夏から秋に収穫したいイグチの特徴を紹介。イグチに毒なしって本当? | BE-PAL

夏から秋に収穫したいイグチの特徴を紹介。イグチに毒なしって本当?

2021.05.02

主に夏から秋にかけて採取できるイグチ科のキノコ、なかでもポルチーニ茸は美味で有名ですよね。しかし、イグチ科のキノコの中には毒を持つ種類が含まれています。安易に採取して中毒を起こさないようにするためには、見分け方をしっかり知っておくことが重要です。イグチの特徴や毒のあるキノコの見分け方を紹介します。

キノコの種類は大きく二つ

アカヤマドリ(食)。

キノコは、世界に約6万種類以上、日本にも約1万3千種以上あるといわれています。生態や自然の中での役割の違いなどにより、キノコは腐生菌と菌根菌の2種類に大きく分けられます。

腐生菌

落ち葉・朽ちた木・動物のフンなど、有機物を分解して栄養を摂取している菌が「腐生菌(ふせいきん)」です。主に倒木や切り株から生えています。腐生菌は人工栽培が可能であり、比較的簡単に育てられます。

ナメコ・シイタケ・マイタケ・キクラゲなど、スーパーに並んでいるキノコ類は、ほとんどが腐生菌に属する種類のキノコです。

身近な公園などでも立ち枯れている樹木の根元には、毒キノコとして有名な腐生菌のニガクリタケ(毒)が群生しているケースが見られます。

菌根菌

生きた樹木から栄養を分けてもらいながら生活する菌が『菌根菌(きんこんきん)』です。地面から発生する菌根菌は、地中に菌糸を張りめぐらせ、樹木の根と共生して菌根を作り、土の中の養分や水を集めて樹木に渡し、代わりに樹木の光合成で作られた栄養素をもらっています。

マツタケ・ポルチーニ・トリュフといったキノコが、菌根菌に該当します。これらは、人工栽培で育てることは困難です。

品種により、共生する樹木の種類は異なります。マツタケとアカマツや、ポルチーニとトウヒなど、キノコと樹木が共生関係を築いている場合は、木々の種類を確認することで付近のキノコもある程度判別することが可能です。

ちなみに、菌根菌の中でも種類が多い「テングタケ科」「イッポンシメジ科」のキノコはほぼ有毒です。

イグチの特徴は?

 ヤマドリタケモドキ(食)。

イグチ科に分類されるキノコの多くは、樹木と共生する菌根菌です。ほかのキノコ類と区別できるように、イグチの特徴を正しく把握しておきましょう。

傘の裏側が管孔状

例外的な一種を除くと、イグチの傘の裏側は、他のキノコによく見られる「ヒダ」ではなく、筒状の穴が数多く開いた「管孔」になっています。スポンジのような見た目と手触りが特徴です。

キノコの傘の裏側を確認し、管孔になっていなければ、それはイグチ以外のキノコであると判断できます。

ただし、傘の裏側が管孔になっている種類は、イグチ以外のキノコにも存在するため注意しましょう。

柄がある

ほかのキノコと区別するにあたり、柄の有無でも判断できます。イグチには柄が付いており、今のところ柄のないイグチは日本には存在しないとされています。

傘の裏側が管孔になっているキノコでも、柄がないものはイグチではないと判断できるでしょう。

例えば、サルノコシカケ類は傘の裏側が管孔状のキノコですが、例外はあるものの柄の付いていないものがほとんどです。

弾力のある肉質

イグチ科は弾力のある肉質で、スーパーで売っているキノコとそう変わらない質感です。

イグチの仲間と同じように、傘の裏が管孔になっているキノコには、サルノコシカケの仲間があります。

サルノコシカケの仲間の多くの肉質は、木質で木の一部のように固いのですが、中には比較的柔らかいキノコもあります。

ただそういった種でもほとんどのものは、なめし皮のような質感でとても食べられるものではありません。

管孔を傷つけると変色するものも

イグチ科に分類されるキノコには、管孔や傘、柄などを傷つけると変色するものがあります。キノコに含まれる物質が空気に触れ、化学反応を起こすことによる現象です。

キノコの種類によって、どのような色に変化するのかは異なっています。変色した後の色から種類が判別できるため、イグチ科の種類を見分けるのに役立つでしょう。

例えば、アカジコウは青に、ドクヤマドリの管孔は青に、オニイグチは鮮やかな赤色からしばらく時間をおいて黒褐色に変色します。ただし、ヤマドリタケモドキやアカヤマドリなど、変色しない種類もあることには注意が必要です。

イグチに毒なし?毒性キノコの見分け方

ヤマドリタケモドキ(食)。

イグチ科のキノコには、食用として古くから親しまれているものが数多くあります。ただし、猛毒のあるイグチも中には存在すため、主なイグチの見分け方を覚えておくことが大事です。

昨今は毒菌も見つかっている

かつては、イグチ科のキノコは無毒だといわれていました。しかし昨今は、毒を持ったイグチも多数見つかっています。

毒キノコを誤って食べてしまうと、命に係わる食中毒を起こすこともあるため、種類が分からないイグチ科のキノコは安易に食べないようにしましょう。

またイグチには、食用の種類と形が似た有毒の種があります。似ている毒キノコの特徴や、見分けるポイントを覚えておくことも重要です。

ドクヤマドリ(毒)の特徴

イグチ科の代表的な毒キノコがドクヤマドリです。夏から秋にかけて1500m以上のウラジロモミ、シラビソなどの亜高山帯針葉樹林で多く見られます。

淡褐色〜黄褐色で、傘の表面はビロード状で直径10〜25cmと比較的大きなキノコです。成長するにつれて、半球型の姿から、平らな形状へと変わっていきます。管孔を傷付けると青く変色しますが、傘や柄の変色性は弱く、ほとんど青変しないこともあります。

柄の長さは10~20cmで、表面は薄黄色で網目模様がありません。成長すると柄を取り巻く帯状の赤茶色のシミが見られるようになります。

外見がドクヤマドリに似ているキノコとしては、毒を持たないヤマドリタケモドキが挙げられます。柄に網目模様があることや、変色性のないこと、広葉樹林に発生する点が、ドクヤマドリとの大きな違いです。

バライロウラベニイロガワリ(毒)の特徴

ウラベニイロガワリの仲間は、傘の裏側が赤いのが特徴です。中でも、バライロウラベニイロガワリは強い毒性を持つキノコで、小さなときは灰色ですが、成長すると傘や傘の裏や柄など全体がバラ色になることから、このような名前が付けられています。傷を付けると速やかに青く変色することが特徴です。

夏から秋にかけて針葉樹林帯で見られます。傘の大きさは5~10cm、柄の長さは7~12cmです。柄の下側が膨らんでいるものもあります。

バライロウラベニイロガワリは、柄の上部に網目模様がありますが、ときには不鮮明なこともあります。

似た形をした、食用のアメリカウラベニイロガワリは、傘の表面は茶褐色でビロード状、裏は鮮やかな赤色。柄には赤く細かい粒点や条線があり網目になることはありません。また柄の下部が黄色の菌糸に覆われるのが特徴です。傷つくと速やかに青く変色します。

ミカワクロアミアシイグチ(毒)の特徴

最初に見つかったときに、誰かが食べる前に成分分析を行なったために、中毒者を1人も出さずに毒キノコだと判明しました。

初夏から夏にかけて、ヒサカキが混じる雑木林に発生します。傘は約5~15cmで、色は暗紫褐色~黒紫褐色です。傷を付けると赤から紫に変色し、最終的には黒になります。

柄に見られる二重の網目模様が、ミカワクロアミアシイグチの大きな特徴です。柄は管孔と同じ色で、形は円柱形または下側がやや膨らんでいます。

よく似たキノコには、オオクロニガイグチやモエギアミアシイグチがあり、柄の網目で区別することが可能です。ただし、どちらも食用ではありません。

毒キノコの間違った見分け方に注意

バライロウラベニイロガワリ(猛毒)。柄の編み目が不鮮明で粒点に覆われたタイプ。間違って食べないように特に注意が必要。

毒性キノコの見分け方や食べ方に関する古い言い伝えには、多くの迷信が含まれています。誤った言い伝えと、それに対する正しい知識を持っておきましょう。

古い言い伝えはすべて迷信

「毒キノコは派手な色をしている」という見分け方は誤りです。地味な色のキノコにも、毒を持った種類があります。

「茎が縦に裂けやすいものは食べられる」も間違った見分け方です。毒キノコの中にも、縦に裂けるものがあります。

「虫が食べられるものは人間に害がない」「ナスと一緒に煮ると毒が消える」「毒キノコは塩漬けをすれば食べられる」なども迷信です。

まとめ

キノコには腐生菌と菌根菌の2種類があり、イグチは菌根菌に分類されます。特徴としては、「傘の裏側が管孔(スポンジ状)」「柄がある」「肉質が木やなめし皮のように強靭ではなく、市販のキノコのような質感と手触り」の三つが挙げられます。毒キノコだけを特別に見分ける方法はありません。

イグチに毒を持つ種類があるため、見た目が似た種との見分け方を覚えておくことが大事です。安易に毒キノコを採取してしまわないよう、正しい知識を備えてキノコ狩りを楽しみましょう。

監修/柳沢牧嘉

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