【特別インタビュー】バックパック界のダ・ビンチ!デイナ・グリーソンが語る「ミステリーランチのモノづくり」

2018.03.04

原点はプロユースのパック開発

編集部 ミステリーランチの立ち上げ当初、アメリカのショーで姿をお見かけしても、製品が店舗に並んでいるのは見たことなかったのですが…。
デイナ・グリーソン(以下、デイナ)それはね、かなり特殊なバックパックばかり作っていたからなんだよ。小売店への卸販売もしてなかったしね。
編集部 特殊なパックとは?
デイナ 消防士や森林局員のフォレストサービス用のパックとか。森林火災があると、消防士は放水ホースなど消火のために重い道具を背負って歩く。だから「腰で背負う」ことが大事になる。さらにチェーンソーで木を切ったり、重機を扱ったりするから、バランスよく動けるようにしなけりゃいけない。30㎏超の機材のほか全装備合わせて50~60㎏もの荷物を背負って、命をかけて消火活動するプロだからね、彼らは。パックを作るわれわれも、責任重大なんだよ。

編集部 ミステリーランチのパックは、そういうプロユースのパック開発が原点なんですね。
デイナ そう、彼らのフィードバックなしには、いまのミステリーランチはあり得ないよ。背負いやすさだけじゃなく、どう荷物を出し入れするかも重要なんだ。たとえばメディカルスタッフが使うパックは、片手でもスピーディーに荷物を出し入れできることが必須。
編集部 それが、パック本体がY字に開いて荷物が取りだしやすい「3ジップアクセス」?
デイナ きっかけはともかく、3ジップのデザインは、そう、荷物を出し入れしやすくするためのアイデアだね。

フィールドは生きた学びの場!

編集部 もうひとつ特徴的かつ画期的な「フューチュラヨーク・システム」(ユーザーの体格や身長に合わせてパックの上下ポジションを無段階に調節、固定することができるシステム)について教えていただけますか?
デイナ あれはね、私が参加したトレイルを歩くイベントで、あまりに多くの人が正しい背負い方をしていないことに気づいたもんでね…(苦笑)。どんなにいいパックを作っても、正しく背負ってもらわないといかんからね。フューチュラヨーク・システムなら、どんな背丈の人でも理想的にフィットさせられて、一度調節すれば二度とズレないんだ。
編集部 ミステリーランチのパックに盛り込まれたアイデアは、本当にフィールドでの経験や不具合、フィードバックが発信源になっているんですね。
デイナ それは当然ですよ、アウトドアで使う道具なんだから。基本中の基本です。フィールドは「生きた学びの場」ってわけさ。だからうちの社員は全員ソーイングマシンでモノが作れるんです。「閃き」をすぐカタチにできるようにね。

デイナ・グリーソンの歩み

1975年
モンタナ州ボーズマンでパックブランド「クレッターワークス」を創設。(軌道にのったあと会社を売却。その後、クレッターワークスは消滅)

1985年 
同じくボーズマンを拠点として新たに「デイナデザイン」を創設。以降’90年代半ばにかけて誰もが憧れるバックパックブランドとして君臨。のちに、アンソニー・インダストリーズ(現・K2)の子会社となり、デイナ自身は’98年にデイナデザインから退いた。

2000年 
K2社との非競争契約(競合製品を生産しない取り決め)期間が満了し、「ミステリーランチ」を設立。

2004年 
米国海軍特殊戦コマンド管轄部隊の依頼で、軍事契約モデルを手掛ける。

2011年 
デイナが開発した軍用モデルが米国海兵隊に制式採用され、会社が急成長する。

2012年 
息子D3の進言で、「クレッターワークス」を復刻。

デイナが最初に立ち上げたクレッターワークス復刻の立役者で、現在はプロダクトマネージャーの息子D3(左)とは大の仲良し。

◎構成/坂本りえ

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