秋冬のキャンプにぜひ欲しいのが暖かな寝袋だ。最新のテクノロジーを用いてヌクヌクの寝心地を叶えた2本をVersus!
チタンコートで輻射熱をフル活用!
TITAN COAT
ラブ/
ミシック ウルトラ 180
世界初の「熱イオンライニングテクノロジー(TILT)」を採用したダウンシュラフで、1g単位での軽量化を必要とする高所クライマーやアドベンチャーレーサーのために開発された。超軽量のナイロンをチタンでコーティングし、生地の通気性を損なうことなくユーザーの放射熱をシュラフ内部に反射させる。
¥82,500
問い合わせ先:ランドR info@landr.life
SPEC
●重量=400g
●ダウン種別=RDS認証ヨーロピアングース・Nikwax撥水加工
●フィルパワー・900+
●快適使用可能温度=7度C
●最低使用可能温度=0度C
チタンコーティングで輻射熱を有効利用
首元でギラリと光る銀色の輝きにまずは目が釘づけになった。これは世界で初めて体の熱反射をシュラフに応用したハイテク製品。裏地のナイロン繊維一本一本にチタンコーティングを施すことで体の熱を反射させ、少ない羽毛量で高い保温力を発揮するテクノロジーだ。
しかもダウンは900+FPという最高級素材にはっ水加工を施した極上品。その結果0度Cまで対応が可能になった。
さらに表地・裏地ともに7Dの極薄素材を採用し、ジッパーも極限まで短くして(たった25㎝しかない)重量400gという軽さを実現している。
実際に寝て感じたのは、コンパクトなサイズからは想像できないほどバルク(かさ高)があり、暖かいこと。シュラフに潜り込んでから体が暖まるまでの時間も短く、チタンコーティングの威力をまざまざと感じた。
そのかわりジッパーが短いので、温度調整はしづらい。というかほとんどできない。そういった扱い難さを抱えつつも、この羽根のような軽さと驚くほどの暖かさには悪魔的な魅力がある。対重量比の保温力を求めるなら、これこそが世界最強といっていいモデルなのだ。
ここがスゴい!
通気性があるので蒸れずに快適
内面のナイロン繊維の一本一本にチタンコーティングを施してある。そのため通気性がありムレを放出しながら体の熱は反射してくれるのだ。
ショートジッパーで徹底的に軽量化
軽量化とヒートロスを最小限に食い止めるため、ジッパー長はたったの25㎝しかない。その代わり開口部がかなり広くなっていて、出入りは楽だ。
人間の体に沿ったエルゴ・デザイン
ひざ回りはタイトだが、冷えを感じやすい足先は保温性を上げるためにゆったりとしている。逆ハの字でつま先を伸ばせるエルゴノミックデザイン。
V S
羊毛を混ぜて調湿機能アップ!
DOWN WOOL
グリュエッツィ バッグ/
バイオポッドダウンウール
サブゼロ175
「グリュエッツィ バッグ」は昨年日本上陸を果たしたドイツブランド。オリジナル素材のダウンウールは天然の脂肪率が高いダックダウンに極細の羊毛をブレンドして特殊な機械で一体化してある。その高い性能で『Outdoor Industry Award 2017』受賞。
¥70,400
問い合わせ先:エバニュー 03(3649)3135
SPEC
●重量=900g
●ダウン種別=RDS認証オリジナルダウンウール
●フィルパワー・650+(羽毛のみの値)
●快適使用可能温度=2度C
●限界使用可能温度=−4度C
ダウンにウールを加え、優れた調湿機能を発揮
こちらはダウンにウールをかけ合わせるという、天然かつアナログなテクノロジーを使ったドイツの製品だ。
ダウンは軽くて暖かい空気を大量に溜め込むことができるが、汗をかいて湿気を含むととたんに保温力が低下してしまう。いっぽうウールは自重の30%の水分を含むことができ、天然の調湿性にとても優れる。このふたつを7対3でブレンドすることで寒いときには暖かく、暑いときには湿気を溜め込まない「ダウンウール」が誕生したのだ。
実際に使ってみると純ダウン製品よりもコシがあり、ロフトもしっかりとしている。ダウンの「フワフワ」とウールの「モフモフ」がミックスした新感覚な寝心地なのだ。
僕はこれまで何日も繰り返しテストしてきたが、その中には汗ばむような夜もあった。でもその場合もベタッと潰れずロフトを維持してくれた。またそうしてオーバーヒート気味になった後も汗冷えすることなく、ゆるやかに調湿してくれる。これには本当に驚いてしまった。
やや大きく重いが、この保温力&調湿機能は真冬のキャンプやスノーキャンプでもかなり威力が高いと思う。
ここがスゴい!
ダウンとウールを特殊製法で一体化
羽毛と羊毛をただブレンドするだけでなく、専用の機械で一体化させてあり、長年の使用や洗濯を繰り返してもばらけてしまうことがない。
スマホやライトをしまえるポケット
胸元に使い勝手の良いユーティリティーポケットが備わっていて、スマホや貴重品などをしまっておける。僕はここにヘッドランプを入れている。
温度調整がしやすいJ字型のロングジッパー
ジッパーのデザインが秀逸。体の上側を大きくはだけることも、足元だけを開けて両足を出すこともでき、外気温に応じた温度調整がしやすい。
ホーボージュン
大海原から6000m峰まで世界中の大自然を旅する全天候型アウトドアライター。Twitterアカウントは「@hobojun」。
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2023年12月号より)