コロナの逆境にも負けない!ローカルに根付いたクラフトビールまとめ(その1) | サスティナブル&ローカル 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2021.09.15

    コロナの逆境にも負けない!ローカルに根付いたクラフトビールまとめ(その1)

    20211月よりBE-PAL.NETでスタートした、ローカルに根づいたクラフトビールを紹介しているシリーズ連載。長引くコロナ禍の影響によって外食需要が激減する中、各地のクラフトブルワリーは地域でどんな役割を担い、クラフトビールを作っているのだろうか?今回は20211月から3月に掲載したクラフトビールをまとめてご紹介したい。

    石巻市の地域就支援施設、イシノマキ・ファームで作られる「巻風エール」

    宮城県石巻市の北部、北上川の河口に近いイシノマキ・ファームは、地域の就労支援を行なう一般社団法人。そこで作られるクラフトビール「巻風エール」は、爽やかなホップの香りがする。ほんのりした苦み、エールらしい華やかさ。フルーティですらある。しかしイシノマキ・ファームにブルワリーはなく、醸造は岩手県一関市の世嬉の一酒造に委託。イシノマキ・ファームがつくっているのは国産のホップで、ビールの苦みと香りづけに使用されている。

    クラフトビール「巻風エール」。

    スタッフの加納実久さんによると「巻風エール」の名前は「石巻は風が強い地域なので、そんな情景も思い浮かぶように」ということに由来。さらに震災のとき以来、いろいろ支援していただいた石巻から、今度は風に乗せてエールをお返ししたい。そんな気持ちも込められている。

    イシノマキ・ファームのスタッフ。後列右が加納実久さん。前列左が代表の髙橋由佳さん。ホップ畑は現在約40アール。今後、拡大予定。

    コロナ禍の影響で、これまで東京の飲食店に卸していた「巻風エール」の出荷量は激減。一方で、宮城県内はじめ国内数か所のクラフトブルワリーからホップの注文が激増し、すでに品薄状態になっているという。ここ12年、国産ホップを使いたいというブルワリーが確実に増えているそうだ。

    ローカル×クラフトビール|イシノマキ・ファーム「巻風エール」で北上町からエールを送りたい
    https://www.bepal.net/natural_life/farming/132438

     

    リヴシー夫妻が生み出す樽熟成(バレルエイジ)にこだわった熟成ビール

    2014年、イギリス人のリヴシー・トーマスさんと、日本人の絵美子さんの夫婦が、長野県の野沢温泉にクラフトビールブルワリー「AJB Co.」を開いた。2012年にリヴシーさんたちは野沢温泉へ移住。しかし野沢温泉では料理に合わせるビールのバリエーションが少なく、クラフトブルワリーもない。そこでかねてから地域に根ざし、野沢の魅力発信につながる事業をしたいと考えていたリヴシー夫妻は、自らのクラフトビールづくりを思い立った。トーマスさんはは若いころに醸造を経験があり、技術も持っていたのだ。

    AJB Co.を経営するリヴシー夫妻。

    AJB Co.は小さな町で温かく迎えられた。2016年には廃園になった村の保育園を改造することで、醸造所を拡大。そこでリヴシー夫妻が力を入れたのが、バレルエイジドというビール。スコッチやバーボンなどウイスキーの木樽(バレル)に入れて、時間をかけて熟成させる。一般的なエールの熟成期間は半月から1か月ほどだが、バレルエイジドビールは1年から3年ほどかけて世に出るのだ。

    AJB Co.の熟成ビール。

    コロナ禍でビールの売上は大幅減となったが、木樽に加えて日本初となるフーダー樽を導入して2年が経過。満足いく樽が増えている。これをうまく自分たちのシグニチャーとして、売り出していく予定だ。

    エールの本場からやって来たリヴシー夫妻のバレルエイジドが、野沢温泉名物になる日https://www.bepal.net/natural_life/133525

     

    キッチンカーに想いを馳せる兵庫県丹波篠山「ZIGZAGブルワリー」

    ZIGZAGブルワリーのクラフトビール。

    兵庫県丹波篠山に位置する、その町で生まれ育ったビアマニア・山取直樹さんが2012年に設立したZIGZAGブルワリー。2021年に10年目となるが、山取さんの家業は新聞販売店で、今も2つの仕事を併行している。山取さんは自分の造るビールを「趣味のビール」と呼んでいる。ZIGZAGブルワリーのビールは、ひとことでいうならフルボディ。丹波名物の黒豆を副原料に使った「黒豆Imperial IPA」は、IPAでも濃厚な甘みを有する。

    ZIGZAGブルワリーの移動車「幸せの一杯号」。

    2019年より山取さんは「幸せの一杯号」と名付けたキッチンカーに乗って、お祝い事やイベントでビールを販売していた。キッチンカーは2020年も活躍するはずだったが、コロナ禍によりイベントは軒並み取りやめに。人の集まるイベントに出動するのは、当面は難しいかもしれない。しかしいつの日か人の集まる場所に、「幸せの一杯号」が停まっている風景がみられるかもしれない。

    丹波篠山を駆けろ!クラフトビールと夢を載せた「幸せの一杯号」
    https://www.bepal.net/natural_life/136085

    高知だからこそできるビール造りにこだわる「高知カンパーニュブルワリー」

    高知県でTOSACOビールを造る「高知カンパーニュブルワリー」。代表の瀬戸口信弥さんは大阪で生まれ育ったが、妻の兄が高知大学の学生で、結婚前の妻といっしょに何度か高知を訪ねるうちにすっかり気に入ったのだという。

    ゆず収穫中の瀬戸口さん。農家の人に教わって収穫方法も身についてきた。

    はじめに造ったビールは、高知産のゆずを使った「ゆずペールエール」、土佐文旦の果皮を使った「TOSACO IPA」、高知県産の米と仁淀川山椒を使った「こめホワイトエール」の3種類。これは現在に至るまで高知カンパーニュブルワリーの定番である。「大阪でも造れるようなビールではなく、高知だからこそできるビールを造りたい」瀬戸口さんのそんな想いにより高知の農産物を副原料に用いたエールを造ってきた。

    TOSACOは高知カンパーニュブルワリーのブランド。定番の「ゆずペールエール」「TOSACO IPA」「こめホワイトエール」に加え、旬の農産物を使ったエールがリリースされる。

    現在はオーダーメイドの注文も入るようになり、カツオで有名な「道の駅中土佐」から、特産品のイチゴを使った、道の駅オリジナルブランドビールをつくってほしいと注文されたという。瀬戸口さんはこうしたOEM生産にも取り組んでいくつもりだ。

    大阪から来た男が「高知ビアツーリズム」をめざして奮闘中!
    https://www.bepal.net/natural_life/134979

    地域活性化にも貢献! 独自の醸造法「石見式」を生みだした石見酒造

    島根県江津市に位置する石見麦酒は、「石見式」(いわみしき)と呼ばれる独自の醸造法によりクラフトブルワリー業界では知られた存在だ。生みの親である山口巌雄さんはブリュワーの技とビジネスの手腕をもった起業家で、2017年に島根県江津市(ごうつし)でブルワリーを稼動させた。

    石見麦酒の定番ビール。左から「ドライスタウト」「ハニードラフト」「セゾン」「セッションIPA」「ベルジャンホワイト」「アメリカンペールエール」。

    山口さんは大学卒業後に大豆を醸造する味噌メーカーへ就職。石見式は、味噌づくりのノウハウを応用して生まれた。通常ビールの醸造にはステンレス製のタンクが使われるが、石見式では断熱材入りの木箱にポリ袋をセットし、その袋の中で発酵と醸造させるのだ。ステンレス製のタンクだと仕入れるだけで数百万円かかるが、この醸造装置なら15万円程で買えるという。

    江津市の温泉リゾート風の国。中央に見える三角屋根の建物が石見麦酒のブルワリーとタップルーム。その後ろに建つのがイチゴの栽培ハウス。

    山口さんは島根県江津市のビジネスプランコンテストに、独自製法のクラフトビーで応募。見事に大賞を受賞し、市からの事業支援も得て、石見麦酒を設立した。さらにコロナ禍の最中、石見麦酒はさらに山深い地へ移転。そこはかつてバブルの時代につくられた温泉リゾート施設で、中央に建っていたランの培養施設を石見麦酒のブルワリーとタップルームにリニューアル。ラン栽培に使われていたビニールハウスはイチゴのハウス栽培に転用され、イチゴ狩りが楽しめるようになった。石見麦酒は江津市の経済活性化に貢献しているのだ。

    ビールの裏ラベルの秘密…、実は隠れた特産物の生産者情報になっていた!
    https://www.bepal.net/natural_life/140600

    ファンキーなデザインの缶が目を引く、神奈川県鎌倉市「ヨロッコビール」

    ファンキーな缶ラベルが目を惹くヨロッコビールのブルワリーがあるのは、神奈川県鎌倉市。創業者で代表の吉瀬明生(きちせあきお)さんは横浜市の出身。創業時は逗子市に構え、現在よりずっと小さなブルワリーだったという。しかも1年目は赤字で、造れば造るほど赤字はふくらむばかり。しかし利益は出ないが味は好評で、造れば造るだけ売れたという。

    柚子の山。柚子のほか、夏みかんや梅、ブルーベリー、マルベーリー(桑の実)などもよく栽培されている。神奈川県の南部は柑橘類地帯だった。

    逗子や葉山あたりは柑橘類の樹が多い。温暖な気候であることに加え、1959年(昭和34年)に皇太子の結婚を記念して御用邸のある葉山町が、町民に夏みかんを配ったことから、夏みかんの植樹が流行ったのだ。庭先に植えた夏みかんは食べ切れないほど成り、ヨロッコビールにも持ち込まれた。

    ヨロッコビールの左から「セゾン」「ホッピーラガー」「へレスラガー」「IPA」。ラベルは地元のイラストレーター花井祐介さんによる。

     ヨロッコビールは20194月に現在地に移転。2020年にはビールの缶詰機カンニング・マシーンを導入した。日本のクラフトビール業界で缶ビールを販売しているブルワリーは少数だが、ヨロッコビールの定番は缶ビールなのだ。また昨年から主原料の麦芽に「有機農産物」を使うことにするなど、つねに新しいことを取り入れている。

    鎌倉、藤沢、逗子、葉山……風景に溶け込むクールなヨロッコ缶ビール
    https://www.bepal.net/natural_life/141360

     

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