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木々の葉が色付く紅葉の季節になると現われる絶景。
カヌー文化が根付くオンタリオならではの楽しみ方があります。
WIND from ONTARIO~森の海、水の島~ #18 紅葉の溶ける水で、ととのう
by Tomoki Onishi
撮影・文/尾西知樹
トロント在住のフォトグラファー、マルチメディア・クリエイター、カヌーイストでサウナー。オンタリオ・ハイランド観光局、Ontario Outdoor Adventuresのクリエイティブ・ディレクターを務める。カナダの大自然の中での体験とクリエイティブを融合させたユニット magichours.caを主宰。

秋のアルゴンキン・ハイランド、カヌー・サウナキャンプの朝。湖畔に張ったテントから這い出て一瞬、脳がバグった。目の前に完璧なまでのシンメトリーが現われ、視界いっぱいに広がっていた。昨夜サウナと湖を5往復し、まだ浮遊感の残る感覚優位となった脳に、鮮やかな色彩で光が飛び込んでくる。
今回は紅葉のピークを狙って、人工物も人影も一切ない小島の一等地で極上のサウナキャンプ。
宿泊用のテントとサウナテント、そして目の前3秒で水風呂(湖)からのととのい椅子まで、最高の動線を演出。
灼けるほどに熱したサウナストーンに、ロウリュ。ジュ〜〜〜っと耳に心地よい音と共にテント内は灼熱の100度C超えの蒸気で満たされる……。
燃えるような彩りの森冠を秋のやさしい陽光がまばゆく照らし、凪の湖面に完璧なクローンを映し出す光景は、紅葉の滋養が水に溶け込んだ至福のコンディション。水温も心地よい17度Cで、サウナで火照った体を、やさしく急速冷却。ととのい椅子に深々と身を沈め、ディープリラックスから訪れる多幸感。遠くのカヌーを漕ぐ音や声が、とても近くに聞こえる感覚トランス。微風を感じ、多様な森の香りを知覚する。全感覚が溶け出して混ざる地球との一体感……。
あぁ〜っ! ととのった……。

小島の北でサウナキャンプ。カヌーでしか辿り着けない秘境。地球を知覚できる極上のフィールド。

宿泊用のテントとサウナテント、そして湖まで完璧な動線! ここに住みたい! 帰りたくないっ!!
動画で見られます!

(BE-PAL 2025年12月号より)








