食料の自給率を「持とう」。畑を長く続けるには? | 農業・ガーデニング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.06.03

    食料の自給率を「持とう」。畑を長く続けるには?

    シンガーソングライター東田トモヒロさんの今回のお話しは、野菜作りです。以前から田んぼや畑にも精を出してた東田さんですが、畑に関してはある出来事がきっかけで遠ざかっていたとか。一念発起、畑の再トライに挑みます。

    「ゼロ」から「持つ」ところへ、まずはスタート

    若葉薫る頃となりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

    前回はソーラーパネルによるオフグリッドライフについてお話しさせていただきました。思い起こせば、それと時をほぼ同じくして僕がこれまでに実践して来たことが、もう一つあります。それは畑や田んぼを通しての、土との触れ合いです。
    電気を自前でってのも、もちろんなかなかイケてるトライですが、電気では腹は満たされませんからね。

    僕はまず「自分の食料自給率を持つ」ということから始めたわけです、はい、11年前にね。

    よく家庭菜園なんか始めると、「少しでも食料の自給率を上げようと思って、」なんて言ってしまいがちですけど、上げるも何も、やってない時はこれすなわち「0」ですから自給率も何も無いわけで。何かを育てて収穫した時にようやく自給率を「持つ」って状態が成立して、次の段階に行く時に初めて「上げる」なんてことが言えるんですよね、ロジックとしては。

    でありますから僕はまず、「食料の自給率」を「持って」みたかったのです。回りくどくて恐縮ですが、そう考えて始めた方がね、プレッシャーも小さいし、なんとなく気楽な感じがしますしね。

    愛用の野良作業道具たち。

    だから、キッチンでカイワレダイコンを育てていらっしゃる方も、ベランダの小さなプランターでピーマンを栽培されている方も、立派な自給率保持者だと思います僕は。

    さて、我が畑についてです。ミュージシャン稼業の合間を縫って、仲間たちとシェアしてこしらえている田んぼでの米作りには、ここのところ毎年精を出しておりましたが、畑で野菜を育てる作業はすっかりサボっていました。

    と言いますのも、野菜作りはツアー暮らしの僕にはあまり向いていないような気がしていたからです。なにぶん長期にわたって家を空けることが多いのでね。

    その試金石となったのが、他でも無い「オクラ」でした。オクラは素人でもとっつき易いといいますか、アフリカ原産だからでしょうか、わりとタフに育ってくれるのでかつてチャレンジしたのですが、収穫の日を二日でも間違えようものなら、もう閉じ切った傘の如き筋張った棒になってしまうのであります。

    そうなるともはや茹であげても食べることができませんで、あれにはほんと解らされましたね、収穫すべき日を逃すなってことを。不在の場合にはある程度家人に任せたいところでもありますが、こういうのはやはり言い出しっぺが一定の責任を持つべきでね。一度なんか旅から帰ったら、オクラ畑がただの緑色の筋張った棒の畑になっていたこともあったくらいです。

    オクラは、ミュージシャンでありながら、畑仕事もやってみたいと思う僕のような者にとっての鬼門。ギターを弾き始めて間もない人にとっての、「Fのコード」みたいなものと考えていただけると良いかと思います。

    とにかくその「オクラ筋張り事件」以来、畑仕事を遠ざけていたのですが、ここへ来ての不安定な世界情勢を鑑みるに当たり、たとえ微々たるものだとしても、食糧の確保は蛇足では無いという結論に至りまして、一念発起して再び畑となる我が地面と向き合ったわけです、まさに。

    畑を楽しく続けるためのいくつかのミッション

    数年前の僕ならば、まずは原種の種などにこだわりを見せたりしてね。ネットでナチュラル系のサイト検索や、自然派の皆さんのブログなどを調べたりして、ハイエンドでよりルーツに近い種や苗などを求めるところから始めていましたが、もうここは気楽に、ホームセンターに直行です。

    今の僕には100円以下で陳列されている苗で十分。こだわりってのももちろん大切な時はありますけれど、今の自分がどこで納得して満たされるかってことが大切なんですね、一歩踏み出す上で。

    もうなんか今回の僕など、土の上に立っているだけで十分満たせれておりますから、安く手に入る「コメリ」の苗で満足でした。コメリはホームセンターの中でも農家寄りな雰囲気を醸し出していますし、余計な店内BGM的なものも控えられていますから、購入の際に落ち着いた判断を下すことができます。「コメリあるところに畑あり」(僕が勝手に作った諺ですが)と言われているくらいですからね、なんせ。

    野良作業の強い味方、コメリです。

    そして今回の作業にあたって、僕はまずは心強い経験者に教えを請うことにしました。ご近所にお住まいで、長年自然農を営んでいらっしゃるNさんです。彼には、僕の畑となる農地から見てもらうことにしたのです。

    朝の一杯のコーヒーを片手に、二人して自宅横の農地で座談しましてね、あーでもないこーでもないと語り合うこと30分。今の僕が実践できうる、幾つかのテーマを得ることに成功しました。ミッション及びその理由はざっくりと以下の通りです、はい。

    我が畑のミッション

    ◎栽培が比較的楽なカボチャを、斜面を利用して育てる。
    →実を斜面に垂らすことで、腰を曲げて作業にあたる必要がなく、管理も収穫もやり易い。

    ◎畝は造らず穴をあけて苗を植える。
    →手作業の畝作りは重労働なので、苗植えする場所だけ穴を掘る。

    ◎動物よけに唐辛子を植える。
    →猪などは刺激の強い匂いを嫌う。唐辛子の収穫もできて一石二鳥。

    ◎少量多品目。
    →いろいろ植えた方が楽しいし、学びも多い。

    ナスの苗

    元気に育っています、ナス。

    とにかく心身ともに楽なほうに…というテーマで以上なようなことを考えてもらいました。物事苦労が多いと長続きしませんからね。地面に穴を開けるスクリューのような道具もお借りして、鍬や耕運機を使わず、僕なりの自然栽培がスタートしたのです。今回植えた苗は、カボチャ、唐辛子、トマト、茄子。そして種から植えたのは里芋とインゲンとすじなしオクラと赤紫蘇。

    カボチャの花が咲きました。

    オクラは今回「すじなし」と銘打たれた品種にチャレンジです。収穫日が若干滲んだとしても上手くいくような気がしてね、選んでみました。なんせ「すじ」というものに対していささかトラウマめいた感情を抱いておりますからね。それが「なし」だなんて、発見した時はいわゆる「二度見」ものでした。ここは乞うご期待!と言ったところでしょうか。

    お借りした穴を開けるスクリューです。

    それぞれの苗の植え付けの際に、自分で工夫したことがあります。苗の周りの草を抜いて、くっついて来た土の部分を表にして裏返し、苗を囲むように敷いて天然のマルチ(※マルチングの略。畑の畝をシートなどで覆うこと)にするというアレンジ。これは見た目も気持ち良いし、なんとなく安心感あります。それが理に適っているかどうか分かりませんが、なんとなく自分流的な試みをすることも楽しみの一つですからね。

    里芋の種芋を植えます。

    ところで里芋は種芋をわざわざ買わなくても良いらしく、ごく普通に道の駅なんかに売ってあるもので十分だそうです。そのほうがお財布にも優しいしね。話は変わりますが、キャッシュレスの時代になると、お財布に優しいって言葉とかも衰退の一途を辿るのでしょうね、おそらく。データ量にも影響少ないし○○的な表現になっていくのでしょうか。

    おすすめ!裸足で野良仕事

    今回特に土づくりのようなことはしませんでした。落ち葉が長年堆積しているような場所ではありませんが、草を刈ってはそのまま放置して来た地面なので、ある程度肥えた土だろうと思われますのでね。畑の隣、1,000坪ほどの広葉樹の山林も所有地なので、暇のある時そこから腐葉土を運んだりしようかと思っています。

    そしてこの野良仕事、僕はほとんどの作業を裸足でやりました。農家の方でそんなふうにお仕事をされる方はいらっしゃらないと思いますが、僕の場合はこれ楽しみですのでね、独自のフリースタイルで良いかなと。

    今回再チャレンジしているオクラ。その名も「すじなし」です。

    以前読んだ本に、1日少しの時間でも土の上に立つと、体に溜まった老廃物や電磁波のようなものがデトックスされるみたいな話を書いてありましたが、これやってみるとなるほどそんな気がします。なんかスッキリしたような、まさにアースするってやつですね。サーフィンのあとに感じるあの爽快感に近いものがありました。

    家庭菜園レベルであれば、裸足の野良仕事は本当におすすめですよ。

    そして何より、成長してゆく植物の姿を観察するのも、ささやかですが日々の喜びとなります。カボチャやトマトは早速花を咲かせましたし、インゲンもオクラも可愛らしい双葉の芽を勢いよく出してくれたりして。そんな健気な姿を目の当たりにしていると、なにかこっちまで元気を分けてもらえるような気がして来ます。

    インゲンもすくすく生長中!

    人生が人それぞれ違うように、畑もまた人それぞれやり方があって良いと思います。今の自分にあったスタイルで無理なく継続できるように、創意工夫しながら、失敗や成功を重ねてね、楽しめるかどうかが何より大切なのでね、僕の場合。

    皆さんもぜひ、小さな自給率保持者になってみて下さい。いろいろな発見に巡り合えるかもしれませんよ。

    また秋の収穫の時に良いご報告ができたらと思います。

    今月のアウトドアにおすすめの曲

    Arlo Parks「Hope」
    曲がかっこいいのでこれを聴きながら野良仕事をすると、レンガなどをあしらった意味もなくお洒落な畑が出来上がるかもしれません。

    東田トモヒロNEWS

    ◎福島で行われるチャンネルジャーニー〜女沼NatureLive2022〜に出演
    2022年6月11日(土)9:00~17:00 音楽LIVE・トークLIVE&体験、12日(日)9:00~16:00 体験イベント

    https://goom903.wixsite.com/2022menuma

    ◎4月27日に新曲『Trad』をリリース



    ◎サブスクリプションコミュニティTSC(Tomo Surf Club)

    シンガーソングライター東田トモヒロとつくる、持続可能な音楽のコミュニティです。
    月額制のサブスクリプションで、独自の配信ライブや、インターネットラジオ配信等いくつかのオリジナルコンテンツを用意して、みなさんとコミュニケーションを図っています。ぜひご参加ください。

    https://community.camp-fire.jp/projects/view/338326

    私が書きました!
    シンガーソングライター
    東田トモヒロ
    1972年生まれ熊本市在住。ニューヨークでのレコーディングを経て2003年にメジャーデビュー。旅とサーフィン、スノーボーディングをこよなく愛し、そのオーガニックなサウンドを通して「LOVE&FREEDOM」を発信し続けるシンガーソングライター。

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