
掘り師の憧れ、ナゲットを探して

特に名を秘す秘密の川にやってきたのは、編集ハラボー。
金は全国各地で産出するが、どんな川でも採れるわけではない。金の鉱脈を含む岩が水に削られて初めて砂金は川へと流れ出す。つまり、鉱脈のある山の沢ほど砂金の量が多く、粒も大きい。大粒の砂金はナゲットと呼ばれ、掘り師の憧れだ。
「えーっと、川には砂金が集まる場所があるって聞いたな。ひとまず掘ってみるか……」
比重が重い金は、水に選り分けられて重い物質が溜まる場所に集まる。「寄せ場」と呼ばれる砂金集結スポットを見つけ出すのが、腕の見せ所だ。
「砂をすくってゆすってゴールドパンの底に砂金を沈めて、上の砂だけ洗い流して……っと。うーん、砂鉄さえ入らないや」
寄せ場の目印となるのが砂鉄だ。砂より重い鉄は金と同じ場所に集まる。ゴールドパンに砂鉄が残らなければ金もない。それらしい場所の砂をすくっては、ひたすら洗い流す。
「砂金情報ウソだったのかな。全っ然、出て……、来たー!」
数十度目の洗い流しの末に盆で光ったのは3粒の砂金。
「忍耐の末の獲得。これは脳内麻薬が出る! 今ドバドバ出てる! 道をはずすのもわかる」
この日、ハラボーのギャンブラー人生が始まったそうな。

小さな沢は地形や産物から名付けられることが多い。砥石があれば「砥」、金があれば「金」がつく。この日目指したのは「金○沢」。金が採れることがバレバレである。
ゴールドラッシュ入門グッズ
カッチャスコップ

ゴールドパン

箱メガネ

折りたたみバケツ

保存瓶

ピンセット、スポイト

POINT 1 金がザクザク! 寄せ場を探せ

岩盤

重い金は砂粒の隙間を通って下へ下へと落ちていく。潜り込んでいく金を受け止める岩盤の窪みには金が溜まる。
流れのよどみ

流れにのってきた金は、水流が緩む場所で流れをはずれ沈降する。大岩に水が当たる場所や大岩の下流側などが有望。
草の根

水に浸かる場所に生える草は砂金をキャッチし、それを根元にとどめることがある。しかし抜くのはマナー違反。
POINT 2 パンニング基本テク

胸騒ぎ!
❶ゴールドパンに砂をすくう。有望な場所の砂をバケツに取り、予洗して砂利を捨ててから盆に砂を移すと効率が良い。盆に砂と水を溜めて前後左右にゆすって砂金を砂の下側へと移動させる。

❷盆の側面を水面と平行にした状態で上げ下げすると上部の砂だけが洗い流される。

❸砂が減ったら盆の側面に設けられた大きな段差を使って砂を洗う。

❹続けて小さな段差で洗い砂をさらに減らす。

❺最後に盆に溜めた水で水流をつくると軽い順に砂、砂鉄が流され最後に金が残る。


ゴールドラッシュ!
長い単純作業の末に現われる金は狩猟採集本能をくすぐる。「これはヤバイ。笑いが止まらない。グヒヒ」。ハラボー、金に取り憑かれる。

この日の最大の粒は長径が1㎜ほどの砂金。黒い盆にキラリと光る。
Complete!

砂金はスポイトで水と一緒に吸い上げて保存瓶へと移す。ここでなくしやすいので注意!


知っちゃった……。
「幾万もの人々が人生を金に捧げちゃうわけだわ……」。この日以来、金相場のチェックが日課となる。
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一
(BE-PAL 2025年9月号より)