
アユ・ルアーとは
鮎釣りといえば、生きた鮎をオトリとして釣り人が操作し、縄張りを持った野鮎(野生の鮎)を専用の釣り針に引っかけて釣る「友釣り」がポピュラーです。そんな、友釣りで使用されるオトリ鮎に見立てたルアーを操作して野鮎を釣るのが、近年流行の兆しを見せているアユ・ルアーという方法です。
アユ・ルアーを楽しめる河川

今回、釣行したのは友釣りもアユルアーも楽しめる河川、新潟県の糸魚川市を流れる能生川です。なお、鮎釣りが出来るほとんどの河川には遊漁規則が定められており、登場したばかりの釣法であるアユルアーは禁止となっている河川も少なくないため注意が必要です。
普段、友釣りを楽しむ私は、遊漁券と同時にオトリ鮎を2尾ほど購入するのが慣例となっていますが、今回はオトリ鮎が要らないアユルアーのため、遊漁券だけを購入してポイントへ向かいました。
アユ・ルアーのタックル

- ロッド……7.2ftのトラウトロッド
- リール……2500番のスピニングリール
- ライン……PEライン0.8号+フロロカーボンショックリーダー12lb
今回は上記の道具を使用しました。ちなみに、アユ・ルアーに取り付ける針は、一本のハリスに複数の針が鈴なりに取り付けられた「チラシ針」と呼ばれるものです。
いざ実釣!
ポイントに到着し、いよいよアユ・ルアーに挑戦です。
友釣りで釣果を出すにはオトリ鮎が川底に沈んでいることが絶対といえるため、アユ・ルアーもとにかく底を攻めることがキモだろうと思い、底石にルアーが小突くことを意識しながら、水面が波打ち始める「瀬肩」で丹念にルアーを操作していると……。


すぐに綺麗な鮎が釣れました! さらに同じ瀬肩にルアーを入れて数分操作を続けていると、続けざまに2尾目の鮎が掛かりましたが、これ以降は掛からず……。その後はポイントを転々として30分~40分に1尾くらいのペースで2尾を追加しました。

このままアユ・ルアーに徹しても満足といえる釣果を得られそうですが、私は日頃から友釣りに入り浸ってその釣れっぷりを肌で感じています。
友釣りほどは釣れないとされるルアーでもこれほど釣れる状況であることや、掛かる鮎の色、他の鮎を追いかけまわしていると思われる怒ったような表情といった雰囲気から、友釣りならどれだけ釣れるだろう?と感じ始めてしまいます。
いてもたってもいられず、ルアーで釣りあげた鮎を使用して友釣りに切り替えることにしました。
入れ掛かり!

友釣りの装備に持ち替え、先ほどルアーで鮎を釣り上げた瀬肩にオトリ鮎を送り込んでみると、すぐに鮎が掛かりました。ルアーで数分間アピールを続けても掛からなくなったため見切りをつけたポイントでしたが、友釣りでオトリ鮎を送ってみたところ、10秒もかからず野鮎が掛かりました。
1歩も動くことなく同じピンポイントでも立て続けに鮎が掛かることもあり、ちょっとした入れ掛かりも楽しめました。本物のオトリ鮎、恐るべしです。
最終的にはアユ・ルアーで4尾、後半から開始した友釣りで20尾超という釣果にてこの日の鮎釣りを終えました。
アユ・ルアーか友釣りか?
今回アユ・ルアーと友釣りを同日の同じポイントにて実践してみて、それぞれの釣法にメリットや苦手な点があると感じました。
アユ・ルアー
まずアユ・ルアーのメリットは、とにかく手軽であるという点です。専用のタックルも続々と登場していますが、汎用性の高いルアー用タックルがあればすぐにでも挑戦することができ、生きたオトリ鮎の準備や運搬も不要であることから友釣りに比べて非常に手軽と言えます。
しかし、本物のオトリ鮎を使用する友釣りに比べれば釣果は出しづらいといえるでしょう。今回赴いた能生川は今シーズン鮎の遡上が良く、友釣りであれば上手な方なら50尾超の釣果も期待できます。
そんな好条件下でもアユ・ルアーは2時間程度で4尾でしたので、もともと遡上量の少ない河川では厳しい釣りになるのではと感じました。(筆者のアユルアーの経験が少ないことから、もっと釣果の伸びしろはありそうです)
友釣り
友釣りの長所と短所はアユ・ルアーとまさに正反対で、道具立てやオトリ鮎の扱いなど始める敷居が高いというのは言うまでもありません。
その反面、入門の一歩さえ踏む出すことができれば、恐らくアユ・ルアーよりも簡単に数多くの釣果が得られるでしょう。また、現在はまだアユ・ルアーが可能な河川は限られていますが、鮎釣りが可能な河川で友釣りが禁止されている河川はほぼありませんので、全国各地で楽しむことができます。
さまざまなスタイルの鮎釣り
鮎は河川周辺地域との関わりが深く、友釣り含めありとあらゆる漁法や釣法が編み出され、アユ・ルアーもそのひとつです。友釣りが漁に近い一面を持っているのに対し、アユルアーは釣りを楽しむことに重きを置いた釣法といえると、今回の釣行で実感しました。