「撮り鉄」じゃなくても大興奮!世界遺産「センメリング鉄道」を撮影ハイクしてきたぞ | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.10.21

「撮り鉄」じゃなくても大興奮!世界遺産「センメリング鉄道」を撮影ハイクしてきたぞ

「撮り鉄」じゃなくても大興奮!世界遺産「センメリング鉄道」を撮影ハイクしてきたぞ
ハイキングの楽しみの一つが移り行く「景色」ですよね。それは尾根筋や展望台や崖や山頂からの「絶景」だったり、可憐な「高山植物」だったり、森の中の「木漏れ日」だったり「せせらぎ」だったり。

見えるものがコースによってあれこれ変わるから、いろいろなところに行きたくなります。

さてさて、今回のハイキングで見るものは一味違っています。なぜなら「列車たち」だからです!

どうも、オーストリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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↓前回の記事はこちら

砂利道だ!橋だ!トンネルだ!大自然の「マウンテンカート」がワイルドすぎた | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

【柳沢有紀夫の世界は愉快!オーストリア・センメリング編4】

もちろん日本でも鉄道を眺められるハイキングコースはたくさんあります。それと今回紹介するオーストリアの「センメリング鉄道」沿いのハイキングコースは何が違うのか?

まずは列車が通る本数です! 日本のハイキングコースというと通常山の中など「人口密集地ではないところ」にありますよね。だから電車の本数も少ない。秘境と呼ばれる場所なら1時間に1本とか、それよりも少ないところすらあります。

ところが「センメリング鉄道」はセンメリング観光局の人に聞いたところによると、貨物列車も含めると一日200本ほどが通るそう。夜中は貨物だけになることを考えると日中は1時間に10本ほど走っている計算になります。

こんなふうに上りと下りの列車がすれ違う様子まで見ることができましたよ~。

とはいえもちろん大都市の中を走る路線ではありません。山の中を縫うように蛇行して走ります。

そんな山の中の路線を行き来する列車がなぜ多いのか。それはこの「センメリング鉄道」がオーストリアの首都ウィーンとオーストリア第2の都市グラーツなどを結ぶだけでなく、アルプス山脈の南側にあるイタリア、スロベニア、クロアチアなどと北側にあるチェコやドイツを結ぶ大動脈だからです!

さて今、この「センメリング鉄道」ならではのもう一つの特徴に関するヒントが現れましたよ。おわかりになったでしょうか。

そう、「オーストリア国内の鉄道だけでなく、他の国々からの長距離国際列車も乗り入れている」、つまり「様々な型やカラーリングの列車が走る」ので見ていて飽きないのです!

赤い列車が通ったかと思ったら…。
すぐに黄色い列車。

ヨーロッパの鉄道好きからは頭の悪そうな感想に見えると思いますが…。とにかく見ているだけで飽きないです。

まずはいちばん有名な展望台へ

前説が長くなりました。

最初に向かった展望スポットは「20シリングビュー」。オーストリアのウィーン駅から1時間半ほどの「センメリング駅」から徒歩35分ほどのところにあります。

センメリング鉄道を見るのにたぶん一番有名な展望台です。

「おいおい。最初にメインディッシュを出してどうするんだよ~。楽しみは最後に取っておくもんだろうが」というご指摘も聞こえてきそうですが…ご安心ください。ここは「たぶん一番有名」ではあるのですが、正直言ってもメインディッシュとは程遠い。3時間のハイキングコースを踏破した私に言わせれば前菜も前菜です。

「20シリングビュー」からはこんなふうに高架橋からトンネルに入っていくのが見られます。

あとで説明しますがこの高架橋もトンネルも非常に正しきものです! なんたって世界遺産です! 

でもこの写真、5倍ズームでの撮影。つまりかなり距離があるのです。

こちらがズームなしの写真です。

写真右が高架橋で、その横がトンネルで、左側に見える白い部分がまた高架橋。本来的にはトンネルから出てきた先頭のほうの車両と、まだトンネルに入っていない後ろのほうの車両が両方見られるはずで、だからこそ有名展望スポットなのだと思います。

ところが現在は左側の高架橋が補修中で白い布でカバーされているため、そちらは列車の天井部分くらいしか見られません。

でも安心してください。これからもっと列車が見られたり絶景だったりするスポットが次々と出てきますから!

撮影スポットは続くよ、どこまでも。笑

「20シリングビュー」からもハイキングコースは続きます。目指すはブライテンシュタイン駅(Bahnhof Breitenstein)。

蒸気機関車…というよりも「汽車ぽっぽ」のマークが書かれているのが今回のハイキングコース。
このあたりは道が狭いのですが、足元はよく整備されていて歩きやすいです。

途中舗装道路をほんの少し歩きますが、すぐにまた砂利道へ。

こんなホテルのような建物が見えてきます。

そのすぐ先にまた撮り鉄スポットがありました。

ねっ? 「20シリングビュー」よりもずっと間近に列車を見ることができます。

センメリング鉄道は先ほど書いたように通過する列車の本数が多いので、延々と待たなくてもいいのもよいところです。

ここも汽車ぽっぽマークが目印。

だからすご~くわかりやすいのですが…。

ここだけ案内板を見落としそうになりました。右の細い道を下っていきます。

このあとすぐに見えてくるのが高さ23.7メートルのアドリッツグラーベン高架橋。

ここでもすぐに列車が来ました。

坂を下りていきアドリッツグラーベン高架橋をくぐります。

下から見ると大迫力。
その先に建設当時の「工具小屋」と「作業員宿泊所」をそのまま残したミニ博物館があります。

このあたりで「センメリング鉄道」の歴史に触れておきましょうか。ヨーロッパで最初に国際標準机間を採用した山岳鉄道で、1998年に「世界遺産」に登録されました。はい、世界遺産です!

開通したのは1854年。今から170年以上も前です! というか世界最初の公共用鉄道がイギリスで開業したのが1825年ですから、それから30年も経っていません。

全長41.825キロ、高低差460メートルもあるし、山の中にあるのでトンネルだらけ。それなのに重機などない時代にたった6年の建設期間で完成しました。

ミニ博物館の小屋の中。こちらは「作業員宿泊所」を再現したものですね。

さて先を急ぎましょう。このあたりでほんの1~2分だけ車も通る舗装道を歩くのですが、すぐにまた未舗装の道に。

「汽車ぽっぽマーク」をお見逃しなく!

このあと少し坂を上ると道は鉄道のすぐ脇に。

間近なのでこの大迫力!

もちろん立っているのは普通の道なので運転手から警笛を鳴らされるようなこともありません。

いろいろな型や色の列車が通っていきます。

もちろん列車だけでなく景色も楽しめます!

そのあと森の中の急登になります。

でも1分ぐらいで抜け、センメリング鉄道沿いの崖の上に出ます。

すぐ先にいかにも休憩してくれと言わんばかりの絶景ベンチ。

先ほどのアドリッツグラーベン高架橋の上を、弧を描いて走る列車もばっちり見られます。最初のほうでお見せした上りと下りの列車が橋の上ですれ違う「奇跡の一枚」もここで撮影しました。

様々な角度からいろいろな列車を撮影できるのが楽しくてそんな写真ばかりをお見せしましたが…。

このあとはしばらくはこんな見晴らしのいい道。
森に入るとこんな小屋が。何をするためのものかちょっとわかりませんでした。
そしてまたフォトスポット。

列車は様々な角度から見られるは、コースは変化に富んでいるはで本当に飽きが来ないハイキングコースでした!

そんなこんなで終点でのブライテンシュタイン駅に着いたのですが…。

そこで列車がなんと2時間に1本しかないことが判明。しかも10分前に出たばかりで1時間50分待ち!

ハイキング中あれだけ列車を見たので頻繁に来ると思い込んでいたのですが、長距離の特急などが多く各駅停車は極端に少ないのでした。

ただこのセンメリング地方には「ルフバス」という配車サービスがあります。バスの停留所のように乗車できる場所は限られている(標識はなくアプリで確認)のですが、100ヵ所以上あります。

これが「ルフバス」の車体。これ以外にも普通の乗用車が配車されることもあります。

そして今回宿泊した「スポルトホテル」の宿泊客は7.5キロメートルまでの乗車なら無料、それ以上も50パーセントオフで乗れます。

「スポルトホテル」玄関にあった案内の看板。

じつは行きもホテルからこれで来ました。ただ帰りのブライテンシュタイン駅からスポルトホテルまでGoogleマップで調べたら7.9キロメートル。どうせなら7.5キロメートル未満にして無料で帰ろうというセコイ考えが頭に浮かび、500メートルほど歩いたところで予約しました。笑

帰り道に見えた「スポルトホテル」。いかに自然たっぷりのところに建っているかわかります。

センメリング駅にはミニ博物館も

さて今回歩いたセンメリング鉄道に関して展示されているのがセンメリング駅構内にあるミニ博物館。

ハイキングをした後に訪れるのも、する前に予習するのも良しです。
屋外には古い車両も展示されています。

そこで観光局の人に話を聞いたところによると、現在のセンメリング鉄道は1日200本の列車が通るアルプス越えの大動脈。だから日本の地方鉄道のようにSLや古い車両を用いた観光列車をのんびりと走らせる余裕がダイヤにはありません。

ただし2027年以降にウィーンとグラーツ間を約30分短縮する長いトンネルのバイパスルートが完成して、特急列車や国際長距離列車や貨物列車はそちらを利用。このセンメリング鉄道を大動脈の役目を終え、通る列車は各駅停車だけになるのではないかとのこと。もしかしたらそれで「観光列車」的なものも生まれるかもしれませんね。

ただしそうなると今回のハイキングのように「撮り鉄スポットでちょっと待っていれば必ず列車が来る。しかも様々な種類が」という感じはなくなってしまいます。

今回の「撮り鉄ハイキング」、今がチャンスです!

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!

Semmering-Hirschenkogel Bergbahnen GmbH (ロープウェイ運行会社。マウンテンカートなど山頂駅での様々なアウトドアアクティビティも提供)
https://www.semmering.com/en/

Sporthotel am Semmering (スポルトホテルアムセンメリング。今回私が宿泊したホテル)
https://sporthotel-semmering.at/en/

オーストリア観光公式
https://www.austria.info/ja/inspiration/skiing-and-winter/

著者画像

柳沢有紀夫さん

オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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