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編集・フジコが「京都大学総合博物館」に潜入!


マレーシアのランビルの森を再現。タバンは90mにもなる高木で、調査のために設置された地上30mのツリータワーとウォークウェイの模型も設置。
案内人 伊藤 毅先生

昆虫好きな少年が生き物と地図に興味を持ち、分布科学の世界に。「データを解析して新しいことがわかったときがいちばん楽しいです」
探検隊員 編集フジコ

キャンプにシュノーケリング、スキー、昆虫好きなザ・アウトドア派。サッカー女子でもある。
巨木が2階まで突き抜ける
京大のフィールド・サイエンスを肌で体感すべく、京都大学総合博物館を訪れた編集フジコ。京大は開学以来、“探検大学”と異名をとるほど、フィールドワークに重きをおいてきた。なんだかビーパルと通ずるものがあるような……。
助教である伊藤毅先生の案内で館内に入り、自然史展示場に進む。薄暗い展示室には、地層や化石の標本が並ぶ。
「わお、大迫力ですね!」
中央には大きなナウマンゾウの頭部化石の模型がデーンと構えている。昔から京大ではゾウの化石の研究が行なわれているのだそう。その横には壁一面にカキの化石が。
「地味ですけど、上に伸びたり、浮いたりと、カキの世界にもいろいろ生き残り戦略があって、比べて見ると面白いですよ」
「マニアックですね〜」
次は、霊長類の研究コーナーに。「チンパンジーの知性の研究」では、チンパンジーの知性実験をゲーム型の展示で解説。実際に試してみることもでき、
「あ、私、チンパンジーに負けちゃったぁ」
勇気のある人はお試しあれ。
さらに進んでいくと、どこからともなく、鳥の鳴き声が。目の前に現われたのは、2階まで突き抜けるタバンの巨木。
「マレーシアのランビルの森を再現しています。ランビルの植物は動物や昆虫と共生関係にあり、互いに関わり合って美しい生態系を築いています。僕も一度は行ってみたいです」
雨が降り、嵐が訪れる演出も。京大のフィールドワークのスケールを感じる。
2階の展示エリアには、そんな熱帯雨林に棲息する、昆虫標本がズラリと並ぶ。珍しい姿形に、虫好きでなくとも思わず魅入ってしまう。
「あ、これ僕の好きなオオヒラタクワガタです!」
今日イチ、伊藤先生の目が輝く。そんなところも、なんだかビーパルと通ずるような。
京都大学総合博物館


住所:京都市左京区吉田本町
営業:9:30〜16:30(最終入館は16:00)
休日:月曜、火曜、年末年始、創立記念日(6月18日)、夏季休業日(8月第3週の水曜)
料金:一般400円、大学生300円
常設展は自然史、文化史、技術史

3つの常設展示があるが今回紹介するのは自然史。文化史では京都の古地図や出土品、技術史では実験機器と機構模型が見られる。対話型解説イベント、子ども博物館も開催。


まずは鉱物標本に目を輝かせる

見どころのひとつは、明治時代に兵庫県に落ちた"岡野隕石"。鉱物に紫外線を当てると光るという、プチ実験も見られる。


驚愕! 実物大の巨大化石に遭遇!!

ナウマンゾウのキバの化石。サイズ感がうかがえる。

右がアジアゾウ、左がナウマンゾウの頭骨。1971年に千葉県で発見された頭骨化石をもとに復元された。

これが京大のフィールドファッション! いちばん重要なのは水と食べ物だとか。
京大が生み出した霊長類学に脱帽

チンパンジーの知性などわかりやすいテーマから、伊藤先生の研究でもあるニホンザルの系統についてなど、マニアックなものまで並ぶ。


研究室を探検している気分が味わえる、バーチャル研究室。子供たちに大人気!
日本の植物のルーツに思いを馳せる

コムギ遺伝資源やカタクリの研究でも名を馳せる京大。植物が化学物質の効果でアリをコントロールする研究など、マニアックな知識を得られる。

地味だけど面白い熱帯雨林の昆虫学

2階に展示されたアジアの熱帯雨林に棲む昆虫。なかでも甲虫類の多様性が高く、日本では見られないバイオリンムシも。チョウ類の擬態の解説や大小さまざまなナナフシの姿も。

ミュージアムショップでオリジナルグッズをゲット!

本物の化石や京大グッズも揃う。京大フィールドファッションと同じバッグも販売!
問い合わせ先:ミュゼップ TEL:075(751)7300

ほかにもあるぞ! ‟行ける”京大
全国に26施設あり、「京大ウィークス」として毎年各1回、施設見学会や自然観察会を開催。HPでチェック!
京都大学白浜水族館

和歌山県白浜周辺に棲息する、無脊椎動物と魚を展示。春、夏、冬休みには、研究者と飼育係のこだわり解説ツアーも開催。
京都大学 芦生研究林

研究林4200ヘクタールの約半分は原生的な森林が残り、多くの希少な生物が生息している。芦生もりびと協会所属団体によるガイドツアーが実施されている。
https://ashiu-moribito.jp
※構成/大石裕美 撮影/作田祥一
(BE-PAL 2025年12月号より)







