
本格的ながらも「炒めメインで短時間で仕上がる」いいとこ取りレシピだ。
オリジナルのアウトドアレシピ!ナイル善己さんのカンタンで本格的なカレーとは?

日本初の本格インド料理専門店として1949年に誕生した東京・東銀座「ナイルレストラン」の3代目オーナー。インドはゴアの五つ星ホテルで修業後、店を継ぐ。著書多数。
カレーは混沌とした複雑味が醍醐味。
「だからスパイスは10種くらい使うとより美味しいですけど、方向性の違う5種程度を組み合わせれば十分本格的な味になりますよ」とにっこり。
そして意外なことに「盲点は油使い」だとナイルさん。インドのカレーづくりは、出汁などの旨みに頼らない。
「その分、旨みの素になる油が重要。スパイスとの相性もいい油をたっぷり使うのがコツです」と極意を語る。加えて、塩味をきっちり利かせるのも大事だと。カレーに欠かせないタマネギを炒めるときも強火でがんがん。
豪快に楽しめる野外調理だもの、油も塩も火加減も「ビビらずに!」。それが成功のもとだ。
30分で作れる!こってり濃い旨!タンドリーバターチキンカレー

決め手のスパイス

◦ガラムマサラ
カレーに複雑味をもたらすパウダー状の混合スパイス。
◦カスリメティ
フェネグリークの葉。旨みの素に。指でもんで使う。
◦カルダモン
エキゾチックで爽やかな香り。甘みと相性抜群。
◦コリアンダー(粉)
香菜の種の粉末。やや甘みのある穏やかな香り。
◦クミン(粉)
カレーの主要スパイス。エスニックな芳香でほろ苦い。
◦ターメリック
カレーの黄色のもと。土っぽい香りと苦みがある。
材料(4人分)
〈タンドリーチキン〉
鶏むね肉…2枚
A
ヨーグルト…50g
ケチャップ…大さじ3
レモン汁…少々
ガラムマサラ…小さじ1/2
クミン(粉)…小さじ1/2
ターメリック…小さじ1/3
塩…小さじ1/2
〈カレーソース〉
カルダモン(粒)…10粒
B
カスリメティ(省いても可)…大さじ1
コリアンダー(粉)…小さじ2
クミン(粉)…小さじ1
ガラムマサラ…小さじ1
ターメリック…小さじ1/3
トマトピューレ…150g
ピーナッツクリーム…大さじ11/2
生クリーム…1パック(200㎖)
ヨーグルト…50g
塩…小さじ2/3
バター…50g
作り方
❶タンドリーチキンを仕込む。ジッパー付きビニール袋に、ひと口大のそぎ切りにした鶏肉、混ぜ合わせたAを入れてキャンプ場へ持参。
❷炭火で①をこんがりと焼く。

炭火で香ばしく焼いたタンドリーチキンをカレーソースに加えて仕上げるのが本式!
❸カレーソースを作る。フライパンにバターを強めの中火で熱し、カルダモンを入れる。香りが立ってきたらトマトピューレを加えてヘラで混ぜながら加熱する。表面に油が浮いてもったりしてきたら、ピーナツクリーム、Bを加え混ぜる。

たっぷりのバターが旨みのベースに。カルダモンがぷくっとふくれたら香りが立った合図。
❹スパイスがなじんだら、生クリーム150㎖、ヨーグルト、塩を加える。焼けたタンドリーチキンを絡める。味見をして塩(分量外)で味を調えたら完成。器に盛り、残りの生クリームを回しかける。

パウダースパイスをトマトソースになじませるように炒めて粉っぽさを飛ばす。
20分で作れる!さっぱり&ピリリ!牛コマペッパー肉カレー

決め手のスパイス
◦黒胡椒

エレガントな香りと辛みのバランスがばっちり。料理に奥行きを与える。
◦クローブ

特有の、強くて甘やかな芳香で肉の臭み消しに効果を発揮する。
材料(4人分)
牛コマ切れ肉…400g
タマネギ(粗みじん切り)…1個
トマト(乱切り)…1/2個
パクチー(根付きのもの)…1パック
ニンニク(みじん切り)…3.5片
ショウガ(みじん切り)…3.5片
クローブ(粒)…10粒
A
クミン(粉)…大さじ1
黒胡椒(粉)…大さじ1
コリアンダー(粉)…大さじ1
ガラムマサラ…小さじ1
B
ヨーグルト…100g
水…60㎖
塩…小さじ1
生クリーム…100㎖
サラダ油…大さじ3
作り方
❶パクチーは、根はみじん切り、葉はざく切りにする。
❷フライパンに油、クローブを入れて中火で熱する。パチパチ音が立ってきたらタマネギを加えて強火にする。最初はあまり触らず、水分が飛び始めてきたら炒める。
❸タマネギの角が色づいてきたらニンニク、ショウガ、パクチーの根を加える。全体が濃いきつね色になるまで炒める。(ここまでは81ページ、カレーの素の作り方の写真も参照)

パクチーのなかで最も香りの強いのが根っこ。捨てちゃもったいない!香味野菜として使う。
❹トマトを加えて炒める。よくなじんだら、Aを加えて炒める。香ってきたら、B、パクチーの葉を加える。

このカレーの隠し味は牛肉の旨みと相性抜群のパクチー。刻んだ葉をどっさり投入。
❺ひと煮立ちしたら、牛肉を加えて炒め合わせる。肉の色が変わったら、生クリームを加えてひと煮立ちさせる。味見をして塩(分量外)で味を調える。

薄切りの牛肉を使うことで加熱時間を短縮。「インド版"吉牛"です」とナイルさん。
20分で作れる!本格味が自慢!たっぷり豆カレー

決め手のスパイス
◦クミン

セリ科の1年草の種子を乾燥させたホールスパイス。食欲を刺激するカレーらしい香り。
材料(2人分)
好みの豆(水煮)※…計200g
タマネギ(粗みじん切り)…1個
ニンニク(みじん切り)…3片
ショウガ(みじん切り)…3片
クミン(粒)…小さじ1
A
コリアンダー(粉)…大さじ1
カスリメティ(省いても可)…大さじ1
クミン(粉)…小さじ1
ターメリック…小さじ1/2
トマトピューレ…100g
ココナツミルク…1缶(165㎖)
塩…小さじ1/2
レモン汁…少々
サラダ油…大さじ4
作り方
味の要! カレーの素を作る
❶フライパンに油、クミン(粒)を入れて中火にかける。パチパチ音がするまで加熱する。焦がしてはダメ。

油はたっぷり! クミンから細かい泡が出るまで加熱して、香りを油に移そう。
❷タマネギを加えて強火にし、最初はあまり触らずに。水分が飛び始めてきたら炒めるのがコツ。

タマネギは脱水させて甘みを引き出したいので、最初のうちはあまり触らずに。
❸タマネギの角が色づいてきたらニンニク、ショウガを加える。全体が濃いきつね色になるまで炒める。

ニンニクとショウガをたっぷり加えることで、仕上がりの風味を底上げする。
❹焦げ茶色になるまで炒めれば、激うまカレーの素の完成だ。ここまでを家で仕込んでもOK。

これくらい焦げ茶色に炒めればOK。香ばしいタマネギが味のベースになる。
~続き~
❺カレーの素を作り終えたら、続けてトマトピューレを加えて強火で炒める。油が表面に浮き、もったりしてきたら、Aを加える。

トマトピューレの水分を飛ばすイメージで、強火でしっかり炒めて旨みを凝縮させる。
❻全体にスパイスがなじんだら、ココナツミルク、それと同量の水(分量外)を加える。沸いたら、豆、塩を加える。再び沸いたら蓋をして、弱火で5分ほど煮る。

水煮の豆は、ミックスビーンズやガルバンゾー、レッドキドニーなどお好みで!
❼レモン汁を加え、味見をして塩(分量外)で味を調える。

※構成/安井洋子 撮影/猪俣慎吾
(BE-PAL 2025年9月号より)