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WIND from ONTARIO~森の海、水の島~ #19 旅する道具たち
by Tomoki Onishi
撮影・文/尾西知樹
トロント在住のフォトグラファー、マルチメディア・クリエイター、カヌーイストでサウナー。オンタリオ・ハイランド観光局、Ontario Outdoor Adventuresのクリエイティブ・ディレクターを務める。カナダの大自然の中での体験とクリエイティブを融合させたユニット magichours.caを主宰。

ガレージに吊っている1959年製のカヌーを降ろし、2004年初期型スバル・アウトバックのルーフに載せる。車選びはカヌーが似合うことが基準。この車は、カヌー仲間のお父さんが長年愛用していたものを譲り受け、10年ほど乗っている。
僕がカナディアンにとても好意を抱いている理由のひとつに、古いものを修理して長く使う人が多いことがある。このマインドは、子供たちのサマーキャンプやカヌーキャンプにも息づいていて、代々受け継がれてきた道具を大切に使う人たちによく出会う。たぶんそれは、みんなこの大陸へ移民してきた人たちがルーツだから。祖国を思い、先祖とのつながりを大切にするところから来ている。
僕も古いモノたちのデザインがとても好きで、釣り具やカヌーパック、オイルランタンなども古道具を使っている。それらは、僕が生まれる前から誰かが愛用してきた道具で、共に旅をしていると、ずいぶん経験豊かな大先輩たちと旅をしているような感覚にもなる。
悠久の時を経ても変わらない大自然の中で、質実剛健な道具たちの形もまた変わらない。遠い記憶の時間と自分の時間が重なるような感覚。道具たちには、それぞれに物語があり、これまでどんな人と旅をしてきたのだろう…?と、思いを馳せるだけでも、心があたたかく灯る。

カヌーパックと呼ばれる、伝統的なバックパック。生活と共に使われて来た道具は、大きくて丈夫だ。

およそ70年前に作られたダイレクト・リールたちのデザイン。今見たら余計にうっとりしませんか?

読者の皆さんには、たぶんお馴染みコールマンのツーバーナー! 使い込んで年季が入った、信頼の証。

見られます!
(BE-PAL 2026年1月号より)







