焚き火と薪ストーブをもっと楽しむ理想の薪とは

2019.11.03

私が書きました!
自然派ライター/セルフビルダー
和田義弥
1973年生まれ。主に、アウトドア、DIY、田舎暮らし、家庭菜園などのジャンルで記事を執筆。これまで延べ3年3カ月をかけてオートバイで世界一周したほか、自転車ではアラスカ、フィリピンを野宿ツーリング。2011年から茨城県筑波山麓の農村で田舎暮らし。自宅のセルフビルドや野菜づくりなど、できることは何でも手づくりの生活を実践中。著書に「キャンプの基本がすべてわかる本」(枻出版社)、「野菜づくりを基礎から学ぶ 庭先菜園12ヵ月」(実業之日本社)、「ニワトリと暮らす」(地球丸)、「菜園DIY入門」(地球丸)など多数。 http://www.wadayoshi.com/ 

 

薪のある暮らし

私が暮らす古民家は築70年を超える。この家にはかつて薪焚きの風呂とかまどがあった。つまり、その時代のエネルギーの主役は薪だったということだ。薪といってもチェンソーなどはなかったから、昔話の「おじいさんは山に柴刈りに」ってやつだ。この柴というのは鎌で刈り取れるくらいの細い雑木で、柴刈りというのは焚き木拾いのことである。ほんの70年前だ。

その後、この古民家はリノベーションされて風呂は灯油に、かまどはガスコンロに変わった。でも、冬だけは薪ストーブの燃料として今も薪がエネルギーの主役を張っている。ひと冬に消費する薪はだいたい軽トラ5台分くらだろうか。もうちょっと多いかもしれない。毎年、それだけの量の薪をチェンソーで切り出して斧で割っていくんだ。おっとその前に原木の丸太を軽トラに積み込んで運んでこなくちゃならないな。丸太も山の持ち主などが切り倒してくれているものならいいが、自分で伐木するとなるとこれまた大仕事。危険も伴う。

とにかく薪を作るってのは大変なんだ。でもね、筋肉つくし、スリムになるし、スポーツジムに通うよりずっと健康的だと思うよ。

余談だが「象をも倒す」といわれる強打を誇った米国の元プロボクシングヘビー級チャンピオン、ジョージ・フォアマンは薪割りでそのたくましい体を作ったんだ。

理想は含水率20%以下
火にくべたらポッと燃え出す2年物

我が家の薪は、主に薪ストーブの燃料になるもので、斧で割って薪の状態にしてから雨の当たらない薪棚で2年ほど乾燥させてから使用する。

生木の含水率は、樹種や伐採する季節にもよるが乾燥重量の40%くらいから150%以上になる。自然乾燥でそれを20%まで落とすのだ。それがどうやってわかるかというと、含水率計という便利な道具がある。

ネットで2000円くらいなので、薪にこだわるなら遊び半分で手に入れてみたらいかが?しかし、長年薪ストーブを焚いていればそんなものを使わなくても、自分で割った薪ならば木の表情と割った時期から乾燥具合はだいたいわかる。

キャンプの焚き火では、その辺に落ちている風倒木などを薪にすることも多いが、含水率が高く、湿っていると煙ばかり出てなかなか火力が上がらない。これは熱エネルギーが最初に薪に残った水分を蒸発させるためだ。それに比べると、乾燥には時間がかかるが2年物の薪は素晴らしい。薪ストーブでも、焚き火でも、火にくべれば瞬く間にポッと燃えだし、煙もほとんど出ない。キャンプで焚き火に苦労している人、その問題はよく乾いた薪を使えば簡単に解決できます。

広葉樹、針葉樹、樹種による薪の燃焼特性の違い

ところで、一口に薪といっても着火性や火力、火持ちなどは樹種によってまったく異なる。ただ、実をいうと、どんな木でも重量あたりの燃焼効率はほとんど変わらない。つまり、同じサイズなら重い薪(比重が高い)のほうが長く燃え続けるということだ。

コナラ。火持ち、火力とも抜群。キャンプ場でもよく売っている。

木には針葉樹と広葉樹があるが、比重が高いのはクヌギやコナラ、ミズナラ、カシ類などの広葉樹だ。里山の雑木林を構成する代表的な樹木で、昔から薪として重宝されてきた。我が家では、そのときどき手に入る薪を何でもいただいて使っているが、この4種は最高級品にランクされる。いずれも火力が高く、あまり煙を出さず、穏やかな炎でゆっくりと燃える。薪ストーブで暖を取るにも、かまどで料理をするにも適している。それは、そのまま焚き火にも当てはまる。

モチノキ。庭木としてよく植えられている。硬さはカシ級。火持ちもよい。

サクラやクリやカキもいい。カシ類やコナラに比べると若干火力は劣るが、硬すぎず割りやすいので、薪作りが楽である。ケヤキも火力、火持ちに優れた優秀な薪なのだが、カシ類と同等に硬くて割るのに苦労する。しかも、香りがかなりキツイ。焚き火でケヤキの煙はやりきれない。

サクラ。香りがよく燻煙材としても定番。

一方で、スギやヒノキやマツ類などの針葉樹は、建築廃材や間伐材などを入手しやすいものの比重が低く、火持ちが悪いので薪としてはあまり重宝されていない。スギの比重は、カシ類の半分以下だ。加えて、燠にならずに灰となって燃え尽きてしまうので料理にも不向き。煙や煤も多く出る。ただし、着火性はよく、すぐに大きな炎が上がるので、焚きつけとしてはうってつけ。スギやヒノキは割裂性が高いので細かく割るのも容易だ。

スギ。細かく割って焚きつけに。スギの枯れ葉は着火剤に使える。

薪ストーブでも焚き火でも、焚き始めは火つきのいい針葉樹でガツンと熱量を上げ、炎が安定したら火力が高く、火持ちのいい広葉樹をくべて暖をとったり、料理をしたりするのが理想だ。だからキャンプでも2種類の薪を用意しておくといい。

生活のエネルギーとして薪を作るのは大変だ。時間もかかるし、労力もいる。それ以前に近くに里山のような油田がなくては薪自体が手に入らないし、庭には薪のストックヤードも必要だ。お金を出して機械できれいに割られた薪を入手することもできるが、1日限りのキャンプの焚き火ならまだしも、ひと冬分のストーブの燃料となるとそのコストは半端ない。薪は電気より、ガスより、灯油よりエクスペンシブな燃料だ。で、多くの薪ストーブ愛好家は体力勝負で薪をこしらえる。かなりしんどい。庭に山積みされた丸太の山を見るとちょっとへこたれる。でも、薪エネルギーはそんな労力を差し引いても楽しい。焚き火だってそうでしょ。揺らぐ炎を眺めていればそれだけで幸せになれるもんね。

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