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    2021.07.17

    新エリア誕生!豊洲「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」で13,000株のランに没入

    2021年7月2日(火)、開業3周年を迎える東京・豊洲の「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」に新エリア「Garden Area」がオープンしました。テクノロジーと自然が融合した庭園作品は、まるでファンタジーの世界。花を自分が見ているのか、それとも自分を花が見ているのか。身体ごと没入できる、最新アート空間をご紹介します。

    花が道を開く!「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体

    「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」

    今回新オープンとなったGarden Areaに誕生したのは「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」と「呼応する小宇宙の苔庭 – 固形化された光の色, Sunrise and Sunset」という2つの大型庭園作品です。

    「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」は13,000株を超える生きたランの花々が空中に浮かびあがり、そこはまるで花の壁。一見入ることができないような、花の塊です。

    人を感知して、花が道を開く。

    しかし近づくと花が道を開くように、自分がいる空間だけランがゆっくりと上昇します!そして奥に進むに連れ、歩いてきた背後のランは下がるという不思議。壁や床は鏡面となっていて、360度、無数のランに身体ごと埋没できます。

    希少な「ファレノプシスKSスイートサマー」。

    この作品は日本を代表するラン研究者である座間洋らんセンターの加藤さんの協力のもと実現。時期によって展示されるランは異なり、今は「カンブリア属バロッコレッド」や「ファレノプシスKSスイートサマー」といった珍しい品種が見られます。

    チームラボ代表・猪子寿之さん。

    「ランは多くの品種が空中で生きることができ、平面的ではなく立体的な庭を作ることができました。私が花を見ているのか、もしくは花が私を見ているのか、区別がつかないような、まさに一体となる体験を通して花を見てもらえたら」と、チームラボ代表・猪子寿之さんは語ります。

    作品は太陽光が降り注ぐ屋内に展示されており、日中と夜で印象が変わるのもポイント。さらに多くのランは送粉者となる昆虫を引き寄せるために夜に強く香りを放ち、その香りも作品の魅力です。

    今までの概念では語れないような色。「呼応する小宇宙の苔庭 – 固形化された光の色, Sunrise and Sunset」

    「呼応する小宇宙の苔庭 – 固形化された光の色, Sunrise and Sunset」

    「呼応する小宇宙の苔庭 – 固形化された光の色, Sunrise and Sunset」は屋外に展示された作品。這苔を中心とした苔庭に卵型の彫刻「ovoid」が配置され、日中は雲海のような霧が立ち込める幻想的な空間となっています。

    触って楽しむ作品。

    一般的な彫刻は作品に触れるのは厳禁ですが、こちらは触って楽しむもの。強く押しても起き上がり小法師のように起き上がり、押すことでどこか神聖な音が鳴り響きます。

    苔庭に生える、新しい生命。

    生えている苔はもちろん生きていて、成長を続けています。中には予想していなかった新しい芽も飛び出し、生命の強さを感じ取ることができます。

    夜の「呼応する小宇宙の苔庭 – 固形化された光の色, Sunrise and Sunset」。(写真提供:チームラボ)

    この作品は夜に見学するのがおすすめです。「今までの概念では語れないような色」をテーマに、日が落ちると同時にovoidが光輝きはじめます。61色の光で表現される色は一言では全く表せない複雑さ。1つのovoidを押すことで色が変化し、そしてそれに呼応するように周りのovoidの色も変化します。

    多様性を、進化を考えるヒントに。チームラボ代表・猪子寿之さんインタビュー

    チームラボ代表・猪子寿之さんインタビュー。

    2001年に活動開始し、数々の驚くべき作品を創出し続けているチームラボ。新エリアオープンに伴い、代表の猪子寿之さんにお話を伺いました。

    -「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」に込めたメッセージを教えて下さい。

    猪子さん「コケ植物からはじまる陸上植物の歴史の中で、ランは最も進化を遂げた植物と言われています。陸上植物の進化の歴史を紐解くと、まずコケ植物→シダ類→スギやヒノキなどの木質植物が、太陽を奪い合うように背を高く進化していきます。そして花や実を付ける植物が誕生し、それらは隣の植物との背比べ競争を降りて、ここではないどこかへ昆虫や動物に連れて行ってもらうように進化しました。

    花や実が連れて行かれる場所は、もしかしたら今より環境が悪い場所かもしれません。それでも花は見ず知らずの遠くに咲く花と交配することを選択しました。つまり、これは花や実が多様性を享受したとも言えるのです。陸上植物の約25万種類のうち、花や実をつける植物は約22万種。圧倒的に多様性を享受し、進化してきたのです。

    そして今回の作品の中心となるランは、地上がほかの植物で埋め尽くされている中で、土の無い環境でも生きられるよう、陸上植物の中で最も進化した種(土で育つランも一部あり)。つまり最も多様性を享受し、赤道から北極まで、幅広く生息できる進化を遂げたのです。

    人間に焦点を置くと、我々も多様性を享受し、進化してきました。例えば生命力の強いゴキブリでさえ、寒帯では生息できません。しかし人間はアンデス山脈にもいれば、南極にも北極にもいます。もはや多様性を享受するために生まれたのではないかと思うのです。多様性を否定することは、もはや人間を否定することと同じ。

    人間もランも、同じく多様性を享受したことによって生息地を増やし、進化してきました。進化の過程で人間やランが何を選択してきたのか、没入することで、考えるヒントになればと思っています」

    「自然がすごく好き」と語る猪子さん。

    -作品を作る上で苦労したことはありますか?

    猪子さん「人間、テクノロジー、花々の環境的なバランスを取らないといけないこと。花々の生育のために苔庭と同じようにミストをFloating Flower Gardenにも使いたかったのですが、モーターが霧を吸い込んでしまうため、断念しました。ランを長持ちさせるため、室温は低めに設定しています」

    -チームラボプラネッツ TOKYO DMMは今回の新作を含め自然を感じられる作品が多いかと思いますが、そこに猪子さんが経験された自然体験は影響していますか?

    猪子さん「たまたま私は四国に生まれ、原生林が近くにある環境で育ったので、作品にも影響しているかもしれません。キャンプは行ないませんが、自然はすごく好きです。特に人と自然の営みが長く続いているような場所が好きで、例えば約1300年前に行基が入山した佐賀県武雄市の御船山楽園。素晴らしい庭園で、チームラボとしてもプロジェクトを行なっています。自分が制作した今回の庭も長く続き、100年先まで残って欲しいと思いますね」

    新しい「水に入るミュージアムと花と一体化する庭園 」で没入体験を

    「意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在 – 平面化する3色と曖昧な9色、自由浮遊」

    チームラボプラネッツ TOKYO DMMは新たな2つの庭園が加わったことで、超巨大な4つの作品空間を含め合計9作品による「水に入るミュージアムと花と一体化する庭園 」となりました。作品はすべて作品と自分の境界線を曖昧にし、身体ごと没入する、不思議な体験ができるものです。

    水に入って鑑賞する「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング」

    はだしになって足の裏の感覚を解放し、水に入って作品の一部になる。全ての作品を鑑賞し終えた後には、境界のない世界が広がっているかもしれません。

    ・チームラボプラネッツ TOKYO DMM
    会期:2018年7月7日 – 2022年末
    所在地:東京都江東区豊洲6-1-16 teamLab Planets TOKYO
    開館時間:平日 10:00 – 20:00、土日 9:00 – 20:00 (2021年7月22日~7月31日は9:00 – 20:00)
    休館日:2021年7月20日(火)
    料金(入場 エントランスパス):大人(18歳以上) 3,200円、大学生・専門学生 2,500円、中学生・高校生 2,000円、小人(4歳 – 12歳) 300円、3歳以下 無料、シニア(65歳以上) 2,400円、障がい者割引 1,600円
    HP:https://planets.teamlab.art/tokyo/jp/

    撮影/黒石あみ

    私が書きました!
    女子旅ライター
    小浜みゆ
    神奈川県在住の旅ライター。素敵な旅行先を求めて、全国どこへでも飛んでいきます。横浜、神戸、広島、福岡での在住経験があり、国内旅行は47都道府県ほぼ制覇。グランピングや料理が好き。

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