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    2022.03.31

    英語もいいけどビールがほしい!青森にBe Easy Brewingあり

    地域に根づいたクラフトビールブルワリーを紹介するシリーズ、第29回は青森県弘前市のBe Easy Brewing。日本で暮らして17年になる代表のギャレス・バーンズさんにインタビューした。

    Be Easy Brewingのビール。左から「レイズミルクスタウト」(スタウト)、「ゴールドホッピーシードル」(4種類のりんごを使ったシードル)、「青森エール」(アメリカン・ウィート)、「青森エール黄麹」(日本酒の黄麹、酵母を使用したアメリカン・ウィート)。

    英語塾だけじゃつまらない、青森にうまいビールがほしい

    青森県弘前市。桜の名所としても有名な弘前城から歩いて30分の所に、ギャレス・バーンズさんのBe Easy Brewingとタップルーム「ギャレスのアジト」がオープンしたのは2016年のこと。

    2010年代半ば、日本のクラフトビール人気がじわじわと盛り上がり、都市部ではビアフェスが話題を集めていた。しかし当時の青森は、「そういうの、ぜんぜんない。クラフトビールを買うのもネットしかない」(ギャレスさん)という状況だった。

    ギャレスさんアメリカ・コロラド州の生まれ。高校卒業後に空軍に入隊し、二十歳の時、青森県の三沢基地に入隊した。そして、すぐに戦地へ。日本はおろか青森県のこともほとんど知ることの出来ぬまま任期終了を迎えた。そこで、「1年だけ暮らしてみよう」と日本に残った。英語講師になり、塾の経営を始めた。津軽三味線を習い始めたらハマってしまい、大会に出場するほどの腕前に。今は結婚して、弘前に家も建てた。「あと2年したら、アメリカで暮らした年数より日本で暮らした年数のほうが長くなりますよ」と話す。

    クラフトビールが大好きだったギャレスさん。しかし、日本で暮らし始めた当時の青森にはうまいクラフトビールがなかった。うまいクラフトビールを買える店がなかった……。地ビール時代を含め、青森はクラフトビールの店もブルワリーも少ないところだ。 

    お土産的なビールはいらない。本当にうまいクラフトビールがほしい。ぼくがやらなかったら誰がやるんだ?と、ギャレスさんは一念発起した。

    「それに青森には若い人の雇用の場が少ない。アメリカ資本のコーヒーチェーン店をやっても、正社員ひとりでバイト30人とか。それは青森にとって意味あるのかな?と思った。それより、青森においしいビールがあるって言われるようになったほうがいいんじゃない?」

    第二のふるさととなった青森の雇用にまで思いを馳せてのビール工房の立ち上げだった。また出身国アメリカのクラフトビールの流通状況を見るに、日本でも必ず人気が出るという確信もあった。 

    Be Easy Brewingのギャレス・バーンズさん。「自家製ホップも作りたい」。

    オープン準備には“外国人籍の壁”だらけ

    ギャレスさんがクラフトビール工房の事業プランを立てたのが2014年。それからブルワリーとタップルームのオープンまで2年を要した。ビール醸造免許の取得、資金調達、特に銀行からの資金調達が難航したためだ。

    外国人籍の壁がありましたか?という質問に、「壁しかなかった」と、ギャレスさんは答えた。英会話教室の塾は順調で、黒字経営が続いていた。貯金もそれなりにあった。それでも銀行から融資を受けるのに苦労したという。

    粘り強く話をすすめ、ギャレスさんは弘前にビルを購入。2016年、ブルワリー兼レストランの「ギャレスのアジト」をオープンした。ビールの醸造技術は独学で身につけた。

    「大変だったけれど、青森だからビール工場ができたし、タップルームも持てた」と、ギャレスさんは言う。「東京にもクラフトビールの工房はあるけれど、場所の家賃が高いでしょう?六本木では工房はつくれない。その点、もしクラフトビールのブームが終わっても、青森ならずっと続けていけるよ」とギャレスさんは話す。「クラフトビール工房はずっと続ける。そう決めているから、ここで始めたんだ」。

    現在、タップルームはコロナ禍の影響でクローズしているが、それまでは県外から訪れる人も多く、週末になると店内に入れないほど賑わったという。

    2019年には青森駅から徒歩5分の好立地のビルを購入し、ブルーパブAOMORI BREW PUBをオープンした。100リットルのタンクでここだけのビールも醸造しているが、Be Easy Brewingのビールだけでなく、ギャレスさん選りすぐりの国内外のクラフトビールが販売されている。

    AOMORI BREW PUBの店内。国内外のクラフトビールが並ぶ。

    弘前の「ギャレスのアジト」はギャレスさん自身の趣味に合った、ややアメリカンな雰囲気で造られているが、AOMORI BREW PUBは青森県を意識したつくり。タップルームには珍しい畳の間があり、そこに青森の伝統工芸品である津軽塗(漆器)のテーブルが置かれている。観光で訪れる人を意識して、「ビールおいしいだけでなく、青森の楽しい思い出を持って帰ってほしい」からだ。 

    農地はたくさんあるから、ホップも野菜も!

    ギャレスさんは弘前のビール工房の近くに、畑ももっている。休耕地が多いため、畑は簡単に買えたそうだフレッシュホップのビールを造りたいと、ホップ栽培に挑戦している。できれば3〜4種類のホップを生産し、収穫期にはフレッシュホップビールをどんどん醸造したいと語る。

    やはり、フレッシュホップを使ったビールは醸造家の夢なのだろうか。Be Easy Brewingのビールはホップが華やかに香る。青森の現地で飲んだら、また違う風味が香るだろう。

    畑では、弘前の「ギャレスのアジト」と青森のブルーパブレストランで提供する料理に使う野菜、カボチャやジャガイモなどを栽培していた。しかし、昨年は両店ともタップルームを閉めざるをえず、料理に使う野菜も不要となって畑も休耕中である。レストランが再開したら、また野菜生産も再開するつもりでいる。ギャレスさん自身は農作業までは手が足りないので、担い手をどうするかを思案している。

    将来は、ビールの生産量を増やしていくと同時に、生産の効率化を進めたいとギャレスさんは話す。

    「ビールは生き物。ホップを投入するタイミングひとつとっても毎回、微妙に違うから目が離せない。大手メーカーのようにオートコントールできる大きな醸造設備を入れられるわけではないから」

    現在スタッフは7名。クラフトビールの本場を知ってほしいと、2018年、スタッフを連れてアメリカのホップの一大生産地YAKIMA(ワシントン州)や、サンフランシスコ、サンディエゴなど、クラフトビールが生活に根づいた街の数々のブルーバーを訪れた。こうしてギャレスさんは弘前に、青森に、醸造の技術だけでなく、ブルーパブ文化も伝えようとしている。

    17年前に三沢基地に赴任したアメリカの青年が、今、青森でクラフトビールの楽しさを広げようとしている。コロナ禍の影響で、タップルームやレストランの営業は計画通りにはいかないが、地元のスーパーの酒売り場にBe Easy Brewingのビールが並んでいる。大手メーカーのビールの隣で、その3倍近い値段で並んでいる。

    「夕飯の材料といっしょに買って行ってくれる。地元の人たちからは、もう十分、応援してもらっていると感じています」とギャレスさん。青森だけでなく同じ東北のクラフトブルワリーBLACK TIDE BREWING(宮城県気仙沼)や、東京のNamacha Brewing(豊島区)とコラボビールも造っている。地元に根を下ろしながら、各地にクラフトビールの楽しさを広げているBe Easy Brewing。青森に行ったら、ぜひ「ギャレスのアジト」をぜひ覗いてほしい。

    ビールの段ボール箱にはギャレスの津軽弁が!

    Be Easy Brewing 
    所在地:青森県弘前市松ヶ枝5-7-9  
    https://www.beeasybrewing.com

    私が書きました!
    ライター
    佐藤恵菜
    ビール好きライター。日本全国ブルワリー巡りをするのが夢。ビーパルネットでは天文記事にも関わる。@ダイムやSuits womanでも仕事中。

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