もぐらビール、もぐら駅、みなかみの山と川…… 土合駅のもぐらビアキャンプは、お楽しみがいっぱいだった! | イベント・フェス 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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  • もぐらビール、もぐら駅、みなかみの山と川…… 土合駅のもぐらビアキャンプは、お楽しみがいっぱいだった!

    2022.05.26 クラフトビール

    521日(土)に群馬県利根郡みなかみ町の土合で、初めてのビアフェス「もぐらビアキャンプ」が開催された。無人駅の地下ホームで1年半熟成させた「もぐらビール」が最大のアトラクション。だが、ほかにもお楽しみはあった! 

    無人駅土合の下りホームから486

    初開催の「もぐらビアキャンプ」は、もぐら駅と呼ばれる土合駅前にできたグランピングDOAI VILLAGEのVILLAGE INC.と、Brewing for Natureの主催で実現したものだが、目玉はなんといっても、土合駅の地下ホームで1年半、熟成させたビールたちだ。

    土合駅は、上越線の水上から2駅。新潟方面からは長岡から20駅。いずれも1日5〜6本しか走っていない。5月21日(土)、筆者は水上1140分発の上越線に乗り、1149分に土合の下りホームに到着。ここが地下およそ70メートルの地点にあり、日本一のもぐら駅と呼ばれる由縁だ。

    無人駅の狭いホームに、続々と人々が降り立った。山の格好をした人も少なくない。お隣、土樽駅に走り始めた上越線にカメラを向ける撮り鉄もけっこうな人数だ。

    この時期、土合駅に停まる上越線は上下線ともに6本。

    下り線ホームにある、元運転事務室を利用したビール貯蔵庫。中にはまだいくつか樽が入っていた。次回のビアキャンプ用か!!?

    参加ブルワリーのスタッフのみなさんは、ビアフェスの前日に、ホームから樽を担いで階段で地上まで運んだそうだ。そのビールが待つビアフェス会場に向けて486段の階段を登る。横幅の広いトンネル、段差は浅く、子どもや中高年にもちょっとやさしい……かもしれない。

    10段ごとに表示があり、写真は真ん中あたりの230段。うまいビールを求めて粛々と登る。さながら天国への階段。

    360度、山に囲まれて「もぐらビールください!」

    土合駅直結のグランピングDOAI VOLLAGEの敷地内が、モグラビアキャンプの会場だ。濃い緑に覆われた山に囲まれていた。

    奥に見える白い帽子のようなテントがDOAI VILLAGE。カフェ、野外サウナも併設されている。この日は当然、満室。

    参加ブルワリーは9社。

    オクトワンブルワリー(群馬/みなかみ)、フジヤマハンターズビール(静岡/富士宮)、十条すいけんブルワリー(東京/十条)、クランクビール(東京/板橋)、GROW BREW HOUSE(埼玉/西川口)、麦酒処ぬとり(埼玉県/川口)、レッツビアワークス(東京/東十条)、羽後麦酒(秋田/羽後)、東京オールドボーイズブルーイング(東京/六本木)。

    各ブルワリーのブースに並ぶお客さんは、まず「もぐらビールはどれですか?」。地下ホームの貯蔵室で約1年半、熟成されたビールのことだ。このビアフェスでしか飲めないビールだ。

    秋田県から参加の羽後麦酒のもぐらビールはIPAと黒苺のビール。代表の鈴木隆弘さんは、「まだちょっと泡があばれています」と時間をかけてビールを注いでいた。1年半熟成されたビールはまろやかな風味。ご覧のように、泡までとろとろ、まろやかに。

    東京の十条すいけんブルワリーの「もぐらビール」は2年熟成。14%のハイアルコール。「ピートイット」というネーミングはウイスキーの蒸溜に使うピート(泥炭)の香りのような香りから。近隣の山の伐採したスギのエキスを使った「杉ブロンド」には強いスギの香り。いずれも、ここでしか飲めないビール。

    絶滅の危惧にさらされる赤谷の森のニホンイヌワシを守りたい

    もぐらビアキャンプは、ビール醸造を通して自然保護活動に取り組んでいるBrewing for Natureの呼びかけから始まった。これまでもBrewing fo Natureは、廃棄パンを原料に使ったビールをつくったり、今回も参加しているフジヤマハンターズビール(静岡県富士宮市)を中心に間伐ヒノキを使ったビールをつくったり、そのヒノキビールが集結したビアフェスを開いたりして、ビールと自然、森との共存をアピールしてきた。

    今回は、みなかみ町のオクトワンブルーイングの竹内康晴さんが、みなかみ町のニホンイヌワシの棲む森の保護を掲げ、その趣旨に賛同する9社のブルワリーが県内外から集まった。

    オクトワンブルーイングの竹内康晴さん。みなかみの町と山を愛する男。

    谷川連峰に広がる約1万ヘクタールの「赤谷の森」は、レッドリスト入りしているニホンイヌワシの生息地だ。「赤谷プロジェクト」という保護活動が20年ほど前から続いている。

    ニホンイヌワシは羽根を広げると2メートルほどになる。獲物を狩るにも、子育てをするにも、羽根を悠々と広げられる広い場所が必要だ。しかも、1つがいのイヌワシのテリトリーは山手線の内側くらいの面積という。広大である。

    谷川連峰の山々にも戦後、大量のスギが植林された。それが利用されず間伐もされず、結果的に広大な放置林となって、イヌワシの生息しにくい環境になってしまっている。

    そのスギを間伐して、自然に近い森林を取り戻そうというのが赤谷プロジェクトの目的だ。「人工林の間伐をしながら、同時にミズナラやブナなどの広葉樹を植林していく。そうやって自然林に近い姿に戻るには、おそらく300年くらいかかるでしょう」と、日本自然保護協会の出島誠一さんが話してくれた。ビアキャンプ会場では、スギの間伐材を使った工作のワークショップも行なわれていた。

    今回のビアキャンプでは、数社のブルワリーが、間伐スギから抽出したエキスを使用したビールをつくり、提供した。スギの香りのビール自体がとても珍しいと思うが、それが何種類も飲めるのは、もぐらビアキャンプだけだろう。ちなみに筆者は花粉症だが、スギの香りはまったく問題なかった。

    オクトワンブルーイングのブルワリーで1年半熟成させた「ゴールデンイーグルセゾン」。スギのウッディな香りが華やかに広がる。ちなみに、もぐらビアキャンプの収益の3%は森林保護活動に寄付される。

    静岡県富士宮市のフジヤマハンターズビールも参加。こちらはスギのチップを煮沸時に投入。「まろやかな風味に仕上がりました」と武田智史さん。

    当日は、昼過ぎから雨模様であったが、約1000人が来場した。オクトワンブルーイングの竹内さんにビアキャンプの手応えを聞いた。

    「“もぐらビール”に対する期待値の高さを感じました。熟成ビールへの熱意も感じましたが、本当にビールが好きな方が多くいらしてくれたのかなと思います」

    会場になったDOAI VILLAGEはもちろんだが、みなかみ町の宿もほぼ満室になったという。

    「翌日、ブリュワー仲間と一ノ倉沢へ出かけたら、ビアキャンプに来場してくれた方たちがけっこう遊びに来られていました。ビアキャンプをきっかけに、みなかみの自然や山への関心を深めてくれたらいいなと思っていたので、とてもうれしいですね」

    次回が楽しみ。2年以上寝かせたビールが飲めるでしょうか?という質問には、

    「ホームの貯蔵庫に、うちの樽もまだ残っています。もっと熟成させてみたいですね。貯蔵庫に新しい樽を補充していったブルワリーさんもいますし、次につながるようにしたいですね」

    地下およそ70メートルのホーム。年間を通じて910度Cくらいを保つ。人工でありながら電気代のかからない貯蔵庫でひっそりと熟成するビールたち。来年もっとおいしくなってね!

    ところで、上越線の上りホームは地上にある。帰りは1534分発の上越線に乗って帰った。地上のホームも楽しい。次のもぐらビアキャンプには、ビール好きも、地下好きも、鉄ちゃんもいらっしゃい!

    JR 上越線・土合駅の上り線は地上のホーム。午後は雨で山がけぶった。

    私が書きました!
    ライター
    佐藤恵菜
    ビール好きライター。日本全国ブルワリー巡りをするのが夢。ビーパルネットでは天文記事にも関わる。@ダイムやSuits womanでも仕事中。

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