ヒルクライムの適度な地獄感が味わえる『和田峠』、ご利用は計画的に!
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    2022.01.23

    ヒルクライムの適度な地獄感が味わえる『和田峠』、ご利用は計画的に!

    自転車で峠道を登る「ヒルクライム」の喜びと地獄感

    40歳を過ぎ、思うところあってロードバイクを手に入れて1年弱。なぜ平日の仕事で疲れ切っているはずの自分が、どうしたってつらいヒルクライムに挑むのか。なぜ貴重な休日を費やして、何時間もサドルに跨ってペダルを回すのか?何かにラリってるとしか言いようがないが、気づけば今週末も峠に向かい、ヒルクライムの面白さ、楽しさを探っている。

    ヒルクライムをめぐる自問自答をしつつ、年明け早々に向かったのは『和田峠』(東京都八王子市~神奈川県相模原市緑区)。筆者の暮らす横浜や東京からのアクセスも良く、適度な地獄感(ヒルクライマーの喜び)も味わえる峠だ。

    難敵『お布団峠』を超えれば、峠までは順調

    2022年も明け、正月のちょっとした義務も終了した1月3日。新年一発目の「走り初め」をしようと和田峠を選んだ。

    前日は早めに布団に入り、朝7時に目覚ましをセットしたのに“お布団峠”を超えて愛機のGIANT/TCR Advanced2 DISC SEに跨ったのは9時。正月ボケのせいなのか?気温のせいなのか?目覚ましが鳴ってから1時間くらい布団の中でだらだらと過ごしてしまった。

    家を出たタイミングでの気温は3度C程度。寒いので、長袖メリノインナーに長袖のサーマルジャージを着用、その上からソフトシェルのジャケットを着て、下はサーマルビブタイツに足首まであるシューズカバー、もちろんヘルメットの下には耳まで覆うことができるインナーキャップという格好で家を出た。

    よく晴れたお正月の三が日なのでそれなりの交通量は予想していたが、まだ朝のためか予想外に道は空いている。みんなやっぱりお布団峠を超えるのが難しいんだな♪

    町田街道をゆるゆる流していると、脇道からいいペースの3人組が出てきたので、一言断って後ろに付かせてもらう。皆さん涼しい顔で(見えないけど)淡々と進むが、こちらはついていくので精一杯。橋本辺りで彼らは道志方面へ行ってしまったので、その後は再びぼっちに。

    町田街道と尾根幹の交差点。都内からのアクセスも抜群。

    しかしながら、先ほどのいいペースで体に熱が入ったのか、その後は順調に高尾駅を通過。甲州街道をまたぐ際に、秋には金色に輝いていたイチョウ並木がすっかり禿げ上がっており、季節の移ろいを感じる。

    町田街道と甲州街道の交差点。秋になるとイチョウ並木が金色に輝く。

    甲州街道を超えるとこの道は高尾街道と名前を変え、しかしその道もちょっとした丘を登って下り左折して美山通りへ。美山通りは霊園をかすめる形となるので、沿道の花屋に立ち寄る路上駐車のクルマに気をつけなければいけない。アップダウンもあり正直この道はあまり好きではない……。

    甲州街道を超えると町田街道は高尾街道へ名前を変える。

    甲州街道を超えると町田街道は高尾街道へ名前を変える。

    トンネルをくぐり、陣馬街道へ入る手前で本日初のコンビニ休憩。ここまで自宅から40km強、時間にして2時間ちょっと。ここが和田峠に入る手前のラストコンビニ。このコンビニの駐車場は広く、この日もこれから和田峠にアタックする10台くらいのグループとも遭遇。皆さん新年早々好きですねぇ。

    美山通りと陣馬街道の交差点。

    美山通りと陣馬街道の交差ポイントにあるコンビニでの補給がオススメだ。

    のどかな風景が一転、うっそうとした山道へ

    しばしの小休止とおにぎり2つの補給の後、いよいよ陣馬街道へ。陣馬街道へ入るとそれまでの風景からガラッと変わり一気に里山の風景へ。北浅川という小さい川と並行するように、1~2%程度の勾配の道を進んでいく。

    北浅川沿いを走る陣馬街道。

    北浅川沿いを走る陣馬街道。時間の流れがゆったりとなる。

    道自体は非常に分かりやすいが、1か所、道が二股に分かれるところがあるので、こちらは『陣馬高原』方面の左へと進んでいく。マイペースを保ちながら、まだ民家が多少ある景色の中を進んでいき、ほどなくふもとに12時過ぎに到着。

    陣馬街道の分かれ道。

    陣馬街道の分かれ道。こちらは案内看板通り『陣馬高原』方面へ左折。

    ここに到着するちょっと前にある農村体験型施設「夕やけ子やけふれあいの里」を超えたあたりで、沿道の植物に霜が付いているのを見て路面凍結に気をつけねば、と気を引き締める。有名な陣馬亭の看板の前で写真を1枚撮り、息を整えてスタートし、ほどなくゲートを通過。

    和田峠へ向かう道中にある陣馬亭。

    和田峠に来た人は必ず一度は写真を撮る陣馬亭。近くに陣馬そば山下屋があり休憩&補給もできる。

    よく言われるが、このゲートは地獄の入口にしか見えない。『和田峠』のスペックとしては、距離3.5km、獲得標高:364m(最大標高691m)、平均勾配10.4%と距離こそ短いものの常に10%以上の勾配を登らされ、最大勾配は18%にも達する、まぁしんどい峠である。

    しかしながら、筆者は初めてこの峠にチャレンジした際にそこまで深刻に捉えてはいなかった。なぜなら、その際に先ほどの二股に分かれる場所を過ぎたあたりで颯爽と筆者を追い抜いて行った明星大学の自転車部員たちが、早々に疲れの色も出さず涼しい顔で下ってきたからだ。「まぁ、距離も短いし、彼らがあんなに早く下ってくるのであればそこまでひどい目にはあわないだろう……」と。

    いま思うとはっきり言って認識が甘すぎる。まず、明星大学は全日本チャンピオンも輩出するロードレースの名門という事実を、その時点で筆者が知らなかったこと。それに加えて、この峠のスペックとして、勾配がほぼ10%を切らないという現実がどういうことか、理解できていなかったのだ!

    ヒルクライマーには地獄の入口に感じられるゲート。

    例の地獄のゲート。

    登れども、登れども頭上には坂…

    地獄の入口ゲートを通過して、GARMINの勾配計は7%~8%程度。路面は多少荒れており、水が出ている場所も何か所かあるので注意が必要だ。この日も1か所、水が出ている場所のグレーチング(アミアミの金属製ふた)付近が凍結しており、筆者はそこで後輪を滑らせてしまい落車をしそうになったが、うまいことクリートをペダルから外すことができ、事なきを得た。

    凍結したグレーチング。

    筆者がやられかけたグレーチング。冬の山道はこのような危険な箇所があるので十分注意したい。

    基本的に峠は“足つきナシ”で登りたいのだが、この様な危険な場所はあらかじめ自転車から降りて進むことが必要だと再確認した。また、ハイキングコースの入口までは、陣馬山を目指すハイカーが何組か歩いており、道幅も広くないので多少気を遣う。

    この『和田峠』は基本的に見晴らしがいいようなところはほとんどない。その上、車通りも多いわけではないがそれなりにあり、場所によっては離合するのに手間取り、道を塞いでいる場合もあったりするので注意が必要だ。

    陣馬山ハイキングコースの入口。

    陣馬山ハイキングコースの入口。ここまでは歩行者もいるので注意が必要。

    このコース、前半は緩いカーブをつなげていったような線形を描いており、直登に近いような上り坂である。感覚的には、『ヤビツ峠』(神奈川県秦野市)の蓑毛とか、『足柄峠』(神奈川県足柄市~静岡県駿東郡小山町)地蔵堂付近の道幅をもっと狭くした感じだ。

    筆者はこの前半戦でかなりいっぱいいっぱい。景色も杉の木が立ち並ぶ風景ばかりなので、かなりうっそうとしている。進行方向の右側は切り立っており、落石防止のネットが張られた崖で、左側も山の斜面が迫っているので圧迫感もすごい。

    ハイキングコースの入口を超えると、10%をほとんど切らない勾配と相まって、この景色がいつまで続くのか不安になってくる。

    和田峠までの距離標示。

    峠までの距離標示。ヒルクライム中に目に入ることはほとんどない……。

    頭上に道がある後半戦

    すでに心拍は170bpmを超えてきている(筆者は40歳代前半なので最大心拍は220-40=180程度)。事前に距離が3.5km程度というのは頭に入っていたのだが、スタートした際の距離を見忘れたので、もはやよく分からない状態に。

    ひいひい言っているとヘアピンカーブが目の前にあり、ここからさらに勾配がきつくなる「つづら折り区間」だ。

    その後、崖を左手に見ながら次の左ヘアピンカーブへ。このコース道幅が狭いので、大回りで勾配をいなす貧脚テクニックもあまり効果がない。手元のGARMINの勾配計は18%!を表示。

    頭上に道が続く急勾配。

    頭上に道がある。急勾配がよくわかる。

    心が折れそうになるつづら折りの急勾配。

    写真中央にこれからたどり着く先が見えてしまうので、心が折れないように注意が必要。

    急角度のヘアピンカーブ。

    右ヘアピン。ここだけは道が広くなっているので、しっかり外側を走り勾配をしのぐ。

    追い抜いてしまった以上、頑張るしかない…

    しばらくすると、さっきのコンビニで一緒になり、先に出て行ったグループの最後尾を捉えるが、みなさん苦労されており、少しでも勾配を緩めようと斜めに走っているので、「右から抜きまーす!」など声をかけつつ注意深くパスしていく。

    ホントはこちらもギリギリなので、ちょっとペースを緩めたいのだが、追い抜いてしまった以上、頑張るしかない。自転車乗りは基本的に見栄っ張りなのだ。その後一瞬目の前が広がった場所があり、ゴールが近いことを確信できる。

    とはいえ、その後も左のヘアピンコーナーがあり、最後の脚をガッツリ削り取られて、なんとか峠に到着。

    後にサイクリストやランナーなどのためのアプリ「Strava」のセグメント表示を確認したところ、この日のタイムは23分42秒。ちなみに筆者がこの原稿を書いている際のStravaのKOM(キング・オブ・マウンテン=区間1位)のタイムは12分14秒。何度生まれ変わってもそんなタイム出せそうにはない。

    ゴール近くにある和田峠(八王子側)の見晴らしスポット。

    和田峠(八王子側)唯一の見晴らしスポット。ここまでくればゴールはあと少し。

    最後の左ヘアピンカーブ。

    最後の左ヘアピン。ここからはラストスパートしてもきっと大丈夫。

    峠を超えたら素晴らしい景色が!!

    峠にはちょっとした軽食が取れそうな峠の茶屋があり、そこで何かを頂こうと思ったのだが、なんだかちょっと混んでいたので、その先まで進むことにした。峠から少し下ったところに、非常に見晴らしがいいベンチが設置している場所があるのでそちらでひと休み。

    ここからは、丹沢の山々や相模湖、さらには富士山まで見渡せる素晴らしい展望を味わうことが出来る。スポーツようかんとボトルの水と景色で心と体を癒やしていると、車でいらしたご夫婦に「ここまで自転車で来たんですか??」と話しかけられる。

    非常に感心をしてくれているような事を口にしているが、その顔には「アホなことしてるな!コイツ!!」とはっきり書いてある。まぁ、よくあることだし、自分でもそう思う。しかし、さっきまでツラかったし、もう二度と来ない!と思っていたのに、「あのグレーチングでの足つきがあったので、暖かくなったらもう一度リベンジに来よう……」と考えている自分がいた。

    登っている最中は何でこんなとこ来たんだろう?と思い続けていても、峠に無事ついてホッとしているうちに、楽しかった!となるのがヒルクライムの醍醐味。

    その後、裏和田と呼ばれる道を下り、JR中央本線の藤野駅に出て相模湖-津久井湖経由で帰るという案も頭によぎったのだが、この先も山あいを縫っていくダウンヒルとなるので路面凍結箇所など危険予測が難しい。思案の末、来た道を戻ることにした。

    下り始めたのは13時過ぎなので一日でもっとも気温が高くなる時間のはずなのだが、サイコンの温度計は3度C程度を示しているので、本当に寒い。寒いと体も硬くなりコーナーリングも上手くできなくなるので、フロントブレーキをしっかりかけつつゆっくり下るのだが、それでも寒い。特に肌が露出している部分は本当に寒いので、ネックウォーマーを鼻まで上げ直す必要があったほどだ。

    この後、途中のコンビニで補給をしつつ、町田街道をひたすら走り自宅に着いたのは16時過ぎ。やはり、帰り道は非常にクルマが多く注意を要した。自転車趣味は何かあると、身体へのダメージが非常に大きいので用心しすぎる、という事はない。

    和田峠はヒルクライム好きの自転車乗りの間では非常に有名であり、それなりの地獄を味わえるという事もあり“初心者向け”とは言い難いが、アクセスの良さや季節のいい時であれば他の峠との接続も非常にいい場所にあるため、おすすめのヒルクライムスポットである。

    和田峠からの下りの途中にある見晴台。

    藤野側に少し下った場所にある見晴台。せっかく和田峠に来たのであればこの景色を味わってほしい。

    和田峠

    【ヒルクライムのレベル】

    短いけどカツン!と来る本格派。後半厳しくなるので、ご利用は計画的に!

    【峠スペック】

    距離:3.5km
    平均斜度:10.4%
    獲得標高:364m
    最大標高::691m

    【走行ルート】

    横浜市の西側の自宅-境川サイクリングロード(境川ゆっくりロード)-町田街道-高尾街道-美山通り-陣馬街道-和田峠(帰路はこの逆)

    【この日の走行距離、所要時間】

    走行距離:114.2km
    所要時間:7時間20分

    私が書きました!
    休日ヒルクライマー
    坂ノ上  至(さかのうえ いたる)
    横浜生まれ、横浜育ちで、横浜市内の会社に勤務する40代男性。キャリア1年未満の初心者ヒルクライマーながら、多忙な日々の隙を突いて神奈川近郊の峠に日帰り・自走でチャレンジしている。今後は、車も活用した日帰り遠征なども検討中。

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