
3種の肉づくし料理を教えてもらった!

教えてくれた人 ネイチャークラフト作家 長野修平さん
クラフト魂を駆使した自作の焚き火システムを操る、焚き火料理の達人。自然素材や古材を使い、小さなホウキからツリーハウスまで作り上げる。
「焚き火料理といえば、肉。でも同じ肉料理にも2種類あってさ。常に肉を見ながら調理する場合と、肉が見えない調理法」
前者は肉が見える分、長時間の調理の励みになり、後者はサプライズ感満載だ。
今回はその両方の料理を披露すると、長野修平さん。
「焚き火は天気や湿度、薪でも状況が変わるんだけど、どんな場合でもいえるのは、おき火をちゃんと作ってから作業すること。おき火さえ作っておけば、強火が欲しくなったときでも、簡単に炎を復活させられる」
薪はゆっくりじっくり燃える広葉樹を。燻煙もかけられるので、肉と相性が良く、色づきもいいサクラがおすすめだ。
「意外に重要なのが上火でね。上から火を当てることができると、オーブン効果が発揮できて、火を通す時間も短縮できる。そのために今回考えた焚き火システムがこれ!!」
なんと、焚き火の上に肉を吊るし、さらにその上に焚き火台をセット。上下で火をおこすという二段戦法だ。熱は上に上がるため、かなり強めに上火をたくのがポイント。
「とはいっても、焚き火料理に失敗はないから。生焼けならもう1回焼けばいいし、焦げも旨みになる」
直火ならではの香りと味は、一度味わったらクセになる!
脂が落ちてさっぱりヘルシーな豚バラ吹き流しロースト
宇宙人のようなユニークな見た目で、外はカリッと、中身はしっとりジューシー! 塊肉の中は意外なほどに淡白な味なので、かなり多めに塩を振るのがポイント。

スライスしていただく。燻煙で色づき、香ばしく仕上がる。そのままでも、マスタードをつけても美味。
●材料
豚バラブロック肉…2〜3kg
塩…適量
黒コショウ…適量
●焚き火調理道具
ラウンドグリドル
トライポッド
鎖
S字フック…8個
笹竹…6本
●作り⽅

豚バラブロックに、約5㎝の等間隔で切り込みを入れる。

塩・コショウを表面がざらざらするぐらいたっぷり振る。

塊肉2枚をS字フックで円状に連結し、鎖に吊り下げる。

笹竹を下から差し込んで、肉を放射状に広げる。

上下の焚き火で2〜3時間炙る。中まで火が通れば完成。
焚き火システム

下からの焚き火の熱が拡散しないよう、肉の上にグリドルを配置。逆さにすることで、焚き火台の脚がストッパーになり、薪の落下を防ぐ。
アレンジ料理1
夏向きあっさり混ぜごはん

豚バラローストを2㎝角ぐらいの角切りにし、粗みじん切りした新ショウガ、シソ、紅生姜と混ぜ合わせ、さらにごはんを加え混ぜる。さっぱり味で夏でも食欲倍増!

ごはんに混ぜるときは、切るように混ぜると米が潰れない。
アレンジ料理2
豚出汁が効いたフォー

フォー乾麺はひたひたの水に浸けて戻しておく。出汁を沸騰させ、ナンプラーで味付けしたら、戻したフォーを入れ1分ほど茹でる。セリ、小ネギ、ライム、フライドオニオンを飾る。

スープにあらかじめ豚バラローストのスライスを入れ、茹でて出汁をとる。
鶏ハムのようなしっとり感がたまらない、スパッチコックの野草グリドルサンドロースト
フキの葉の保湿効果で、鶏ハムのようなしっとり感を味わえる。レモンパックのおかげであと味はスッキリ。ハイボールのお供に!

1時間弱で完成。グリドルがない場合は、スキレットとフタを使い調理可能。フキの香りが食欲をそそる。
●材料
丸鶏…1羽〈漬け込みマリネ液〉
レモン…1個
オリーブオイル…大さじ8
はちみつ…大さじ6
塩…大さじ2
黒コショウ…適量
●焚き火調理道具
ラウンドグリドル…2枚
フキの葉…大量
●下ごしらえ

丸鶏の背骨の両サイドにハサミを入れて、背骨を取り除く。

背中を開き、胸肉の中央にある茶色い骨を取り除き、平らに広げる。

漬け込みマリネ液(レモンはスライス)にひと晩漬けて寝かせる。
焚き火システム

グリドル2枚で鶏肉を挟み、上下の熱で蒸し焼きに。間に石を挟んで5㎝ほどの隙間を作り、水を補給できるようにする。
●作り⽅

グリドルにフキの葉を敷き詰め、マリネ液に浸けた鶏をのせる。

上からフキの葉で覆い、逆さにしたグリドルをのせる。

下弱火、上強火で蒸し焼き。乾燥したら隙間から水を足す。

ジューという音がジーに変わるタイミングで完成!
アレンジ料理
野草香るサンドイッチ

ミニフランスパンや食パンにバターを塗り、レタス、スライスした鶏ロースト、オニオン&トマトスライスを挟む。オリーブオイルを振りかけ、好みでマスタードを添える。

切り分けてそのまま食べても◎。おすすめはガーリックレモン塩。
クルクル回していただきます! 鍋を使わない串炙りジンギスカン
長野さんの出身地、北海道・苫小牧では、ラムの生肉を焼いてタレをつけて食べるのが一般的。ふるさとの味を手回しジンギスカンで再現!

マイ串で食べたい分だけ焼けるので、子供も楽しめる。タレを追い掛けして何度も焼き、カリカリにしても美味!
●材料
ラムスライス…400g
ジンギスカンのタレ…適量
●焚き火調理道具
笹竹…2本
シェラカップ
●作り⽅

ラムの厚切りスライスを串に巻きつける。

炎の中で炙り焼き、表面を一気に加熱する。

タレをつけ、さらに追い炙り焼く。2回目は遠火の弱火で。
焚き火システム

火加減を確認しながら串をクルクル回す人力が必須。最初は炎の中、2回目以降は遠火の弱火でじっくりと焼き上げる。

笹竹で串作り。笹竹の片方の先端を割って二股にすると、肉の端を挟めて、落下防止に。
アレンジ料理
かきこみ必至のジンギスカン丼

そのままかぶりつくのもいいが、やはり白飯と好相性! タレをたっぷりつけるのがオススメ。ポトリと卵黄を乗せてもまた美味しい。七味でピリッとアクセントをつけるのもあり。

もやし、千切りピーマンを炒め、ジンギスカンのタレで味をつける。

炊きたてごはんに野菜をのせ、その上に串からはずしたラム肉をのせる。
※構成/大石裕美 撮影/花岡 凌
(BE-PAL 2025年8月号より)