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じつは恩恵がいっぱい。チューブがいらないスポーツ自転車用『チューブレスタイヤ』の秘密とは?

2021.03.31

私が書きました!
CX / BMXアスリート
腰山雅大
自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。https://www.instagram.com/vhlg/

空気を保持するチューブがないタイヤとは

チューブが入っていない「チューブレスタイヤ」とは?

ロードバイク、マウンテンバイク、シクロクロスなど、スポーツ自転車の種類はとても多く、それに合わせて新しい技術を盛り込んだパーツがたくさん登場している。

しかし、ペダルを漕いでハイスピードで走るための機材である以上、なんらかの故障はつきものだ。とりわけパンクなどタイヤに関するトラブルは、ライトユーザーでも出くわすことも多いだろう。今回は、そんなパンクトラブルを防ぎ、乗り心地までアップできる「チューブレスタイヤ」の秘密に迫ってみる。

自転車トラブルの定番=パンク

サイクリング中、ぺシャンと潰れたタイヤを見て絶望した気分になった方は私だけではないはずだ。

スポーツ自転車からママチャリまで、自転車のタイヤは、中にチューブを入れ、それを空気で膨らませるタイプが多い。一般に、空気が漏れないゴム製のチューブが使われている。タイヤトラブルの中でもポピュラーな<パンク>は、チューブから空気が漏れることを指す。

では、どのようなことが原因で、チューブから空気が漏れるのだろうか?たとえば、画鋲や釘など尖ったものを踏みつけてしまう場合。または、「リム打ち」といって、低圧のタイヤを段差などの角に打ちつけて穴をあけてしまう場合がある。前者はチューブにひとつ穴があいてしまうのに対して、後者はホイルと段差の角がぶつかるため、チューブに対して垂直に2箇所穴があく(蛇が噛んだような跡がつくため、「スネークバイト」とも呼ばれる)。いずれもパンク修理や、チューブの交換が必要となる。

タイヤの中にチューブが入っていない=チューブレス

タイヤの表記に綴られた「TLC」という文字、これは”チューブレスコンバーチブル”の略称で、チューブレスにも対応という意味だ。

見方によっては、パンクの原因ともいえるチューブだが、そのチューブ自体をタイヤの中からなくしてしまう「チューブレスタイヤ」という規格があり、これがスポーツサイクルの世界では少しずつポピュラーになっている。

チューブレスタイヤは、文字通りチューブがないわけだが、空気を保持するために、チューブレス専用に設計された「ホイル」「タイヤ」「その他のスモールパーツ」をセットで使用する。最新の自転車のなかには、あらかじめチューブレスにも換装できる部品が装備されているものも増えていて、そんなモデルなら、チューブを抜いて少し手を加えるだけでチューブレス化できる。

チューブレス化の仕組み

ホイルもチューブレス対応のものを準備する必要がある。タイヤが外れないよう少し特殊な形状になっている。

チューブレス仕様のパーツは、ホイルとタイヤだけで空気を密閉できるよう規格を揃えて開発されている。しかし、完全に空気を密閉するためには、意外とアナログないくつかの手順を踏む必要がある。

ホイルはリムの穴にスポークと呼ばれる長い金属棒を通し、円全体に張力をかけて組んである。このリムにある金属棒を通す穴をきっちり塞がないと空気漏れの原因となる。また、ホイルとタイヤが接する部分を、完全に密閉するだけの精度を確保するのは難しく、”とあるもの”でそれを塞ぐ必要がある。

ホイル側の穴は、テープで塞いでしまう。なんともアナログな方法だ。このほか、元々穴が塞がっているタイプのホイルも発売されている。

まず前者の大きな穴には専用のテープで対応する。ホイルの内側に長いテープを1〜2巻きすると、それだけで空気が密閉される。また後者の小さな穴(わずかな隙間)に対しては、空気と触れることで固まる「シーラント」と呼ばれる液体を流し込んで塞いでしまう。シーラントは、タイヤのなかに流し込み、しばらく放っておくだけで固まり、空気の漏れを止めてくれるリーク剤のようなものだ。

チューブレス化のメリット

ホイル内部のテープ貼りが完了したら、タイヤを取り付けて最後にシーラントと呼ばれる空気漏れ防止剤を流し込む。

以上の手順でチューブレス化は完了だ。続いて、チューブレス化による大きな恩恵を紹介しよう。

まずパンクトラブルに対して。そもそもチューブが存在しないため、リム打ち程度で穴があくことはない。釘などでタイヤに穴があいてしまった場合も、2mmくらいまでならシーラントが固まって穴を塞いでくれる。

サイクリングなど、出先でパンクした場合も、シーラントが勝手に固まって気づかないことがあったり、ある程度低圧になった場合も、穴が塞がった時点で空気を足せば大丈夫だ。万が一、タイヤが裂けるほどの大きな穴があいた場合でも、タイヤの裏側からパンク修理用のパッチを貼って応急処置をして、さらに普通のタイヤ用のチューブを入れることで、目的地にたどり着くことはできるだろう。

乗り心地も良くなる

実際に走ってみて、その違いはかなり明確にわかるものだ。とくに空気圧が低い状態だと顕著に理解できる。

トラブルの対処のみならず、チューブレスには「乗り心地が良くなる」効果もある。タイヤは、主に空気の保持層で路面からの振動を吸収するが、チューブがない分、タイヤは柔らかくしなやかになるため、同じ空気圧にした場合、圧倒的に振動吸収性が良くなるのだ。オフロード自転車などの空気圧が低いタイヤなら、かなりわかりやすいが、空気圧の高いロードバイクでも、違いがわかるはずだ。

タイヤやホイルの表記をチェックしてチューブレスにしてみよう

横幅の大きなMTBタイヤも、今やチューブレスが主流だ。比較的低圧で走るMTBでは、チューブレスの恩恵がかなり大きく、トレイル走行からレースまで、もはやチューブレスが主役といえる。

MTBなどのオフロード自転車のみならず、最近ではロードバイクでもチューブレスに対応したパーツを装備した完成車が多くなってきたと聞く。チューブレスに対応しているか、見分ける方法は簡単。タイヤとホイルに「Tubeless」や「Tubeless Ready(TLR)」または「Tubeless Convertible(TLC)」と表記されているかを確認するだけ。この表示があれば、チューブレス化は簡単だ。

自転車整備に慣れた方なら自分で取り組んでみるもの楽しいだろう。ビギナーの方でも、自転車屋さんに相談すれば対応してくれるケースも多い。これひとつでトラブルが起きる可能性を下げることができると思えば、手間をさく価値は大きいと思う。「チューブレスタイヤ」で、トラブルを未然に防ぎ、乗り心地の良いサイクリングライフをぜひ体験してみていただきたい。

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