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の推し活DIARY 第2回
磯野貴理子
1985年、お笑いアイドルグループ「チャイルズ」の一員としてデビュー。解散後はタレント、俳優としてマルチに活動。軽やかなトークとユーモアあふれるキャラクターでお茶の間の人気者に。
【出演情報】
CSフジテレビTWO「はやく起きた朝は…」(新作エピソード毎月第2日曜日 6:30〜7:00)が放映中。フジテレビ「ホンマでっかTV」毎週水曜日21:00〜21:54。

シジュウカラと出会ってから推し鳥暮らしが始まった私。前回、日本野鳥の会へ入る決心をするところまでお話ししましたが、今回はその続きから。
日本野鳥の会へ入会したのは、シジュウカラと出会った半年後くらいのことでした。
調べてみたところ、インターネットで簡単に入会の手続きはできるんですが、会が直営する東京・西五反田のバードショップというお店でも申し込みできることがわかりました。まずはちゃんと会の方に活動内容やらを直接聞いたうえで申し込みたいという気持ちがあったので、実際にお店へ足を運びました。
双眼鏡に望遠鏡、鳥に関する本やグッズが所狭しと並んでいて、いかにも鳥好きが集まりそうなところ。カウンターでスタッフの方に「あのお、野鳥の会に入りたいんですけど」とおそるおそる声をかけたんですけど、快く対応してくださって。一気に緊張がほぐれて、無事に会員となったわけです。
いざ、探鳥会へ
そもそも日本野鳥の会へ入った大きな目的は、野鳥を観察する探鳥会へ参加するため。
ですから入会するや、さっそく探鳥会に参加しました。じつは入会しなくても探鳥会に参加はできるんですが、当時、私は知らなくて(笑)。もちろん入会して大正解でしたけど。
ちなみに日本野鳥の会には地域ごとに支部があって、私はそのうちのいくつかに所属しています。それで、支部ごとに、近郊の公園や緑地などで探鳥会を開催しているんですね。私が初めて参加したのは、江戸川区の葛西臨海公園での探鳥会でした。会のリーダーが鳥の見つけ方のコツや見分け方を丁寧に教えてくれるんですが、さすが達人。目と耳がものすごくいいんです。あそこに何々が、これは何々の鳴き声だって、ひっきりなしに教えてくれて。そのとき、スズメより一回り大きなアオジという鳥を教えてもらいましたっけ。
朝5時台の中央線に揺られて
とにかく時間が許す限り、探鳥会へ参加しまくりました。多摩のほうで開かれるときは、ザックを背負ってときには朝5時台の中央線に乗り込みます。
昔は夜型人間だったんです。夜な夜な六本木に繰り出して、大好きなシャンパンを飲むことが楽しくて楽しくて、朝まで飲み明かす日だってざらにあったくらい。それが今や、鳥見たさに暗いうちからはりきって起きるんだから、あのころの自分からは想像つきません。
それにしたってそんな早朝から行かなくても、って思う人もいるかもしれませんが、鳥は日中は日陰に隠れてしまうもの。だからバードウォッチングは、鳥が活発に動く朝方がとくに向いているんです。だから、探鳥会の朝は早いの。途中でお腹がすくからよくおにぎりを持っていくんですけど、外で食べるおにぎりは、どんなフレンチよりもおいしいっていつも思いますね。
鳥トモとの交流
探鳥会では、参加している会員のみなさんに会うのも楽しみのひとつ。私、一応は芸能人なので、参加者の方たちに興味本位で見られたらどうしようとか、ちやほやされるのかなって、はじめは思っていたんですよね。でも、みんな、私になんかまったく興味がないの。あ、磯野貴理子がいるな、くらいのさっぱりした対応で拍子抜けしちゃいました(笑)。
私なんかより鳥のほうがだんぜんアイドルですからね。でも、だからこそ居心地がよくって。その場にいる誰にとっても、ほかの人がどんな仕事をしているのか、どんな素性の人なのか、まったく関係ない。みんな、純粋に鳥に向き合っていて、すごくいい趣味の世界。
それで探鳥会へ参加するたび、鳥トモが増えていくわけなんですが、みなさんいろんな鳥を知っているから、その話を聞くのがまたおもしろい。しかも鳥だけじゃなく、鳥が好きな植物や花のことにも詳しくて、なかには虫好きな方もいて。
鳥を通じて知る食物連鎖
はじめのうちは、さすがだなあ、すごいなあって感心しているだけだったんです。ところが私も鳥を知るにつれ、ほんの少しずつ樹を知り、虫を知り、そのうち、食物連鎖を目の当たりにするようになるんです。
シジュウカラは、虫を食べる。私の大好きなそのシジュウカラを食べる鳥だって当然いるわけで、オオタカなどの猛禽類に狙われてしまう。でも、オオタカだって食べていかないと生きていけない。だから憎き敵だなんて思えません。オオタカってカッコイイ鳥だから、私、好きなんです。
鳥は、木の実も食べるでしょ。でも、鳥は歯がないから種を丸のみして、別の場所へ飛んでいって、種の混ざったフンを地上に落とす。その種が新しい場所で芽吹く。木は動けないから、鳥に遠くまで種を運んでもらってるんですよね。全部、繋がってるの。そういうことを改めて知って、実際に目の当たりにするとまた感動して……。
この世はかわいい鳥であふれてる!
そんなふうに自然の営み、みたいなことにまで思いを馳せながら推し鳥暮らしを楽しんでいると、普段からおのずとかわいい鳥に遭遇する機会は増えていくんですよね。自宅近くのマンションの外壁の穴に巣をつくっていたスズメのヒナを見つけたり、井の頭公園では池をスイスイ進むカイツブリの親子を発見したり。こんなかわいい子たちのいる世界を知ってしまった私は本当に幸せ。みなさんにもおすそわけしたいっていつも思っているんです。
食物連鎖を知り、虫にも興味を持つように

バードウォッチングをしていると、ユニークな昆虫たちに出くわすことも多い。虫が好きになってきました。

今月の推し鳥たち
アオジ

アオジの全長は約16㎝。スズメより少し大きいホオジロ科の小鳥だ。胸からお腹にかけて黄色のまだら模様が特徴。
ヒヨドリ

ピラカンサの実を食べるヒヨドリ。街中で見かける身近な鳥だけど表情豊かでかわいい。花の蜜や実が好物。
スズメ

自宅の近くで、コンクリート壁の水抜き穴から顔を出すスズメのヒナを発見! くちばしがまだ黄色い。
※鳥の撮影/磯野貴理子 構成/安井洋子
(BE-PAL 2025年10月号より)







