自然遊びは”いたずら”こそすべて | サスティナブル&ローカル 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2018.11.27

    自然遊びは”いたずら”こそすべて

    Text
    私が書きました!
    アウトドアプロデューサー
    長谷部雅一
    アウトドアイベントの企画運営を手がける『 Be-Nature School 』に所属。人と自然をつなぐインタープリターとしても活動しています。著書『 ネイチャーエデュケーション 』1300円+税 みくに出版 他

    日本のミライを明るくする! 園児野生化計画 vol.64

    いたずらこそ子供にとって最大の学び、モチベーション、緊張、脳のフル活用をできる場であることは間違いない。今回、まさしくその言葉を体現することが起きた。

    年長さんと年中さんが一緒に活動をしたこの日、年長さんが合流するまで30分ほど時間があったため僕は年中さんに問いかけをしてみた。
    「これから来る年長さんに面白いいたずらしない?」
    返答方法は個々違うが、共通して言えることは皆「YES」の返答と目をピカンと光らせたこと。

    今回企てたいたずらは、黄色がかった茶色の実を潰すと何にも代えがたい臭さを放つ「ヘクソカズラ」という植物のにおいを年長さんに嗅がせるというもの。


    これがいたずらの秘密兵器”ヘクソカズラ”
    時期をはずすとカラカラに乾いてにおいがないし、早すぎると青臭いだけのにおいでつまらない

    この実は今ベストシーズンで、この期を逃すとできないスペシャルないたずらだ。
    ちなみに、ヘクソカズラの木のみのにおいは読んで字のごとく「屁」と「糞」のような臭いをするもので、”当たり”を引くと僕も顔をゆがめてしまうほど強力なにおいがする。

    ”いたずら”が持つサウンドの効果は年中さんにすぐに訪れた。ヘクソカズラを採取するために進む道は、彼らにとってなかなか困難な道のりだ。

    少しぬかるんだ田んぼのあぜ道を進み、時々40cm程度の水路を飛び越えないといけない。無事に水路を飛び越えたと思ったら、こんどはちょっと急な坂道を登らなくてはならなかった。
    いつもなら泣き出してしまいそうな子も、今回ばかりは泣いてなんていられない。その先に見えるいたずら成功への道は、険しくても乗り越える価値があったのだ。


    まずは木を置いただけの不安定な橋を渡りきらないとお目当ての物にはたどり着けない


    橋を渡った後には急坂が待ち構えている
    クリアする条件は、両手両足をうまく使えること


    いたずらを成功させる鍵は、まず仕掛け人もヘクソカズラの臭いを知ることだ

    無事に実を採取したあとは、いよいよ作戦決行だ。ここからは失敗は許されない。
    子ども達は、ヘクソカズラのにおいを嗅がせるまではたくさんの工程を記憶し、そして実行しなくてはならいのだ。
    緊張する仕掛け人の年中さんの顔は引きつっていたが、実行の時間は待ってくれない。

    「今日は年中さんが年長さんのためにとっても素敵なにおいがする木の実をとってきてくれたよ・・・」
    「はい○○ちゃんこの臭いにおい嗅いで!・・・」

    年中さんの言葉には若干の間違えはあったものの、始まったいたずらは見事に成功した。
    年長さんがヘクソカズラのにおいを嗅いだときにクシャッとなるくらいゆがんだ顔は、年中さん達を大満足させるには十分な成果だった。


    「くっせ〜!!!」年中さんのいたずらが成功した合図は年長さんの叫び声でみなわかった


    この本気で臭い物の臭いを嗅いだときの顔
    いつもは一目置くお兄さんの顔を見て年中さんは大満足だ

    もちろん、いたずら後の彼らは仲良く一日自然の中でたっぷりと遊ぶことができた。
    いつもと違うところは、年中さんがいつになく自信に満ちあふれた様子だったことだ。

    帰り際、年中さんの子供数人が僕の所へ来て小さな声で僕の耳元でささやいた。
    「ハセベ先生。次はどんないたずらしようか?」
    しめしめ。次が楽しみになったな。また最高の子供達が誕生したのでした。

    私が書きました!
    アウトドアプロデューサー
    長谷部雅一
    アウトドアイベントの企画運営を手がける『 Be-Nature School 』に所属。人と自然をつなぐインタープリターとしても活動しています。著書『 ネイチャーエデュケーション 』1300円+税 みくに出版 他

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