わずか0.09秒で自動調光
BC(調光)レンズ
環境に合わせて変化自在!超未来型の調光レンズ
いま、光学レンズの世界に革命が起きている。それがアウト・オブの「アイリッド・レンズ」。これはわずか100分の9秒という超短時間で明るさの変わる調光レンズなのだ。
これまでも明るさが変わるレンズはあったが、その変化はモッサリしたもので、濃淡の変化にある程度の時間がかかった。ところがコイツは周辺光量が変化した瞬間に濃度が変わっている。それは人間の瞳が周囲の明るさに応じて瞳孔(光彩)を収縮させるのと変わらないので、かけている本人はその変化に気がつかないほどだ。
この〝瞬時の変化”が威力を発揮するのが自転車やオートバイ。木洩れ日がちらつく森の中や、ビルや看板の影によって路面の明るさが絶え間なく変化する環境で効果を発揮する。実際に数日間にわたりテストしたが、日なたと日陰、陽射しの強い海岸の道やトンネルなどの輝度差の大きな状況でもかけっぱなしでまったく困らない。
しかも暗い中でもよく見える。これは光量調整幅が広く、一枚のレンズでレベルS1~S3(可視光線透過率8~80%)に対応するからだ。「目からウロコ」ならぬ「目がカメレオン」な衝撃体験だった。
アウト・オブ/BOT 2 ADAPTA
アウト・オブはイタリア・ブレシアで物理学を学ぶフェデリコと彼の弟で工業デザインを学ぶロベルトの兄弟によって設立された。ブランド名は「既成概念からはずれた商品を企画する」というコンセプトから。このモデルは2024年の新作で調光範囲が非常に広く、S1からS3までの範囲を9/100秒で調整する。
¥72,640
問い合わせ先:アローエージェンシー
TEL:03(5920)7556
SPEC
●サイズ=151×174×62㎜
●重量=35.5g
●フレーム素材=グリアミド&カーボン
●可視光線透過率=S1~S3(8~80%)
ここがスゴい!
史上初となるバッテリーレス機構
透過率変化には電気的な仕掛けを使わないので電池が不要。しかも、完全防水なので水濡れを気にせず、雪や雨の中でもガンガン使える。
9/100秒という速さで可視光透過率が変化
木洩れ日の降り注ぐ林道を時速40㎞で駆け抜ける……。そんな目まぐるしい状況でも瞬時に明るさが変化した。そのスピード感に圧倒された。
レンズカラーは3色
テンプル形状も選べる
レンズカラーはレッド系、グリーン系、グレー系があり、好みと用途で選べる。テンプル形状も頭の形状に合わせて選べるのでフィット感も良好だ。
日本人のための雪山ゴーグル
HD(高精細)レンズ
形状もレンズの色味も日本人にベストフィット
一方こちらはレンズの明暗ではなく、対象物をクッキリとした輪郭に浮き立たせる技術。ハイディフィニション(高精細)レンズと呼ばれ、スノーゴーグルの分野で人気が高い。
雪上では物体の影がかき消され、地面の凹凸がわかりにくい。また薄曇りで太陽光の入射が均一な「フラット光」になるとますますわからなくなってしまう。不整地を滑るモーグル、自然地形を滑るバックカントリーではその「見えにくさ」が重大な事故につながる。そんなときに活躍してくれるのがHDレンズだ。
じつはモンベルのHDレンズはこれが第2世代。以前のものはレンズの色みが強いピンク色で(モンベルに限らず欧米ブランドのHDレンズはどれも赤みが強い)、日本人には少しどぎつい感じだった。そこでコントラストの強さや立体感はそのままに、色みをブラウン系に変更したのだ。僕は先代からのユーザーなのだが、自然な色みになり、前より目が疲れなくなった。
ちなみにモンベルのゴーグルは鼻が低くて頰の出た日本人顔(僕)に合わせたフレーム設計でフィット感が抜群。また前後左右に幅があり、視界が広い。雪山の厳しい環境でも頼りになるのだ。
モンベル/アルパインゴーグルHD
アンチフォグシステムと高精細レンズによって多様な状況下でのクリアな視界を実現。ベンチレーションを装備し、雪山登山やバックカントリースキーなど運動量が多い状況でも安全に使える。レンズにはブルー(17%)、オレンジ(16%)、レッド(25%)があり、見え方と可視光線透過率がそれぞれ異なる。
¥11,220
問い合わせ先:モンベル・カスタマー・サービス
TEL:06(6536)5740
SPEC
●重量=128g
●フレーム素材=ポリウレタン
●外レンズ素材=ポリカーボネート
●内レンズ素材=トリアセテート
ここがスゴい!
平たい顔族(笑)にぴったりなのだ
樹脂フレームやレンズのアールだけでなく、鼻周りのスポンジ形状も日本人の顔面にフィットするようにデザインされている。風雪が入りにくい。
視界が非常に広く状況変化に強い
前後左右に幅がかなり広いので高速滑走中でも周りの環境がつかみやすい。レンズの歪みも少なく、ヘルメット着用時のフィット感もとても良好だ。
フラットライトでも対象物が立体的に
HDレンズは特定の波長の可視光線を取り除くことでコントラストを際立たせ、鮮明で高精細な視界を実現。曇天でも雪面の凸凹を視認しやすい。
ノーマル
HDレンズ
私が解説しました! ホーボージュン
大海原から6000m峰まで世界中の大自然を旅する全天候型アウトドアライター。X(旧Twitter)アカウントは@hobojun。
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2024年3月号より)