人気急上昇!新星ブランド「ゼインアーツ」の超お値打ちテントができるまで | アウトドアブランド 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2020.10.23

    人気急上昇!新星ブランド「ゼインアーツ」の超お値打ちテントができるまで

    かつてない〝超お値打ち〟テントを引っさげて日本のアウトドアシーンに降臨した『ゼインアーツ』のモノ作りを徹底解析!

    ゼインアーツ代表取締役社長
    小杉 敬さん

    日本のアウトドア業界で28年ものキャリアを持ち、デザイナーとして数多くのギアを世に送り出してきた。

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    小杉さんの背後にあるのは、7月10日に発売された新作「ギギ2」。4人でゆったりくつろげるサイズだ。

    穂高岳、乗鞍岳、上高地などなど、日本が誇る名峰、景勝地のある北アルプスを西に望む、長野県松本市。社屋のすぐ西側には上高地から流れ出す梓川がせせらいでいる。ゼインアーツのオフィスは、そんな自然豊かなフィールドのすぐ近くにあった。テントデザイナーで社長でもある小杉敬さんは、

    「フィールドに直結した環境でモノ作りがしたかったんです」

    という。たしかに、上高地への玄関口として知られる新島々駅まで、車で30分弱。山が好きな人にとって、理想的な環境といえるだろう。

    とはいえ、オフィスのある場所は市街地。車のナビに任せて運転していたら、車1台がギリギリ通れるぐらいの細い道に迷い込んでしまい、取材班は約束の時刻より少し遅れて到着。

    「なんせ元城下町ですからね。市街地はとても入り組んでるんです。お気になさらず(笑)」

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    頭の中に描いていたデザインを手描きスケッチにする前後に、ミニチュアを作製。写真は「ロガ4」。

    デザインはすべて頭の中で完成させる

    社屋は1階が倉庫、2階がオフィス。印象的なのは、そのどちらもが、キレイに整理整頓されていることだ。ギアの製作現場って、資料やら材料が雑然と置かれているという一方的なイメージを持っていただけに、少々ビックリ。

    「ボクが整理整頓魔なんですよ」

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    「サイズはプリントできる紙次第なんです(笑)」。「ゼク|M」(奥)、「ギギ1」(手前)の模型。

    そんな、几帳面な小杉さんだけに、テントをデザインする際も超緻密な設計をするのだろうと思いきや、
    「設計図なんてありませんよ。デザインはすべてボクの頭の中にあります。外観のデザインから、細かなサイズ感まで、まずは頭の中でしつっこく考えます。それから、木や細引きを使って原寸大のアウトラインを作って、最終的な確認作業をするんです」

    な、なんと、図面ならぬデザインはすべて小杉さんの頭の中に隠されていたのだ!

    重要なのは、快適に過ごせる空間設計

    「原寸大を作らないデザイナーがほとんどだと思いますが、ボクは必ず作りますね。テントでもっとも重要なのは、外側より中じゃないですか。生活する空間設計、つまり4人用であれば、4人が快適に過ごせる空間でなきゃいけない。その確認は、原寸大のアウトラインを作らないとできないんですよ」

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    模型はフォルムの確認のために作っているという。写真は、4つのウイングをもつタープ「ゲウ」。

    空間のチェックが終わってはじめて、図面と模型(これは前後することがある)を作るのだが、ここでまたサプライズ。なんと、図面はPC上で作るのではなく、すべて小杉さん自身がフリーハンドで描くというのだ。超高性能な脳内設計ソフトを駆使したデザインが完成すると、手に持ったペン先から、美しくも緻密なデザイン画がプリントアウトされるというわけ。

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    「あとね、この段階で細かい寸法指定をしないことも大切なんです。なんせ布ものですから、製造段階で1㎝や5㎝の誤差は当たり前。だから、ファジーな部分を残して大まかなサイズ指定だけするのもポイントですね」

    そして、手作業で作られた図面が縫製工場へと送られて、サンプル作製と修正を繰り返すことで、ゼインアーツのテントができあがっていく。

    座右の銘は、『座して半畳、寝て一畳』

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    設計図面はてっきりCAD(設計支援ソフト)で作ると思っていたが、なんとフリーハンド! 図面というより、まさにデザイン画だ。これが、縫製工場に送られてサンプル作製に使われる。

    昨年の春からプロダクトのリリースをはじめたばかりのゼインアーツが、瞬く間にユーザーのハートを射止めた理由のひとつが、“超お値打ち”な価格設定である。これについて小杉さんは、

    「独立したのは、お世話になったこの業界への恩返しだと思っています。正直なところ前職では、デザインの数をこなすので精一杯で、いまのようにじっくりと考え抜いたモノ作りができなかったんです。だから、これまでテントは欲しいけど高くて買えない…と、躊躇していた方々にも、手の届く価格帯の製品を提供していきたい。そんな思いではじめたブランドなので」

    という。そんな小杉さんの気持ちを表わしているのが、ブランド名の「ZANE ARTS」。これは、必要以上を望まず、贅沢は慎むべきという教えの、『座して半畳、寝て一畳(起きて半畳、寝て一畳ともいわれる)』の『座(ZA)』と『寝(NE)』を組み合わせた造語。初心を忘れず、自身が納得できる品質のギアを作り続けるーーという意味あいで名付けられたのだ。

    奥さんとふたりだけでスタートした会社だが、いまでは、「小杉さんのモノ作りに憧れて応募しました」という、頼もしいスタッフも加わった。

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    9月にスタッフがもう1人加わり総勢5人になる予定。(右から)酒井賢太さん、小杉麗子さん、小杉敬さん、小見学さん。

    「金儲けには興味ないんですよ。とにかく、日本のアウトドア市場にいいモノを供給していきたい。少しでも多くの人に、自然の中で遊ぶ楽しさを伝えていきたい。それがボクの目標です」

    誠実なモノ作りに真摯に向き合う小杉さんが率いるゼインアーツ。これからも、超お値打ち&ハイクオリティーなプロダクトが期待できそうだ。

    ※構成/坂本りえ 撮影/中村文隆 協力/乗鞍BASE https://norikurabase.com/

    (BE-PAL 2020年10月号より)

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