います。

それらが「開拓によって計画的に築かれたものであること」「国土防衛が大きな目的であったこと」「受刑者たちの労役で実現したこと」を改めて理解したときの衝撃。

「大名と城下町」をもとにする本州の主要都市とは、成り立ちがまったく異なる北海道の歴史を身をもって実感します。

「北海道っぽいマーク」としか思っていなかった札幌市時計台の赤い星も、北海道開拓使のシンボル。点と点だった情報が改めてひとつにつながるような感覚。意味を理解して初めて「そういうことか!」と開眼するような気持ちです。

網走監獄の監獄食

見学の最後には「監獄食堂」での「監獄食」(2種類/各900円)は欠かせません!現在の網走刑務所で収容者が食べている食事のメニューを再現したものだそう。

「臭いメシ」なんて言いますが、とんでもない!家庭的でボリュームも十分。再訪したらまた食べようと決めているくらい美味しいです。
なお、こちらの営業時間は11:00〜15:30(ラストオーダーは14:30)となっています。

雨のイメージ

退園する頃には雨足もだいぶ強くなっていました。網走監獄は屋内展示も多いですが、建物から建物へと移動するときには外を歩きます。

傘をさしていても、足元が濡れるのは避けられません。靴の中でタプタプと水音がして、どうにも不快です。雨の日の外出は本当にわずらわしい。

ただし、クルマにさえ戻れば着替えやタオルや予備の靴があることは、ちょっとした救いになります。家ごと移動しているキャンピングカーの面目躍如ですね。

「阿寒湖アイヌコタン」

阿寒湖アイヌコタン

続いて訪れたのが「阿寒湖アイヌコタン」。

今回の旅では、アイヌにまつわる場所をなるべく訪ねようと思っていました。きっかけは人気を博した漫画作品。少々ミーハーな動機です。

事前にインターネットサイトの写真などを見ると、阿寒湖アイヌコタンは展示施設というよりはショッピングストリートの雰囲気。さらに夜の写真も多かったので不思議に思っていたら、現地に来て納得しました。

阿寒湖温泉街に隣接し、宿泊した人がお土産を購入したり、夜に舞台を鑑賞したりするスポットなのですね。それと同時に、約120人のアイヌの人々が実際に生活を営むコタン(集落)でもあります。

阿寒湖アイヌコタン

傾斜地に20軒ほどの工芸品店や飲食店が並びます。私が訪れたときは雨のためか、あるいはコロナ禍のためか、とても静かでした。

阿寒湖アイヌコタンのシアター

しかし私の今日の目的は、シアター「イコロ」で上演される「ロストカムイ」という演目。チケットは大人1枚2200円ですが、各店舗で割引券を購入できました。

阿寒湖アイヌコタンのシアター

文章ではとても伝えきれませんが、ひとことで言うなら「圧巻」でした。デジタルアート、古式舞踊、現代舞踊を融合させたエゾオオカミ絶滅の物語。

実は後日、民族共生象徴空間「ウポポイ」でも伝統芸能を見ました。劇場のサイズや収容人数では、大規模なウポポイにはかないません。けれど、阿寒湖のほうが心理的にも物理的にもステージが圧倒的に近い。

なによりここは、アイヌの人々が仕事をし、学校に行き、次世代を育てて生活している地です。演者の息づかいまで伝わってくるような、魂が震える30分間でした。どちらがお勧めかと聞かれれば、私は間違いなく阿寒湖です。

阿寒湖アイヌコタン

これまでアイヌ民族については何度も教科書で学びましたし、学校行事で舞踊を見たこともあります。けれど、実際はまったくわかっていませんでした。言語についても「日本語のひとつの方言」くらいの認識だったのです。

しかし日本語とはまったく異なる言語体系の(正確には似た言語のない独立した言語の)アイヌ語は、いくら耳を澄ませても私たちに聴き取れる単語はありません。

同じ日本に、まったく異なる言語、信仰、文化をもった人々がいること。ごく近代まで、狩猟・採集生活を営んできたこと。開拓が始まる遥かに以前から、北海道各地で暮らしてきたこと。

知っているようで、実はまったく知らなかった事実が実感をもって迫ってきました。

贅沢すぎる「達古武オートキャンプ場」

達古武オートキャンプ場

(翌日晴天時に撮影)。

アイヌ舞踊の興奮覚めやらぬまま向かったのが、今日の宿泊地「達古武(たっこぶ)オートキャンプ場」です。

単に明日の行程にちょうどよさそうな場所だったから、という理由で選んだのですが、釧路湿原国立公園・達古武湖のほとりにあるという素晴らしい立地。

釧路湿原国立公園

(翌日晴天時に撮影)

目の前が湿原!信じられないくらい素敵なロケーションです。そのまま湿原にこぎ出せるカヌーステーションもありました。

達古武オートキャンプ場のセンターハウス

立派なセンターハウスにはコインシャワーや売店があり……

達古武オートキャンプ場の炊事棟

炊事棟もきれいに管理されています。

それでいて利用料はオートサイト1区画1290円に、入場料1人100円。電源使用料は追加で200円でした。

本州なら数倍の料金がかかるであろう設備の整ったキャンプ場が、道内ではどこも格安であることに驚きを隠せません。

達古武オートキャンプ場

自サイトから湿原を眺めるなんて、なんという贅沢。雨のため芝生には水たまりが生まれていますが、オートサイト部分は舗装されているので安心です。

食事イメージ

再びセイコーマート。コンビニ続きでお恥ずかしいですが、ひとり旅なら文句を言う人もいません。野外調理の難しい天気だったため、結果的には正解だったかもしれません。北海道らしいプライベートブランドを堪能しました。

私が書きました!
フリーライター
SAYA
グルメ、トラベル、車中泊、クルーズなどの記事を執筆しているフリーライターです。バンコンタイプのキャンピングカーで全国を巡っています。太陽も昆虫も苦手なインドア派ですが、車中泊×観光の組み合わせに無限の可能性を体感中。車を拠点にした遊びの話題をお届けします。
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