キャンプの予定が決まったらネットで注文して、自宅か現地で受け取り。保管場所もいらなければ、雨のあとのメンテナンスも不要。アウトドア道具は賢くレンタルする時代がやってきました!
これ全部 借りものです!
上の写真は今回「そらのした」でレンタルした道具。焚き火台、チェアなども借りられる。自分で用意するのは、着火器具、燃料、カトラリー、薪、食材、服ぐらいだ。
ノルディスクやMSRのテントに、ソロキャンセットや焚き火セットまで。これすべて、レンタルサービスの話。全国どこにでも発送できるアウトドア用品レンタルサービスの最新事情を探ってみた。
高いテントを試してみたい!
2010年6月に大阪で起業し、現在は、山梨県富士吉田市を拠点にする「そらのした」代表の室野孝義さんに、サービス提供のきっかけを伺った。
「学生時代に登山を始めたとき、5万円以上するテントの違いがわからず、試せるサービスがないか探したんです。当時は、そんなサービスがなく、結局、安いテントを買いました。そのとき、ちゃんとしたテントを試せれば、機能に納得して5万円のものを買ったでしょう。そんな思いから、会社員をしながらレンタルサービスを開始しました」
山ガールブームやフェスブームに後押しされ、レンタル事業は急成長。会社を辞めて山梨に移転。現在は、キャンプ用品から登山用のウェアやシューズまで取扱品は多岐におよぶ。
「レンタル業を続ける中で、メンテナンスの重要性に気づきました。自社でクリーニング設備を導入し、シュラフは毎回、クリーニングして提供しています。ウェアの撥水加工もバッチリです。いいコンディションの道具を安心して使っていただきたいですから。道具の置き場所、メンテナンスの手間を考えたら、買うより借りたほうがお得と考える方も増えてきました」
初心者が登山道具を選ぶハードルを下げる
登山用品の部門では、エベレストサミッターの山田淳さんが「やまどうぐレンタル屋」を、2010年にスタートした。
「適切な道具を使っていれば事故の確率を低く抑えられ、登山をより楽しめます。最初は、富士登山のお客様をターゲットに、安全かつ低予算で楽しめるサービスとして始めました。富士登山には、購入すれば5~8万円の本格的な登山装備が必要です。このハードルを低くすれば、もっと多くの人が山を楽しめるようになる。そんな思いで創業者の山田が始めました」
そう話すのは、店長の松原慶明さん。登山用品6点セットで、1万円強という手軽な価格に加え、初心者が専門店で見慣れない道具を選ぶ難しさを省いたことで、これまで、のべ20万人以上のユーザーが利用した。
クルマごとキャンプ道具をレンタルできる
カーオーディオで知られるアルパインは、総額70万円ほどのキャンプ道具を積んだクルマごとシェアできる「STORYCA」というサービスを展開。新規参入する企業も増えている。
道具を選び所有する喜びも捨てがたい。しかし、数えるほどしか使わないものや、メンテが大変な道具は、割り切ってレンタルにすることで、無駄な消費の削減にも貢献できる。
レンタルならこんなに手軽!
冬ソロキャンプセット一例
レンタル料金(1泊2日+保険料):17,478円
冬ソロキャンプセット1泊2日のレンタル料金(保険料込み)と、購入する際の参考価格を比較してみた。
下左からEPI/ATSチタンクッカーTYPE-3SET、モンベル/2way LEDランタン(旧製品)、プリムス/エクスプレス・スパイダー ストーブII、イスカ/コンフィライトマットレス 180、ナンガ/UDD BAG810DX、モンベル/ルナドーム2
以上、6点全部買うと…はたしていくらになるか?
購入した場合の総額:155,180円
その差額は、なんと13万円以上にもなる。よっぽどのお金持ちじゃないかぎり、最初からこれらの道具をすべてそろえるのは難しいわけで、レンタルはすごくありがたいサービスといえそうだ。お得感あり!
今回借りたテントの説明書。初めて張るテントでも取扱説明書が同梱されているから安心。防水のためにラミネートされていた。
そらのしたの倉庫にお邪魔した。大型テントから、登山用品まで、きれいに整備されて出番を待っている。
問い合わせ先:そらのした https://www.soranoshita.net/
レンタル業者の個性が光るこだわりのアイテム
やまどうぐレンタル屋
「やまどうぐレンタル屋」で一番人気の「初心者まるごと6点セット」は、1泊2日で10,500円。新宿には、試着ができる直営店があり、サイズ確認もできる。
問い合わせ先:やまどうぐレンタル屋 https://www.yamarent.com/
STORYCA
5人分のキャンプ道具を搭載したデリカD:5を、まるごと借りられるカーシェアリングサービスが人気を集めている。
問い合わせ先:アルパイン https://www.alpine.co.jp/emotion/storyca
※構成/山本修二 撮影/花岡 凌 撮影協力/西湖・湖畔キャンプ場(BE-PAL 2022年1月号より)