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    2023.09.25

    笑顔が溢れるイベント「New Acoustic Camp 2023」、通称ニューアコでイヤーマフを子供たちに!

    9月16〜18日に群馬県みなかみ町で開催されたNew Acoustic Camp 2023のレポートをお届けします。野外フェス界隈ではその名を知らない人はいない!? レポーターは“フェスおじさん”ことライターの菊地崇さん。なんでもここ数年は会場でイヤーマフを貸し出す活動を行なっているそうです。さて、イヤーマフとは一体……?

    野外フェス風景

    山と緑に囲まれた水上高原で開催されるNewAcousticCamp(通称ニューアコ)。雄大な景色も魅力だ。

    子供が走り回る風景、それがニューアコ!

    コロナ禍において、ほとんどのフェスやイベントが開催中止という決断を下していたにも関わらず、ステージの数を減らすなどの対策をして、休むことなく毎年行われていた「New Acoustic Camp(ニューアコ)」。そこで過ごす時間や空間を、よりゆったりすることを目的に、2泊3日のキャンプインスタイルへ移行されたのも2021年のコロナ禍のときだった。そしてコロナ5類移行後の今年も、2泊3日の日程で開催された。

    野外フェス風景

    広大な芝生が会場。フェスには欠かせないイスがなくてもここではこんな感じで座ったり寝転んだりして音楽を楽しめる。

    会場は芝生が広がるゴルフ場。日本のどのフェスよりも、緑に包まれた野外フェスと言っていいだろう。ニューアコのキャッチコピーが「わらう、うたう、たべる、ねっころがる」。寝っ転がれるフェスは、日本ではなかなか存在しない。それは小さな子供たちにとっても自由に遊べる環境であり、裸足で駆け回っていたとしてもニューアコでは当たり前の光景だ。

    ニューアコが立ち上がったのは2010年。フェスが子供と一緒に遊べる場所ということを、実体験の場として定着させ、広めてきたのがニューアコだ。今年は日中の気温が30度を超え、涼しいはずの水上高原でも暑かった。けれどふたつのライブステージはもちろんのこと、子供たちが楽しむワークショップでも、家族で木陰で休んでいるときも、ニューアコには笑顔が満ちている。

    芝生で休む人

    音楽はもちろん、木陰でごろごろするのも気持ちいい。

    今年のライブのラインナップは、かなり新鮮な印象だった。OAUやEGO-WRAPPIN’などのレギュラーに加え、yamaやリーガルリリーといった初出演の若手アーティストがプラスされていた。8月にマリンスタジアムでワンマンライブを終えたばかりのELLEGARDENも初めてニューアコのステージに立った。アコースティックでのライブという変わらないテーマのなかでの進化。そんなことを今年のニューアコでは感じた。

    キャンプ風景

    New Acoustic Campは、キャンプと銘打っているだけあって、来場者のほとんどがキャンプインで楽しむ。

    子連れでのフェス参加、ぜひ知って欲しい耳への影響

    出展ブース

    会場内のイヤーマフ貸し出しブース。

    ファミリー層が多いフェスであるニューアコに、去年からNPOミュージックフェスティバル協会として「子供用イヤーマフの無料貸し出し」で参加させてもらっている。2022年の春フェスから始めた活動で、海外ではライブやスポーツイベントで小さな子供への装着を推奨しているというニュースを読んだことが、この活動をしようと思ったきっかけだった。

    子供の耳の保護の必要性はどうなのか。それを医学ではどう捉えているかを知りたくて、今年の春に、日本耳科学会の水足邦雄先生に話をお聞きした。

    「聴覚を司る感覚器官である蝸牛(かぎゅう)は生まれた時に完成していて、成長することはない。鼓膜の大きさも生まれた時にほぼ決まっている。20代前半から加齢による難聴は始まる。聞く音の蓄積によって聞こえは悪くなっていく。音楽をいつまでも楽しむために、小さな頃は耳を休ませてあげることが大切で、大きな音はできるだけ避けたほうがいい」と水足先生。

    今ではiPhoneのヘルスケアに「聴覚」が加わるなど、WHOをはじめ世界が難聴に対する警鐘を出していると水足先生は話を続けてくれた。 

    テーブルにならぶイヤーマフ

    貸し出し用のイヤーマフ。ヘッドホンのように耳を覆う形状。

    自身のライブで、イヤーマフの貸し出しを行っているASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんにも話をお聞きした。

    「どう聞こえているのかはあなたの問題であり、一緒に楽しんでいるあなたの子供の問題です。みんなが心地いい感じた音でも、私にはちょっと危険に感じる。その感覚に正直でいてください。人の目を気にすることなく、長く音楽を楽しむために、自分と自分の子供を守って欲しいと思っています」と後藤さん。

    耳は消耗品だと水足先生も語っていた。大きな音を聞くことで耳にダメージを与える。そのダメージは蓄積されていく。聞く音楽を選べない子供の耳を守るのは大人の役目だと語っていたのは後藤さんだ

    イヤーマフを付けた子供

    New Acoustic Camp 2023ではのべ150組へ貸し出した。秋はフェスが目白押し。ぜひ活用してみては。

    ニューアコでは3日間で、のべ150個のイヤーマフを貸し出しした。「子どもが音が鳴っている場所でも嫌がりませんでした」とか「子どもが寝ていてくれたから、私たちが大好きなライブを楽しむことができました」と話をもらった。

    フェスで子供用イヤーマフの貸し出しを行う。子供の耳の保護という点においては、小さな一歩にしかならないだろう。けれど気づきという点ではその一歩は決して小さくないと思っている。いつまでも音楽を楽しんでもらいたい。いつまでもフェスという場が笑顔でいっぱいになって欲しい。2022年はニューアコをはじめ6つのフェスで実施させてもらった。今年は多くの協力を得ながら、20近くのフェスやライブに参加する予定だ。

    日本ミュージックフェスティバル協会
    https://www.jmfa-npo.org/

    ※構成/菊地崇 写真提供/New Acoustic Camp

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