今冬もカサゴの繁殖行動を観察しました。すると、面白い動画が撮影できました。
※記事の一番下に動画のリンクがあります。

冬の海。痛いほど冷たい北風がピューピューと吹く中で、黙々と海に潜る準備をします。
器材を背負って浜を歩き、海水に手をつけると温かく感じます。冬の海に入る際の幸福の一瞬です。
シーンとした海の中。
ゴロタの斜面を急いで泳ぐオスのカサゴの姿がありました。
カサゴのオスはメスより体が大きく、婚姻色のためか、西陽のように黄金色の個体が見られます。
懸命なオス同士の争い
普段は岩陰でじっとしているカサゴですが、繁殖期の夕暮れにオスが複数のメスのもとを巡回し、求愛行動をします。オスは懸命に泳ぎ回り、縄張りが重なる別のオスと出会うと、睨み合い、体を傾けて背鰭を立てるなどの威嚇行動をします。
激しい闘争の末に、顔に傷を負ったオスの姿も見かけます。
ある日、サンゴの下を覗くと、オスがメスに求愛をしていました。
ところが、そこに別のオスが現れ、これまで懸命に求愛をしていたオスは追い出されてしまいました。

このように、繁殖期のオスはメスを巡って闘争を繰り返しているのです。
届かないオスの想い
1個体のオスを観察していると、3個体のメスを巡回し、求愛をしていました。
しかし、メスは、そんなオスの気持ちもお構いなしで、求愛に応じないことも多いです。
岩の上にいるメスへオスが背後から近寄り、胸鰭をパタパタとしながら優しく触れます。
しかし、オスの求愛が気に入らなかったのか、メスは口をあけて、尖った背鰭を立たせ、すっと岩陰に隠れてしまいました。
メスが岩陰に隠れると、オスは残念そうな顔で次のメスのもとへ泳いでいきました。

恋愛成就と邪魔者
カサゴは魚類の中でも珍しく、オスの交接器をメスの体内に入れる交接をします。
12月中旬、遠くの岩の上に2個体でいるカサゴを発見しました。ゆっくり近づき観察すると、オスがメスへ求愛をしていました。
オスは優しそうな顔つきでメスに近寄り胸鰭を動かし交接を促します。
メスは一度、背鰭を立てましたが、その場から離れません。
オスは何度もメスの横に寄り添います。メスが何も動じないときは、少し距離を置く姿もみられます。
その様子はまるで、好きな子の様子を伺いながら話し掛ける思春期の男の子のようです。
観察を始めて15分後、オスとメスの距離が密着し始め、真横に並びました。

すると、フワッと一緒に30cm程上昇し、オスがメスに巻きつきました。

数秒巻き付き合い、オスはメスの体内に精子を入れます。
交接後、漏れ出た白色の精子が岩肌に落ちていることもあります。
不思議な行動
様々な魚の繁殖行動を観察していると、普段とは異なる不思議な光景を目にすることもあります。
あるカサゴのペアの求愛行動を見ていると、2m程離れたところで、他のオスがじーっとそのペアを見ていました。
その後、そのペアが交接をした瞬間に、求愛行動を凝視していたオスが突進してきたのです。

自分以外のオスが交接に成功するのが嫌なのでしょうか。
交接中に突進するのではなく、求愛の段階で横取りしたほうが効率的なように思いますが……。
海の中で繰り広げられる魚たちの行動には謎が多いものです。
私たちが暮らす、すぐそばの海で、魚たちは懸命に命を繋いでいます。
カサゴは、私たちの食卓にも並ぶ身近な存在です。

鹿児島らしい甘い味付けの煮汁がとても良く合い、上品な美味しさです。
海で生きている魚は、私たちの大切な食べものになっています。
食卓に並ぶ魚たちがこれまでどんな時間を海で過ごしてきたのでしょうか。
それぞれの魚にストーリーがあるはずです。
思いを巡らせながら味わう一皿は、生物たちへの感謝の気持ちを再認識させてくれます。
動画はこちらから!
射手園 芽さんのインスタグラムにもリール動画が見られます。アカウントは下のプロフィールにて。







