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シーバスフィッシング

シーバス(スズキ)をルアーで狙うこの釣りの魅力は、高いゲーム性と、最大で1mを越える大きな魚であること、そしてシーバスという魚が精悍でカッコイイ魚体であることです。ゲーム性とはルアーフィッシングの世界でよく使われる表現のひとつで、例えば特定のルアーにしか魚が食いついてこない状況であったり、経験を重ねることで釣れる時間帯のパターンが見えてくるなど、釣りのプロセスを楽しむことをいいます。
今回はあらゆるルアーフィッシングの中でもゲーム性の高いシーバスフィッシングを、晩秋のサーフで楽しんできました。
釣りのポイント

今回のポイントはサーフとはいっても根(岩礁帯など)が点在しており、回遊してくるシーバスを待つだけでなく、その場に潜んでいるシーバスを狙い撃つハンティングのような釣りを楽しめるスポットです。ポイントに到着すると予報通り波が高く、遥か沖の方では私の背丈を越えるような波のせり上がりを確認できます。
その一方で手前側は遠浅地形のため、波打ち際から200m程度の範囲はほぼ全ての波が砕けて白波となり、サラシと呼ばれる白い泡立ちが随所に発生しています。
先発ルアー

シーバスフィッシングはあらゆる状況のなかで正解といえる釣り方を実践することで釣果に結びつく面白さがあります。今回は朝からの釣りで、周囲は太陽光で明るくルアーが偽物であると見破られやすいため、使用するルアーはよりベイト(イワシなどの小魚)に近いカラーを選択しました。
シーバスフィッシングはあらゆる状況に対応することが釣果に繋がるため、他にもルアーカラーをいくつか常備しており、その一部を紹介します。
他に用意したルアーカラー

蛍光色と白などの膨張色を合わせたチャート系カラーは非常に目立つため、夜間など光量の少ない時間帯に有効です。黒や金色を配色したカラーはシルエットがハッキリしており、水の濁りがある状況でもルアーをシーバスに発見させる効果が高いと感じます。
白を基調に頭部分が赤くペイントされたレッドヘッドは歴史の古いカラーで、その起源は1900年代初頭といわれています。これは実釣へのメリットというよりはおもちゃのような配色が私の好みのため、実際に使うことは少ないのですがお守りのように常備しているカラーです。
日中のシーバスはサラシを狙え!

シーバスは警戒心の非常に高い魚で、特に光量の多い日中は無暗にルアーをキャスト(投げること)してもすぐに偽物と見破られてしまいます。そこで日中のサーフや磯場でカギとなるのがサラシで、サラシの中ではシーバスの警戒心が薄らぐのか、穏やかな海面のスポットに比べて顕著にルアーへの食いつきがよくなると私は感じています。
海面をサラシがベールのように覆うことで外敵への警戒心が薄らぐのか、海中の泡がほどよくルアーを隠し隠さずの状態にするのか……。はたまた遊泳力の低いベイトがサラシに揉まれると捕食しやすいことがシーバスのDNAに刻まれているのか、答えは魚のみぞ知るといったところです。そんなサラシが広がるタイミングを見計らい、波が砕けて白波になる瞬間にルアーをキャストし、サラシの真っ只中をゆっくり泳がせていると……。
シーバスがヒット!

なんと1投目で食いついてきました!根にラインが擦れて切れないように、かなり強引にリールを巻き上げて手にしたのは60cmほどのシーバスでした。
私は今回赴いた地域で10年以上シーバスを追い求めていますが、この2~3年はかなり個体数が減っているのではと感じており、釣ったシーバスの大半をリリースするようにしています。この釣果は貴重な一尾でしたが、寒い空気中に長時間晒すことやメジャーを当てて写真撮影に時間を割くことがリリースの失敗に繋がると考え、手にして少し魚体を眺めたのちすぐにリリースすることにしました。
そして、今日はシーバスが居るぞ!と意気込み、次の1尾を狙ってキャストを続けます。
次の一尾を狙うも……
私の釣り仲間の間でささやかれている説があり、それは「シーバスを釣れた場所にリリースすると次が釣れなくなる」ということです。まさにその通り、この日の釣果は1尾にとどまってしまいました。
傷ついたシーバスを見て他のシーバスが警戒するのか、釣りあげたシーバスが危険を知らせるシグナルのようなものを発するのか……。答えは魚のみぞ知るということでしょう。
晩秋のシーバスフィッシング
海中の季節変化は陸地に比べて遅れてやってくるといわれています。地域によっては降雪もありすっかり冬の様相となっていても、海中はまだまだ秋といえる状況ということも多くあります。冬の産卵前に荒食いをする大型シーバスを狙いに、サーフに赴いてはいかがでしょうか。







