ハワイの動植物は3つのW(WIND/風、WING/翼、WAVER/波)によってもたらされたと言われる。
どこの大陸にも接しないハワイ諸島は、独自の固有種がたくさんあった。その後ポリネシアン人が入植し、そのときにいくつか動物や植物を持ち込んだそうだ。元々四つ足動物の捕食者がいなかったハワイでは、とげのある植物はとげを失い、香りのある植物は香りを失い、渡り鳥までが飛ぶ能力を失った(ネネという鳥がそう)。優しい環境ですくすくと育ってきたため、その後他の国から持ち込まれた動植物により固有種は絶滅の危機にひんしている物も多い。「今困っているのは悪いジンジャー。繁殖力が強くて、ボランィアが時々抜いているんだけどどんどん増えている」といって“悪いジンジャー”を片っ端から抜くボビーさん。もちろんそれらの外来種が全て悪だったわけではない。木々の伐採で水を貯える能力を失いつつあった山を外来種が守ったり(現在は固有種の木は伐採禁止)、ハワイの土壌に適応した外来種スミレは草から木に進化、その子孫のプルメリアやハイビスカスは今ではハワイの代表的な花になっていたりもする。もちろん元気に頑張る固有種も沢山残っている。ハイキング中に珍しい原種のアジサイをみる事ができた。
ハワイには自然にまつわる伝説が沢山あるが、ここで植物にまつわる悲しい伝説を紹介しよう。——昔、愛し合うある男女がいた。だがキラウエア火山の神「ペレ」が男に横恋慕したことにより、ふたりの運命は悲しく引き裂かれる。ペレは自らの恋がかなわないと知るや、男を山に追い込み、女を海に追い込んで溶岩で焼き尽くそうとした。ふたりを哀れにおもったペレの姉妹神が命だけは助けようとふたりを植物にかえた。しばらくすると山に半分しか花のない植物が咲いた。そして海にも半分しか花のない花が咲いたーー

それがこの“ナウパカ”という花。ナウパカには「山のナウパカ」と「海のナウパカ」があり、それぞれ咲く場所が異なるのにも関わらず、まったく同じ形の半円の花を咲かせる。こんなお話を聞けるのもガイド付きのツアーならでは。
前回のヘリコプターツアーで上空からみた所々赤い土。これは鉄分を多く含むためこのような色になっているのだそう。ちなみにこの土で染めた赤茶色のTシャツはカウアイ島の名物お土産になっている。
もう一つのカウアイ島名物(?)ニワトリ。どこに行ってもニワトリがいない場所はないほど。補食する外敵(マングースなど)がいないため、増えに増えて今では人口より多いのだとか。増えすぎだよね、とちょっぴり苦笑いしつつも、ニワトリモチーフのお土産が多いのは、自然を愛するカウアイ島の人々らしい。
最後に立ち寄ったのは“スパウティング・ホーン(潮吹き岩)”と呼ばれる場所。溶岩で出来た海岸の岩には穴があいており、うち寄せた波がその穴の隙間から潮を噴いているかのように高く波飛沫をあげる(約20mほど!)。ボビーさん曰く、設置された展望ポイントよりも少し入り口側から撮るとなんとも美しい虹を見る事が出来るのだそう。飛沫が上がるたびに浮かび上がる虹。しばし時間を忘れて見入ってしまった。
スーパーガイドと一緒に歩くカウアイ島の山、あなたもぜひ体験してみては?
協力/ハワイ州観光局
www.gohawaii.jp
〈旅した人〉
松尾彩
フリーランスのライター/エディター。旅、アウトドアを含めライフスタイルを中心に雑誌・ウエブで活動。New Balanceのウエブマガジン「Good Morning Sunsine」にて「松尾旅」連載中 http://gms.life