古い登山文化が根付く欧州とは違い、北米はスルーハイク、オートキャンプが盛ん。自由な発想から生まれたユニークなブランドが多いのも特徴だ。まずは北米の14ブランドから!
名門ブランド&名品ギアの誕生モノ語り~北米のA~Cまで14ブランド編~
アルトラ(2009年〜America)
怪我せず健康的に走れる"ゼロドロップ"を提唱
ランニングショップで働いていたゴールデン・ハーパーが、足を傷めることなく走れる靴を開発したのが創設のきっかけ。何度も試作を重ねて彼がたどり着いたのは、踵から爪先にかけての傾斜がない「ゼロドロップ」シューズ。トゥボックスが広く、屈曲性に優れたその靴の効果は多くのランナーに実証され、ゼロドロップムーブメントを巻き起こした。
問い合わせ先:ロータス TEL:050(3797)1943
LONE PEAK 8
¥19,800
米国3大トレイルで毎年使用率No.1に選ばれ、リピーターが多いことで知られる定番モデルの最新作。
アークテリクス(1989年〜Canada)
先端技術を駆使したクライミングギア開発
現在当たり前のように使われている止水ジッパーや、高周波溶着技術の導入といった、数々の"業界初"を成し遂げてきたブランド。現在は「耐久性こそがサスティナビリティにつながる道である」という信念のもと、ものを捨てない循環型社会への取り組み「ReBIRD」というプロジェクトも積極的に行なっている。
問い合わせ先:アークテリクス カスタマーサポートセンター/アメア スポーツ ジャパン https://arcteryx.jp/
左が26年前、右が最新の「アルファSVジャケット」。
エーオークーラーズ(1990年〜America)
猛暑に負けないソフトクーラーを製造
アリゾナ州にあるハバス湖で、ボート愛好者のためにクーラーを販売し始めたブライアン・ハッチが創設。彼のクーラーは50度Cに迫る猛暑の中でも24時間以上も氷を保つことができ、たちまち評判となった。あくまで軽量なソフトクーラーにこだわり、小さなランチバッグから容量45ℓの大型まで、豊富なサイズがラインアップされている。
問い合わせ先:ビッグウイング TEL:06(6167)3005
ランチクーラー
¥8,140
サイズ調節や開閉がスムーズにできるロールトップ式。ソロキャンプやピクニック、日常使いとしても人気だ。
ベアボーンズ(2012年〜America)
誰もが欲しくなる魅力的なギア開発に注目
人道支援活動家のロバート・ワークマンが最初に作ったのは、被災地でも安心して生活できるシェルターテント。そしていまでは、日本でもすっかりお馴染みのレトロなデザインのLEDランタンやガーデニング用品、テーブルウェアなど幅広い製品を展開するようになった。利益を支援活動に使うため、機能的、デザイン的にも魅力的な製品開発を心がけている。
問い合わせ先:エイ アンド エフ TEL:03(3209)7575
ブロックタワーシリーズ
ビンテージ感満載なパワーステーション、ランタン、スピーカー(それぞれ別売り)。これらを重ねて持ち歩くことも可能だ。
ビッグアグネス(2001年〜America)
野外で快適に過ごせるより良いギア開発が目標
超軽量テントで知られるブランドだが、創設当初は背中側の中綿をなくし、マットをインサートして使う軽量寝袋で話題となった。「最高のギアを作るために挑み続けること」が、創設者ビル・ガンバーのモットーだ。’07年以降は持続可能性を考慮した製品の製造と調達をスタート。現在では国内の3つの関連施設で100%再生可能電力を使用している。
問い合わせ先:ケンコー社 TEL:06(6374)2788
フライクリークHV UL 1EX
¥74,800(暫定価格)
2年ぶりに復活した、インナーテントにメッシュパネルを使わない日本仕様の軽量山岳テント。重量765g。
バイオライト(2009年〜America)
化石燃料不使用の画期的ストーブを開発
電力が不足している地域のために、焚き火しながら調理し、発電も可能な大型キャンプストーブを作ったのが始まり。続いてバックパッキングでも持ち歩ける小型タイプも発表。創設者であるジョナサン・セダーは現在も、"Energy Everywhere"を目指した製品開発や環境問題に対する取り組みを続けている。
問い合わせ先:モンベル・カスタマー・サービス TEL:0088-22-0031、06(6536)5740
キャンプストーブ 2 PLUS
¥24,200
枯れ枝などを燃やした熱でファンを回して燃焼効率を高める構造で、発電した電気は蓄電可能。
ブラックダイヤモンド(1989年〜America)
クライマーによるクライマーのためのモノ作り
かのイヴォン・シュイナードが立ち上げたクライミングギア製造会社を引き継いで誕生。シュイナード時代に開発されたプロテクション(岩の割れ目に設置して支点を確保する道具)「ヘキセントリック」は回収が容易にでき、クリーンクライミング普及に寄与した画期的発明であった。現在はクライミングギアに加え、バックパック、ヘッドランプなど幅広い製品開発を手掛ける。
問い合わせ先:ロストアロー https://www.lostarrow.co.jp/store/
ベータライト30
¥55,000
テント泊のバックパッキングでも、軽快かつスピーディーな移動をサポートするULパック。695g。
チャムス(1983年〜America)
サングラスストラップの先駆ブランド
コロラド川でリバーガイドをしていた創設者が、愛車のフォルクスワーゲン・バンの荷室に置いたミシンで、サングラス用ストラップを自ら作ったのがブランドの始まり。この「CHUMS Original Retainer」の誕生により、ラフティング中にサングラスを川に落とす惨事が激減! 川をきれいにすることにも寄与した画期的発明といえる。
ブランドのシンボルであり、マスコットとして人気の「ブービーバード(カツオドリ)」は、’84年にコロラドからユタ州に拠点を移した際に誕生。とかくペンギンと勘違いする人が多かったため、現在、東京のJR原宿駅に「ペンギンじゃないよ!」という巨大な看板広告が掲げられている。また’86年になるとウェアの製作も始まり、このころ誕生した「ハリケーントップ」というスウェットシャツは、35年以上のロングセラー。
そんなチャムスが掲げる今年のテーマは、「PICNIC With Your CHUMS!」。自宅近くの公園などでも気軽に楽しめるピクニックを推奨していくという。アイテムは多岐にわたるのではたしてどんなピクニックギアが発売されるのか、いまから楽しみでならない。
問い合わせ先:チャムス 表参道店 TEL:03(6418)4834
Go Outdoor Pocket T-Shirt
¥5,610
荷物をたくさん積んでドライブしているブービーバードを描いたバックプリントTシャツ。前面には胸ポケットが付いている。
チャコ(1989年〜America)
永く愛用してもらうのが最重要ミッション
コロラドでラフティングガイドをしていたマーク・ペイジェンが、靴職人として働いていた経験と知識を生かして水辺のアクティビティーに適したサンダルを作ったのがきっかけ。創設当初から「捨てられるまでの時間を延ばすことに貢献したい」というマークの考えのもと、ソールやストラップを交換して修理可能な構造を取り入れた製品開発が続けられている。
問い合わせ先:エイ アンド エフ TEL:03(3209)7575
Z1 クラシック
¥12,100
創業当初からある大定番モデル。足の健康が考慮され、米国足病医学協会の認定を受けている。
コフラン(1959年〜Canada)
キャンプで役立つ便利小物ブランド
マニトバ州ウイニペグのガス器具店で、キャンプ用ストーブやランタンを修理していたノーム・コフランが創設。最初の製品は、米国のメーカーから調達した「フォールディングトースター」で、これがキャンパーに大ウケ! 以降、ジェル状調味料を入れて持ち出せるスクイーズチューブや卵ケース、歯ブラシカバーなど、ちょっとした便利小物に特化した製品展開を特徴としている。
問い合わせ先:エイ アンド エフ TEL:03(3209)7575
ベアーベル
¥660
使わないときは、内部の金属ボールが磁石にくっついて、不用意に音が出ない高機能な熊鈴。ベルクロ着脱式。
コールマン(1901年〜America)
貸しランプ業から世界的ブランドへ
1899年、創設者のウィリアム・コフィン・コールマンは、偶然通りかかったある店の窓に光り輝くランプを発見する。そのランプは、圧力をかけたガソリンがマントルという発光体に送り込まれて白い光を放っていた。それは、当時主流だった灯芯に燃料を染み込ませるランプとは比べものにならない明るさだった。その「エフィシェント」という名のランプにすっかり魅了された彼は、「機能しなければ代金不要」という貸しランプ業を始めた。
そして1901年、地元ウイチタに本拠を構え会社としてスタートし、米国随一の古豪アウトドアブランドが誕生した。やがてランタンの加圧構造を応用したストーブのほか、ツーバーナーやクーラーボックスなどキャンプギアメーカーとしての地位を確立。現在は、ファミリーからソロ用までラインアップしているテントやシェード、バッグ&パック、アパレル製品まで展開する世界的総合ブランドに成長している。
問い合わせ先:コールマン カスタマーサービス TEL:0120-111-957
コクーン 2024 リミテッド
¥199,290
4シーズンに対応する、ファミリーキャンパー向けのハイエンドな2ルームテント「コクーンⅢ」が限定カラーで新登場。
クールスパイダー プロ L ブースト
¥19,800
火床下に2枚の引き出し式プレートが付き、上面で炭調理しながらピザやトーストを焼くことができる新作。
コロンビア(1938年〜America)
小さな帽子会社から世界的ブランドに!
ナチスから逃れて米国ポートランドに移住したポール・ラムフロムが、小さな帽子会社を購入したのがブランドの起源。ポールの次女ガートは、夫のニール・ボイルとともに父の会社で働いていた。'60年、釣り好きな夫のためにガートが作った、ポケットがたくさん付いたフィッシングベストを製品化したところ、これが大ヒット。
ところが'70年にニールが心臓発作で亡くなると、会社は経営不振に陥り窮地に立たされる。そこで一念発起したガートは、46歳にして社長に就任し、経営改善に取り組んだ。そして'82年、会社の運命を変えた製品、「バガブージャケット」が誕生する。1着で3通りに着こなせる世界初の3WAYジャケットだ。
これを機にガートはアウトドアマーケットに進出。以降、次々に繰り出す斬新なアイテムと、ユニークな広告戦略が功を奏し、世界中のアウトドア愛好家に親しまれる総合ブランドに成長を遂げた。現在は、ガートのDNAをたっぷり受け継いだ息子ティムが会社を切り盛りしている。
問い合わせ先:コロンビアスポーツウェアジャパン TEL:0120-193-803
バガブー1986
インターチェンジジャケット
¥28,600
発売当初のバガブージャケットを、現代の素材と技術を駆使してアップデート。アウターのみ、インナーのみ、アウター+インナーという3WAYの着こなしができる。
「タフマザー」の異名を持つガート・ボイル。写真は自らモデルとして登場した数々の雑誌広告キャンペーンのうちのひとつ。
「インターチェンジシステム」と名付けられた、3WAYジャケットを説明する広告の写真。左がアウター、右がインナーフリース。
ガートが夫のために自らミシンを踏んで作りあげたフィッシングベスト。コロンビアの最初のヒット商品だ。
コトパクシ(2014年〜America)
マルチカラーアイテムで慈善活動にも参画
「ビジネスを善に利用する」目的を持って、起業家デイビス・スミスが立ち上げた。その"善"を象徴するのが、製品を作る段階で出る端材を使った「デルディア」シリーズ。モデルは同じでも世界にひとつしかないカラーリングのパックやバッグ類をラインアップ。環境配慮だけでなく、貧困地域を支援する団体への助成金を提供する活動も行なっている。
問い合わせ先:アルコインターナショナル TEL:06(6563)7346
ALLPA 35L TRAVEL PACK – DEL DÍA
¥33,000
端材を使って作られる、ブランドのアイコン的アイテムだ。レインカバー付き。
クレイジークリーク(1987年〜America)
世界初の野外用座椅子を開発
アウトドア関係のインストラクターだったロブ・ハートが開発した、コンパクトで軽量なアウトドア用座椅子「オリジナルチェア」が起源。創設と同年に初開催された米国のアウトドアショーに出展するとすぐに大量の注文が入り、会社は幸先の良いスタートを切った。その後も、軽量タイプなどさまざまなバリエーションを開発。現在では日本限定で、バッグやギアも展開している。
問い合わせ先:エイ アンド エフ TEL:03(3209)7575
オリジナルチェア
¥8,800〜9,900
背もたれはストラップでリクライニング調整が可能。ペチャンコにたため収納性も◎。
(BE-PAL 2024年2月号より)