登山シーズンに欠かせないバックパック。その界隈で名を馳せる両雄をホーボージュンが解説!
※2022年に取材した内容を元にした記事です。
BALTORO
グレゴリー/バルトロ65
グレゴリーを象徴するフラッグシップモデルで、長期バックパッキングや縦走登山用として高い人気を誇る。2006年にデビューし、過去4回のアップデートで完成度を高めてきたが、アップデートで過去最大の仕様変更となった。
問い合わせ先:グレゴリー/サムソナイトジャパン 0800-12-36910
SPEC
●重量=2.23kg (Mサイズ)
●サイズ=S, M, L
●容量=65ℓ(Mサイズ)
大型アップデートを受けベンチレーションパックに
世界的なトップセラーモデル、グレゴリー・バルトロが生まれ変わった。背面に大掛かりな仕様変更を受け、ベンチレーションパックに変身したのである。
バルトロといえばショルダーハーネス付け根にピボット(支点)を備え、ユーザーの体型に応じて自動的にアングル調整を行ない、行動時には体の動きにフレキシブルに追従するのが人気の秘密だったが、新作もそこはしっかりと踏襲している。
背面をグルッと回る外周フレームとメッシュを備えたことで背負い心地は非常に柔らかくなった。特に腰回りの“抱きつかれ感”がすごく、パックとの一体感がとても強い。従来のベンチレーションパックは一体感に乏しかったり後ろに引っぱられる感じがしたのだが、それも皆無。さすがグレゴリーといった感じだ。
大型の正面ポケットや開け閉めが素早くできる開口部はそのままに、ウェストポケットやトップポケットなどは先代モデルより圧到的に使いやすくなった。僕のようなゴリゴリのバルトロマニアから見ても細部の仕上がりは超一級品。今後も世界最高峰のバックパックであり続けることは明らかである。
ここがスゴい!
エアークッションバックパネル搭載
90%以上のオープンエア率を誇る3D構造のメッシュパネルと独自パッドで、高い通気性を確保。荷重を分散させるので背負い心地もマイルド。
腰回りのフィット感は過去最高のデキだ!
僕は過去30年にわたり、グレゴリーの大型モデルのほぼすべてを背負ってきたが、ヒップホールドと腰回りのフィット感は間違いなく過去最高である。
開口部をはじめ使い勝手も最高だ
素早く荷物を出し入れできるトップローディング式の開口部や各ポケットの配置、構造、ジッパーの滑らかさなど、すべての使い勝手が前作を上回っている。
BRIDGER
ミステリーランチ/ブリッジャー65
1990年代に大人気を誇ったブリッジャーがまったく新しいモデルとして再登場。タフで信頼性に富む素材を使い、大荷重を楽に背負えることや実用性を第一にデザインされた。これは65ℓモデルだが容量によってデザインが異なる。
問い合わせ先:エイ アンド エフ
03(3209)7575
SPEC
●重量=2.50kg (Mサイズ)
●サイズ=S, M, L
●容量=62.7ℓ(Mサイズ)
アサルトパックのようにイカツい新型ブリッジャー
いっぽうミステリーランチは、その名も「ブリッジャー」。’90 年代に世界中の旅人を魅了したビッグネームを復活させたのだ。
じつは僕もデイナ・デザイン時代の初代ブリッジャーの熱烈ユーザーだったので、この名を聞いたときは大興奮した。
しかしこちらのモデルはめちゃくちゃイカツい。ベンチレーション性能もすごくて、背中と本体のあいだにしっかりしたエアチャネル(空気の通り道)を作り、大きな荷重を背負ったときも、不快なムレを解消してくれる。
構造上の特徴は剥き出しになったスチールフレームで、材料にバネ用の鋼材を使うことで、しなやかに動きながらも反発力を最大化し、大きく屈んだり、ひねったりしたときも体にしっかり追従してくれる。
そして強力なインパクトを与えてくれるのがフロントハーネスだ。初めて見たときには「トレラン用か!」とか「軍隊か!」とツッコミを入れたが、背負ってみるとこのハーネスがすばらしい。肩回りのフィット感も使い勝手も最高なのである。
昔とはまったく違う姿で復活したブリッジャー。これもまた名作になりそうな予感がする。
ここがスゴい!
バネ用鋼材を使い追従性が非常にいい
体に近い場所にフレックスと反発力に富むバネ鋼フレームを配する事で追従性を最大化。昔のブリッジャーの「あのしなやかさ」を思い出させてくれた。
ベストタイプのフロントハーネス
巨大なチェストポケットと2本留めのチェストストラップを備えたフロントハーネス。見た目のインパクトが強烈だがフィット感が高く非常に使いやすい。
ジッパーを使わずガバッと開けられる
軍用のアサルトパックに多くの実績をもつ同社ならではの装備。扉パネル上部を掴んで引き下ろすだけでフルオープンできる。正面ポケットも同じ構造だ。
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2022年4月号より)