採れたて野菜をその場で料理!農園キャンプでシェフが作る絶品料理4皿と6つのポイント
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    2023.08.17

    採れたて野菜をその場で料理!農園キャンプでシェフが作る絶品料理4皿と6つのポイント

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    採れたて野菜をシェフが即興料理

    「いらっしゃい。今の時季は菜の花祭りだよ!」と出迎えてくれたのは茨城県土浦市で農園を営む久松さん。一同、早速長靴に履き替え、軽トラに乗り込む。案内された雨上がりの畑には、一面の菜の花が広がっていた。

    「クセのない小松菜やカブの菜の花は生のままサラダで。こっちのほのかな苦みを感じるのらぼう菜は、軽くソテーして使うのにいいかな……」

    まるでおもちゃを与えられた子供のように、シェフの横田さんはうれしそうに野菜をかじりつつ、久松さんと相談しながらメニューを決めていく。見よう見まねでカブの菜の花を口に運ぶと、苦みのないすっきりとしたカブそのもののような味わいが口の中に広がった。菜の花にも種類があるなんて、畑に来るまで考えてもみなかった。

    通常、野菜は流通にのって店頭に並ぶまでには、少なくとも収穫から1日以上かかってしまう。当然、もいだ瞬間から野菜の鮮度は落ちていく。そこで、「畑にある100点の状態の生きた野菜を、作り込んだ形ではなく、生産現場で美味しく味わってもらいたい」との思いから、彼らは農園で即興料理を振る舞う「Spot & Table」を始めた。

    ふたりはキャンプでも、各地で同じような楽しみ方をしているそうだ。久松さんによれば、「地元で買えば、なんでも新鮮というわけではありません。生産者が採れたてを持ち込む、道の駅や農家の軒下の直売所、スーパーなら『直売コーナー』をのぞくといいですよ」とのこと。

    露地野菜は季節に合ったものしか作れないので、必然、それらは旬の採れたて野菜に違いない。そんな鮮度が最高な食材を見つけられた時点で、キャンプ飯は成功したようなものだろう。

    シェフと生産者のやり取りが熱を帯びていくのをうれしそうに眺めつつ、絵美奈さんもテーブルセッティングを進めていく。

    「春はいつもこの時間になると、風が強くなるんです。お花が飛ばないようにしないと」と話すとおり、午後になって急に山から冷たい風が吹き下ろし始めた。

    「北関東の平野部では、この冷たい風が秋冬の野菜の味を濃く育ててくれます」(久松さん)

    寒さを耐え忍ぶ我慢強い秋冬の野菜は、味が濃いこと。温かい季節を待って奔放に育つ、春夏の野菜は瑞々しいこと。現場に身を置くと、季節ごとの野菜に特徴がある理由がよくわかる。

    テーブルに並んだ横田さんの料理は、目の前ですくすくと育つ野菜たちを慈しむように、シンプルな調理法と味付けで仕上げられていた。作りたいものに合わせて食材を組み伏せるのではなく、目の前にあるものに対して自由に、柔軟に。

    「結局、鮮度のいい食材を使うと料理はどんどんシンプルになっていく。キャンプだからと気張らずに、普段の得意料理をアレンジしてもいいと思います。新鮮な地の食材で作れば、自然と特別な料理になるんです」

    旬の食を楽しむことは、訪れた土地をより深く観察し、知ることにもつながっていく。はしゃぐ子供たちを呼び寄せて、ダッチオーブンの蓋を開けると、「わーっ!」という歓声が畑に響く。畑に特設レストランがオープンするころには、すっかり風は止み、分厚い雨雲が吹き飛ばされて青空が広がっていた。

    料理人×農園が提案する「Spot & Table」とは?

    「その日、その場所で採れた野菜を使った料理を味わうこと」をテーマに据えた屋外レストランイベント。料理人・横田さんと農業人・久松さんの出会いに端を発し、季節行事として久松さんの農園で定期開催してきた。参加者はまず、久松さんの案内で農園を巡り、その後、畑に設けられたテーブルで、目の前に実る野菜を使った横田さんの即興料理を味わうという仕組み。

    横田シェフファミリー

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    横田 渉さん、絵美奈さん、りりぃちゃん。即興料理を得意とする素材料理人。絵美奈さんと「food & design CONVEY」を運営。今夏、青森・鯵ヶ沢へ移住予定。著書に『やっぱり肉料理』(大和書房)ほか。conveyfood.com

     

    久松農園ファミリー

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    久松達央さん、奏子ちゃん、みすずちゃん。年間70品目以上の有機野菜を露地栽培する理論派の農業人。夏に3冊目の著書『農家はもっと減っていい(仮)』(光文社新書)を刊行予定。野菜の注文はHPから可能。hisamatsufarm.com

    5月以降にぜひ食べてほしい!茨城・土浦エリアのおすすめ野菜

    •  春キャベツ
    •  小松菜
    •  カブ
    •  ソラ豆
    • スナップエンドウ
    • インゲン

    今回の瑞々しい主役たち

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    左から 菜の花(のらぼう菜、カブ、小松菜) ・葉ニンニク・コーラルリーフ ・リーフレタス ・サニーレタス ・冬ニンジン ・春キャベツ ・イタリアンパセリ&セロリの葉 ・ジャガイモ ・エシャロット

    春は気温の上昇と共に、野菜の生長速度が一気に早まる季節。大気や土壌の湿度と比例して、野菜の含水量も高まり、瑞々しい野菜が増え始める。後半になると、豆類やトマト、玉ネギなど、初夏の野菜も登場する。

    キャンプの食卓をより美味しく彩るためのヒント

    POINT 1 訪れる地域のことを出かける前に調べてみる

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    キャンプ地周辺の名産品、旬の野菜、地酒や調味料を出発前にチェック。行き当たりばったりの食材探しもいいけれど、知識は最良の食材に辿り着くための近道になる。郷土料理にもヒントがあるので調べてみよう。

     

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    菜の花だってそのまま食べられる

    POINT 2 食材との出会いは一期一会。メニューは決めすぎないこと

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    どのような食材に出会えるかは現地に行ってみないとわからない。なので、出発前は「絶対にこれを作る」と決めすぎないほうがいい。ふたりは畑で野菜を味見しながら使い途を決めていた。発想勝負!

    POINT 3 調理道具は自宅でも使い慣れたものがベスト

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    横田さんはキャンプ専用の調理道具は持たない。使い込んで短くなったナイフから100均のミニトングまで、どれも普段から使い慣れている道具ばかり。それらを味のあるレザーケースにまとめている。

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    収穫カゴをテーブルに活用

    POINT 4 シンプルな味付けや調理が食材を活かしてくれる

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    使った調味料は塩、胡椒、オイルのみ。調理工程も至ってシンプルだ。シェフ曰く、「調理とは食べづらいものを食べやすくするためのもの」なので、良い食材には最低限の調理で十分だ。

    POINT 5 盛り付けやスタイリングも料理の美味しさを左右する

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    盛り付けやスタイリング次第で、不思議と味の感じ方は変わる。料理と同じく、その日、その場所にあるものを活用しよう。1か所、カラフルなポイントを作ると全体が映える。

    POINT 6 複数の料理を同時に提供できるよう逆算する

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    完成時間を逆算し、料理を同時に出せると、テーブルが華やぎ、調理した人も一緒に食べられる。火の通りやすい料理に合わせて、煮込みやサラダは先に仕込んでおくと調整しやすい。

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    これからの時季は一気に瑞々しい野菜の選択肢が増えていきます

    さすがプロの技!美味そうすぎなシェフの即興料理

    キャベツのブレゼ(蒸し煮)

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    ニンジンラペと春野菜のサラダ

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    おかわりしてもいい?

    スルメイカと菜の花のソテー

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    フォカッチャ

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    BE-PAL的農園キャンプ料理を楽しむPOINT

    1. 旬を探すなら地元の「直売所」
    2. 良い食材の調理はシンプルに
    3. 何より「採れたて」野菜が一番
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    野菜が実る環境で食べてほしいですね

    ※構成/池田 圭 撮影/熊原美惠(BE-PAL 2022年6月号より)

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