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磯野貴理子の推し鳥DIARY 第5回 初の写真展、新たな壁が立ちはだかる!
磯野貴理子
1985年、お笑いアイドルグループ「チャイルズ」の一員としてデビュー。解散後はタレント、俳優としてマルチに活動。軽やかなトークとユーモアあふれるキャラクターでお茶の間の人気者に。

問い合わせ先:モンベル・カスタマー・サービス TEL:06(6536)5740
この一月号が発売されるころ、私は毎日ドキドキしているはず。なぜなら、前々号でちょっとお知らせした写真展の真っ最中だからです。振り返れば今年は、初の写真展に向けて鳥を撮って撮って撮りまくっていました。
写真展のお話をいただいたのは、一眼レフのOM-1を使い始めてから半年ほど経ったころでした。突然のことだったので驚いたし、まだまだ初心者でおこがましい気がして一瞬、躊躇したんです。でも、断わったら何も始まらない。そう思ったらパッと頭が切り替わって、やってみよう! と決心したんです。
ところがですよ。鳥好きとしては、ただただ楽しく撮っていればよかったんですけど、人に見ていただく“作品”を撮るとなると話は別。写真を撮りためては、監修してくださるプロの方にアドバイスしてもらうことを繰り返してきたんですが、却下される写真の多いこと、多いこと(笑)。
初めて伺ったとき、何がダメなのか前のめりに質問したら即、「構図です」って。一にも二にもまずは構図が大事なのだと。そう聞いてびっくりしました。構図を意識したことなんて一度もなかったんですから。
それまでは、日の丸弁当みたいに写真の真ん中に鳥がいて、大きければ大きく撮れるほどいいと信じていたんです。あとは、鳥の目に光があたっていることが私の“いい写真”の基準だったの。目がキラッと輝いていたら、それだけでカワイイって感激していました。そんな私に“構図”という壁が立ちはだかったんですよ。これは大変なことになったぞと身が引き締まりましたね。
「一枚の絵を撮るように」ともアドバイスしてくださって。なるほどなあと頭では理解しても、そう簡単にはいきません。自分ではよく撮れたと思った写真も、鳥と周りの景色のバランスが悪かったり、画面に対して鳥が小さすぎたりして、プロの目からしたら却下。鳥の前に枝が横切っている“枝かぶり”の写真も、その構図を狙っているわけじゃないならNGなんです。なんだか、奥深くて難しい世界に足を踏み入れてしまったなあと感じた時期もありましたっけ。
完ぺきな写真があっさり却下され……
構図について腹落ちしたのは、クマゲラの写真についてアドバイスいただいたときのことです。
今年の夏、北海道の天売島へケイマフリという鳥の写真を撮りに行ったんですが、天候不良で1日早めに島から道内へ引き上げたんですね。それで、せっかくだから美瑛町のラベンダー畑を見に行きましょうよ! って仲間を誘って畑の近くの林を散策していたら、地面でエサを探すクマゲラに遭遇して。クマゲラはキツツキの仲間で、樹を突いている姿はそれまでにも見たことがありましたけど、地上の姿は初めてで。しかも、黄色い小さな花に囲まれて、とってもかわいかったの。夢中でシャッターをきりました。これはすごくいい絵! 完ぺき! 絶対に写真展に出せる! と思って後日、意気揚々と監修の方に見せたらあっさり却下。
自信作だったからかなり落ち込みましたけど、ダメな理由を聞いておおいに納得したんです。その写真、左側に樹がまっすぐずどんと写っているの。一枚の絵として意識しきれてなかったから、樹がじゃまだと気づいてなかったんですよね、私。ああ、完全に鳥だけに目がいっていたんだと腑に落ちました。
一枚一枚に心を込めて
それからです。鳥を撮影するときの視野がぐんと広がったのは。鳥と景色のバランスや、鳥の目線の先まで意識して、“一枚の絵”のように撮る。そんな感覚が少しずつつかめてきました。もちろん、まだまだ初心者の域です。でも、カメラを手にした初期に比べたら、今のほうが絶対にうまくなっているって自信を持っていえます。
写真展のタイトルは「初見の鳥 磯野貴理子、カメラはじめました!」です。鳥にハマって4年ほど経ちますけど、いまだに初めて見る鳥ばかり。鳥への興味はまったく尽きません。今回は小さな写真展ですが、一枚一枚、心を込めて撮った作品を展示しています。見に来てくださった方が、写真から何かを感じてくださったら、そんなうれしいことはありません。
綺麗な後ろ姿だけど……

却下されてしまったお気に入りの写真。左上の岩、これが入ると"絵"としては不完全のようで……。

夢中でシャッターを切った一枚。すごく素敵なのに却下。その理由は?
クマゲラの写真の全体像。夢中すぎて左側の樹に気づいていませんでした。
【出演情報】
CSフジテレビTWO「はやく起きた朝は…」(新作エピソード毎月第2日曜日 6:30〜7:00)が放映中。フジテレビ「ホンマでっかTV」毎週水曜日21:00〜21:54 出演中。
※構成/安井洋子 撮影/三浦孝明
(BE-PAL 2026年1月号より)







