
編集・オガワ
インド、パキスタン、ベトナムなど、さまざまなアジアの食材が手に入る東京・新大久保へ。アジアン料理が得意な華表さんが満足できる食材探しにLet’s go!
日本には、外国人がコミュニティーを形成し「リトル○○」と呼ばれている街がいくつかある。なかでも東京・新大久保は人種のるつぼ。韓流ブームからリトル・コリアのイメージが強いが、実はアジア各国の珍しい料理や食材があふれている。
今日は料理家の華表由夏さんと、JR新大久保駅で待ち合わせ。まずは北口に広がるイスラム横丁を目指す。イスラム横丁と呼ばれるだけあり、道端に中古の携帯店があったり、朝市のようにお店の前に野菜が並べられていたりと、まるでアジアンマーケットにいるかのよう。
華:「このスパイスの香りが気分を盛り上げますよね」
オ:「歩いている人も東南アジア系の人が多そうですね〜」
たしかに、外国語が飛び交っている。店頭の間口が狭くて一瞬、入るのを躊躇う店もあるが、入ってみると意外に奥まで広く、所狭しと並んだ食材に魅了される。ほとんど日本語の表記がないので、それがかえって旅気分をそそり、面白い。
オ:「看板にハラルフードって書いてあるところが多いですね」
華:「イスラム教で食べることが許されている食品のことですよ。食べていいお肉でも、食肉の加工処理の方法に決まりがあるみたいです」

そんな異国の文化に触れることができるのも魅力。店員さんに日本人は皆無。でも、
華:「これって何に使うの?」
と質問すると、片言の日本語を交えながら、親切に教えてくれる。話してみると意外と距離感が近く、みんなフレンドリーで、そんなやり取りも楽しい。
オ:「これって、チャパティ専用のフライパンじゃないですか?」
華:「ホントだ。粉物調理はキャンプに最適だし、いかにもな感じが格好いい。買いですねっ」
せっかくなので、小麦粉もすすめられたインド産のものを購入。今度のキャンプでは、本格チャパティに挑戦だ!
オ:「カレーを何種類も作るのは大変だから、美味しそうなレトルト買うのも手ですよ〜〜」
すでに両手に箱を抱えたオガワが満面の笑みでレジに向かう。
華:「さっきの店でフレッシュなパクチー買っておけばよかった」
オ華:「……戻りますか〜♪」
狭い路地を行ったり来たり。すっかり怪しい日本人なのだ。
雑多なアジアひしめく「イスラム横丁」
駅チカの人気アジアン食材店「グリーンナスコ」
INDIA


インド人オーナーが経営する食材店。インドをはじめ、パキスタンやネパールなどアジア各国の食材が揃う。キャンプに便利なレトルト品が豊富でおすすめ。

縁がなく平らなフライパン(¥1,300)は、粉物専用パンに。





チャパティ用ののし台やフライパン、小麦粉(¥250)をGet。本場のレトルトカレー(各¥300)も豊富。





8か国のアジアングルメを堪能「新大久保アジア屋台村」

インド、ネパール、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、中国、韓国と、アジア各国の料理が一度に楽しめる。夜は8か国を味わうコース料理が人気。
ボリューム満点で大満足!
タイのグリーンチキンカレーにベトナムのコムボセット、マレーシアのマレーフライドライス、どれもスープとデザートが付いて¥1,000也。



老舗のベジタリアン&ビーガン向け食材店「アンビカショップ新大久保店」
INDIA


ネット通販でも有名な、インド食材とスパイス専門のベジタリアンストア。スパイス棚は圧巻の品揃えで、作りたい料理に応じてスタッフが提案してくれる。ゆったりしたスペースで道具類も豊富。






チャイ定番のスパイスシナモン、カルダモン、クローブ(¥210〜)にステンレスのミニカップ(¥298)を購入。

インドの甘〜いスイーツも!


カレーを入れても漏れない、インドのステンレス弁当箱(¥1,900)。下段に米、上段にカレーを入れるのがインド式。ニオイや色が移りにくい。
本格派インド料理に!!

ミニタルカパン(¥1,500)は、テンパリング専用の調理器具。オイルでスパイスを熱し、料理の仕上げにかけて香りを立たせる。

生ハーブや野菜を買うなら「新大久保アジアンマーケット」
INDIA


グリーンマンゴーやハヤトウリなど珍しい野菜が店頭にひしめく。冷蔵コーナーはパクチーやカレーリーフなど生ハーブの宝庫!




ビリヤニのスパイス(¥200)は種類も豊富で、色々な店で購入できる。パスマティライス(¥800)も忘れずに。

パクチー&柑橘で本格味に

キャンプの簡単デザート

パキスタンのライスプリンの素(¥250)。牛乳と混ぜて温めながら溶かし、あとは冷やして固めるだけ!

<MAP>

駅前のマツモトキヨシを目印に路地を1本入ったところがイスラム横丁。道路を挟んだ反対側の店も必見。
※記事内の価格は取材当時のものです。お店や季節により変動する場合もあります。
いまや大定番の「韓国ストリート」
華:「イスラム横丁はディープな街という雰囲気だったけど、こちらは観光地的なイメージ」
駅の高架をくぐったリトル・コリアに向かうと、客層もガラッと変わり、若い女性ばかり。
古くは1950年に在日韓国人の社長が、ロッテの工場を新宿に建てたことがきっかけだとか。それが韓流ドラマ人気を受けて火がつき、昨今のような賑わいにまで発展した。人気のコスメ店や韓国グルメ、フォトジェニックなスイーツなどが充実していて、週末は大混雑。
オ:「あ、僕チーズハットグ食べてみたかったんですよ」
華:「じゃあ私はソトックソトック。この手の串ものはキャンプでも作れそうで、いいですね」
食材はこの街の看板ともいえる“ソウル市場”で調達。調味料から流行りのインスタント麺、オリジナルの自家製キムチまで、何を選んでいいかわからないほど種類が豊富。
オ:「こ、これは、何を買うかあらかじめ決めておくべきかも。何時間あっても足りない〜」


新大久保駅の高架を潜ると、大久保通り沿いは韓流ショップ一色! 飲食店の店先では、韓国料理好きに愛されるサンナッチ(タコの踊り食い)用(!?)タコがお出迎え。女性客で大賑わい。

「チーズのトロ〜リ感が◎」
串ものからスイーツまで食べ歩きを楽しめる。「トッポギを茹でてソーセージと交互に串に刺して焚き火で炙ればいいので、キャンプのおやつにもピッタリ」


日本最大級の韓国食品専門店「ソウル市場」
韓国


食材を買うならココ一択! スパイス、お菓子、お惣菜、調理道具まで扱うスーパーマーケット。オリジナル商品もあり、人気のチーズタッカルビやユッケジャンなどを冷凍で販売。野外でも手軽に食べられる。

まぜそば風の簡単セット


韓流ドラマで注目のヤカン鍋。インスタント麺、チャパゲティが2個付き¥1,980。茹で汁をこぼしてそのままソースと和えて食べられる。


流行りの"辛らーめん"!

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アルミ鍋とセットになったインスタントラーメン(¥760)も人気。「ランチョンミートを足すと旨みがアップします!」



ステンレス製で二重になった保温茶碗(¥548)と火にかけられるトゥッペギ鍋(¥475)。


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韓国定番の〝ダシダ〟(¥430)を使い、コチュジャンで旨みをプラスすれば、韓国風スープに。
<MAP>

新大久保駅の高架下から東側に広がるのが、コリアンタウン。メインストリートのほか路地にも名店が揃う。
隣町の「リトル・ヤンゴン」へGO!

名所のタックイレブンビル。エレベーターホールには人の列が絶えない。階数案内板はお店の名前で埋め尽くされている。

1980年代後半、初代リトル・ヤンゴンは西武新宿線の中井駅近辺だった。それが’90年代後半になると、同じ沿線である高田馬場駅へと移行。現在は、駅前にそびえ立つ11階建てのビル、〝タックイレブン〟がリトル・ヤンゴンの名所。一見すると普通のビルだが……。
オ:「見てくださいよ、このエレベーターの案内板。ほとんどミャンマーのお店ですよ」
1階の飲食店街以外は、どうやら食材や雑貨店のよう。最上階から攻めてみたところ、どこのフロアも薄暗い廊下にまで商品がずらりと並び、ミャンマー人のお客さんがひっきりなしに出入りしている。2台あるエレベーターのうち、1台は3・4階止まりで、みんな外階段を行ったり来たり。上のお店を見ては下に行き、また上に戻って見比べる。こんなビル他になし!
オ:「上り下りで疲れたから、カフェでお茶でもしましょ」
華:「ここは4階だから、1階まで降りてエレベーター乗り換えないと」
このビルの醍醐味を味わおう。
ミャンマーミルクティーでホッとひと息「タウンジーカフェ&バー」
MYANMAR


紅茶文化が盛んなミャンマー。ミルクティーはミャンマー産の茶葉を使い、粉ミルクを混ぜたもの。三角形に揚げたサムサと一緒に。

雑居ビルにひしめくミャンマー商店巡り
MYANMAR


長屋の商店のようにいくつもの店が開店。6畳ほどの空間の壁を、乾物や調味料、缶詰などが埋め尽くし駄菓子屋のよう。




こちらは冷凍食品や日用品、自然派化粧品など幅広く扱うお店。店内もスッキリ。ミャンマーからの留学生のスタッフがにこやかに対応してくれた。
独特な香りがクセになる

ミャンマーのソウルフード、「モヒンガー」。ナマズで出汁をとったスープ(¥900)にバナナの茎や米麺のブンなどを加える。




お茶文化のなせる技

お茶の葉を発酵させて油で和えた「ラペットウッ」を干しエビや揚げニンニク、ナッツなどと一緒に食べる(¥500)。



華「旅心が余計ムズムズ」
1日でアジア各国を旅したふたり。「はじめて見る食材ばかりで新鮮!」「店員さんとのやり取りも楽しかったです!」
<MAP>

高田馬場駅、早稲田口の正面にあるビルがリトルヤンゴンの名所。神田川沿いにもミャンマー料理店が豊富。
※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎 地図/近常奈央
(BE-PAL 2025年5月号より)