
複雑でわかりづらいクルマの機能名がすっきりわかる!
動力装置編
トヨタ・プリウス

日産・セレナ

クルマはこれまで、ガソリンや軽油が燃料のエンジンで走るのが当たり前だった。しかし、カーボンニュートラル(脱炭素)実現に向け、各国のメーカーが次世代自動車の開発を進めている。いま世界的に増えているのは、バッテリーに蓄えた電力でモーターを駆動する電気自動車(BEV)だ。
ただ日本では、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車(HEV)が最も普及している。このほか、普及率は低いが、水素と酸素の化学反応で電力を発生させ、その電力でモーターを駆動して走行する「燃料電池自動車(FCEV)」などもある。
【ハイブリッドのタイプ】
シリーズ・パラレル方式(スプリット方式)
EV走行 ★★★☆☆
ガソリンエンジンに加え、駆動用と発電用のモーターを搭載。EV(電動)走行、エンジンをモーターが補助する併用走行、エンジンで発電しながらEV走行など、状況に応じて切り替える。トヨタのプリウスがこのタイプ。
●例 トヨタ「THS」、ホンダ「e:HEV」、スバル「ストロングハイブリッド」など
マイルドハイブリッド
EV走行 ☆☆☆☆☆
出力の低い小型モーターとバッテリーを搭載。主に発進や加速時にエンジンをモーターで補助する方式。EV走行はできないが、エンジンの負荷を減らして燃費向上に役立つ。簡易な構造でコストを抑えられるのが特徴。
●例 マツダ「M Hybrid」、スズキ「マイルドハイブリッド」など
パラレル方式
EV走行 ★★☆☆☆
基本構造はマイルドハイブリッドと同じだが、モーターの出力やバッテリーの容量が比較的大きいものを指す。駆動はエンジンが主体で、発進・加速時などにモーターが補助する。低速域かつ短い距離ならEV走行も可能。
●例 スバル「e-BOXER」など
シリーズ方式
EV走行 ★★★★★
エンジンを発電専用に搭載し、駆動はすべてモーターが担う。燃料はガソリンだが、バッテリーに蓄えられた電力でモーターを動かして走行するという点ではBEVと同じ。エネルギー効率が高く、スムーズな乗り味が特徴。
●例 日産「e-POWER」ダイハツ「e-SMART HYBRID」 など
プラグインハイブリッド(PHEV)
EV走行 ★★★★☆
給電できる大容量バッテリーを搭載したHEV。短距離走行はほぼEV走行でまかなえるため、通常のHEVよりもさらに燃費に優れる。バッテリーの残量が低下した際にはエンジンが始動し、ハイブリッド走行を行なう。
安全性能編
2021年11月以降、新型車への自動ブレーキ搭載が義務化され、いまではなじみのある装備となってきた先進運転支援システム(ADAS)。しかし、名称や特徴はメーカーごとに違いがあり、また同じシステムでも車種によって機能内容が異なることもあり複雑だ。ここでは、ADASの主だった機能とメーカー別の名称について説明しよう。

ホンダセンシングの一機能のイメージ図。

運転を支援する日産プロパイロットのスイッチ。
●各社ADASの名称
トヨタ「チームメイト/セーフティセンス」、ホンダ「ホンダセンシング/ホンダセンシング360」、日産「プロパイロット/プロパイロット2.0」、スバル「アイサイト/アイサイトX」、三菱「マイパイロット/e-Assist」、マツダ「i-ACTIVSENSE」、スズキ「セーフティサポート」、ダイハツ「スマートアシスト/スマートアシストプラス」など。
【ADASの主な機能の例】
衝突被害軽減ブレーキ/車線逸脱防止支援システム/ブラインドスポットモニター
軽自動車を含め、近年発売された乗用車にはほぼ装備される機能の一例(衝突被害軽減ブレーキ搭載はすでに義務化)。死角を減らし、不注意による衝突事故などを未然に防ぐための予防安全技術だ。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)
設定した速度での走行や、先行車との車間距離を自動で保ちながら追従する機能。高速道路走行時などでドライバーの負担や追突リスクの低減に貢献する。近年は発進や停止も含む、全車速追従タイプが普及している。
【ADASの高度な機能の例】
ハンズオフ機能
高速道路や渋滞時などの特定条件のときに、運転支援システムがアクセル、ブレーキに加えてステアリング操作も制御し、手を離しての走行が可能。自動運転ではないので、常に運転状況を監視する必要あり。
ドライバーモニタリングシステム(DMS)
車内に搭載されたカメラやセンサーでドライバーの視線や姿勢などをモニターし、もし居眠りやわき見運転などの異常を検知すると警告を発して注意を促す機能。ヒューマンエラーによる事故を未然に防ぐ。
(BE-PAL 2025年7月号より)