
教えた人 藤原祥弘(左) 投網歴30年。10代のころ投網漁師に弟子入りして技術を授かる。海川でおかずを調達。 教わった人 編集 ハヤサカ(右) 東京と長野の2拠点生活を実践中。「投網をマスターできたら夏は毎日アユ食べ放題!?」
もう大人なのに、いつかやってみたい遊びがたくさん! ひとつひとつ、あこがれの野遊びにトライする。そんな時間は、いくつになっても楽しいモノです。
「40代も後半戦、人生に活を入れる趣味が欲しい」。ミッドライフクライシスに怯えるハヤサカが選んだのは投網。果たして魚は捕れるのか!?
投網のうち、三ツ手取りに挑戦!

ハヤサカ:渋そう……
川に着いたら、橋の上から偵察して攻め方を考える。例年なら身をひるがえすアユが光っているが、今年は少ない……!?
「いきなり川に来たけど、大丈夫!? 練習で日が暮れない?」
と心配顔なのはハヤサカ。採集系の遊びはまるで未経験だ。
「大丈夫! 投網にはいくつかの流派があるけど、そのうちの三つ手取りなら勘の良い人は15分で習得できますよ」
「早ッ。でも悪い人は……?」
「いつまでも駄目ですね!」
「駄目な側の気がするぅ……」
実践あるのみと指導を受けたハヤサカだが、予感は的中。どうしても網のセットが覚えられない。手順をひとつ覚えると、ひとつ頭から抜けていく。
「くっ、これが中年の記憶力。四十の手習いは厳しい!」
1時間後、どうにか網をセットできるようになったが、今度は網を打っても開かない。
「いいですか、ハヤサカさん。投網は前方への投げ出しと腰の回転による展開を同時に行なえば自然に開くんです。重要なのは、力ではなくタイミング!」
「それができないから、開かないんじゃんか!」
網のセットと打ち方は教えられても、体の使い方は伝えられない。試投を重ねること数十回。ようやく様になったところで追い込んだアユに網を打つ。
「は……入ったー! アユは捕って楽しく、食べて美味しい。早速マイ投網を買って、残された人生の夏は川に通います!」
宇宙一詳しい⁉ 三つ手取り投法解説
1 手縄をたたんで網を整える

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手首に縄を通し、縄を折り返しながら左手のなかに握り込んでいく。網の上部の処理も同様に行なう。途中で網を吊り上げてねじれを取り、左手で腰骨の高さ(←重要)で網を握る。
2 網を左腕にかける

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おもりを地面につけた状態で軽く吊り、左腕に直近の網をつまみ取っておもりをダマにする。投網のおもりの全量の10分の1程度をダマにしたら、つまんだ網を左腕の付け根にかける。
3 網を2等分する

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左腕から垂れるおもりの直近に右手を入れ、残る網を右手ぶんと左手ぶんの2つに分けていく。右手に握るぶんは親指と人差し指で握っておき、左手ぶんは人差し指と中指の間に握る。
4 左手に半量を持ち替えてセット完了!

左手に握るぶんは、左腕から垂れるおもりの直近のおもりまで網と一緒に握ってから、左手に持ち替える(動画参照)※。両手を軽く開いて保持。
※ビーパルのX(旧twitter)公式アカウントにて解説動画を公開しています。

三角筋と上腕三頭筋の間にかける
両手から下がる網がきれいな長方形をつくるように
5 投網を打つ

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投網は投げ出しと遠心力による網の展開を同時に行なって広げる。最初におもりを前へ振り、その反動で後方、背面へとおもりを回し、そこから腰の回転で打つ。
ハヤサカ、投網の道に入門!
「え! ちょっと! セットした網を落とさずに打つなんて無理!」。入門者の最初の壁が左腕にかけた網を落とさずに打つこと。「コツは上半身です。セットしたら上半身の型を崩さず、腕ではなく体幹で打つ!」。

投網のもうひとつのコツが重心移動。おもりを振り子のように振ってその慣性で広げれば力はいらない。




「ああ〜! 打ち方が、わかった!」。ついに開眼したハヤサカの網に魚が入った。人生初漁獲はカワムツ。

連携プレーでアユを追う!

打て!
今年、この川は猛暑と渇水の影響かアユが極端に少なかった。その少ないアユも草陰に隠れて出てこない。開けた瀬に追い出して網をかける。

やっと入ったアユは小さめ。しかし、爽やかな香りは別名の香魚のとおり。スイカに似た香気が漂う。

炭火で焼いたアユを米と炊き合わせてアユ飯に! 「うまい! 夏の光の味がする。来シーズンからは自力で捕ってつくるぞ〜」

Complete!

美味しゅうございました!
忘れるな、入漁券!

投網漁には入漁券が必要。漁協ごとに価格は異なるが日券が3000円程度、年券が7000〜1万円ほど。
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一
(BE-PAL 2025年10月号より)
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