岩場に潜む赤い忍者「ショウジンガニ」を採って食す

2019.09.06

私が書きました!
宿「 bed&breakfast ichi 」亭主
成相修
通称ころすけ。神奈川県三浦半島南端の町「三崎」に夫婦で営む小さな宿「bed&breakfast ichi」の釣りバカ亭主。宿では釣りやトレッキングなどの自然体験ツアーも開催。

岩手県以南の日本各地に分布。外洋に面した岩場を好む

神奈川県南部に位置する三浦半島「三崎」という町で、釣りやトレッキングなどの体験ツアーを行う宿「bed&breakfast ichi」を運営している成相ころすけです。

三浦半島も夏休みに入りました。海水浴や磯遊びで賑わいをみせる頃になると、磯際でも美味しい食材を採りやすい季節の到来です。磯遊びをしながら採って楽しめる美味しい海の幸が、今回のターゲット「ショウジンガニ」です。

海辺で親しまれる庶民の味。採って楽しい、食べて美味しい磯のターゲット

ショウジンガニは、甲羅は大きくても5~6㎝と小型。全身褐色で個体差はほとんどありません。通年、水面下から水深20mくらいまでの岩礁帯に生息していて、潮が引くと岩の隙間などに見ることができます。警戒心が強く、人影を見ると素早く岩の下などに隠れる素振りは、まるで磯の忍者。

しかし、貪欲な性質なため、エサの匂いを察知すると気軽に岩の下から姿を現します。基本的に群れることはありませんが、1カ所に数匹で固まっていることが多いため、比較的簡単に居場所を特定することができます。

日本では古くから海沿いの庶民のおかずとして親しまれ、夕方に魚の切り身を持って夕飯のおかずを採りにいくこともあったそうです。今では捕り手も減り、マニア色の強いカニですが、静岡県の伊豆エリアでは名物として人気があります。地域によっては漁業権の対象種になる場合があるので、採集の際は管轄の漁協などに問い合わせましょう。

海辺で親しまれた風味豊かなショウジンガニを今回も“採って、美味しく食して”紹介していきたいと思います。

点在する大岩の下や隙間にショウジンガニが潜む

満潮時には海の中に隠れてしまう大きな岩や、左側の岩壁下のようなところがポイント

まずは、ショウジンガニを採るポイント選び。浅瀬の岩場に生息するカニとしては比較的大きなカニのため、身を隠す場所は大きな岩の下、岩壁の隙間などがポイントとして適しています。基本的には水面から出ることはありません。磯の高いところに立ち、こういった場所の水中、波が直接当たる岩の後ろや、水流が流れ込む潮だまりの入口などを探りましょう。

ショウジンガニは警戒心の強いカニです。見つけても忍者のようにすぐ岩陰に隠れてしまいます。しかし、焦ることはありません、これから紹介する方法でポイントに近づけば、すぐに姿を現します。彼らのたまり場所を効率よく見つけるのが、ショウジンガニを採る秘訣です。

竹の棒を使った「ひっこくり」でショウジンガニを採る

① 竹の棒&輪ゴム ②ライフジャケット ③スパイクシューズ ④身エサ(サンマやイワシなどの塩漬けしたもの)⑤サングラス ⑥クーラーボックス ⑦作業用ゴム手袋

今回は、竹の棒の中に糸を通す「ひっこくり」という道具を使います。ひっこくりは伊豆半島ではポピュラーな仕掛けで、岩の隙間から簡単にショウジンガニを採るために考えられました。この道具は、竹の中空を利用して作られます。筒の中の節を抜いて筒の中に糸を通し、先端の筒穴から糸を出して、チチワ結びで輪っかを何個も作ります。この時に筒穴より大きなウキを一緒に結び、筒穴の先端から糸が完全に抜けないようにします。

身エサは、生のサバやイワシなどを切り身や丸ごと塩漬けにしたものを使用します。塩漬けすることで、ちぎれにくくエサ持ちがよくなります。身エサは輪ゴムをつかって竹筒の先端ににくくりつけます。

穴の先端から飛び出るように、無数の輪っかを作ります。できるだけ太い釣り糸で作るのが良いです。(写真は10号の釣り糸を使用)

竹筒から出る釣糸を下に引くと―

ウキだけを残して他の輪っかが竹筒の中に入ります。この輪っかにカニの足やハサミがハマるように糸をゆっくり引くのがポイントです。

竹筒の先端に身エサを輪ゴムでしばり、カニのいそうな隙間へ竹筒の先端を入れます。この時、竹筒の先端が自分から見える位置にあるようにしましょう。ショウジンガニがいれば、ほぼ確実に匂いで誘われて姿を現します。

竹筒の先端から出る輪っかをカニがいる方向に配置して待機し、ショウジンガニがエサに近づいてくる時、輪っかのかたまりを通り抜けるようにします。そうするとエサまでたどり着いた時にはショウジンガニの足やハサミには輪っかが絡まった状態になります。輪っかを急に動かさない限り、カニは身エサめがけて躊躇なく飛び込んでくるので、大胆にショウジンガニを絡めてしまいましょう。その後、糸をゆっくりと引っ張ることで輪っかが小さくなっていきます。

最後はショウジンガニの身動きが取れなくなった段階で竹筒を上げると捕まえることができます。

ハサミを輪っかに通したら、とにかくゆっくりと手元の糸を引きましょう

捕まえたショウジンガニは糸を緩めると素早い動きで簡単に逃げてしまいます。クーラーボックスを開け、竹筒の先端をクーラーボックスに入れてから糸を緩めるのがおすすめです。また、ショウジンガニは暑さに弱いため、持ち帰る際はクーラーボックスに氷を沢山入れ、冷やして持ち帰ると良いです。

この方法を使えば警戒心の強いショウジンガニでも、コツを掴めば簡単に採集することができます。しかし、沢山採れるからといって、根こそぎショウジンガニを捕まえずに食べる分だけ持ち帰るようにしましょう。きちんと子孫を残してくれるカニたちを残しておけば、次のシーズンでも漁を楽しませてもらえます。

ショウジンガニを採る際の注意点はもうひとつあります。必ず手袋とスパイクシューズ(マリンシューズなどでも可)を必ず着用して、貝や岩などで怪我をしないように準備することが必要です。お盆を過ぎるとクラゲなども多くなります。肌を露出しない服装(ラッシュガードやスポーツタイツ)とライフジャケットを必ず着用して安全に努めましょう。

1箇所に数匹潜んでいるのでポイントを見つければ簡単に捕まえることができます

カニ味噌の風味が広がる絶品!「ショウジンガニの味噌汁」

上がオスで下がメス。メスは夏から秋にかけて卵を持つため大変美味しい

ショウジンガニは身が少ないのですが、カニ味噌がたっぷり詰まっているため、濃厚な出汁が食欲をそそります。今回は出汁をふんだんに使ったショウジンガニの定番料理、「ショウジンガニの味噌汁」を作ります。

ショウジンガニの味噌汁

【材料】 2~3人分

ショウジンガニ…5~6匹
味噌…大さじ2
小口ネギ…適量

【ショウジンガニの下処理】※作り方は下へスクロール

(1)たわしを使い、丁寧にカニの甲羅や足などの汚れを取り除く

(2) ショウジンガニを裏返しにし、包丁で真っ二つにぶつ切りにする

ショウジンガニの甲羅の中はカニ味噌でいっぱい。これが旨味の素となります。

【作り方】

1:下処理を行ったショウジンガニを小鍋に入れ、全体が浸る程度水を入れます。

2:強火にかけ、ショウジンガニが赤くなるまでグツグツと煮ていきます。

3:アクが出てきたら丁寧に取り除き、全体が赤く茹で上がったら火を止めます。

4:味噌を溶き、よくかき混ぜます。盛り付け時に小口ネギを添えれば完成です。

風味豊かなカニ味噌は一度味わうと病みつきになります。身は少なめですが、丁寧にほぐせばクセもなく淡白な味わいです。

磯遊びをする際は竹の棒片手にショウジンガニを採ってみてはいかがでしょうか? きっと大人も子どもも、夢中になって楽しむことができるはずです。

採って楽し! 食べて良し! な手軽な磯の忍者を皆さんも採りに出かけてみてはいかがですか?

◆ショウジンガニを採って食べる体験プログラムも随時開催しています

Bed&breakfast ichi「磯遊び(海の生きもの採集)ツアー」
http://miurabase.com/ichi/#tour

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