福善の新作は個性的なキッチンナイフ
岐阜県の機械用刃物メーカーの福善は、高い技術力とユニークな発想で「打刀」という細くて強靭なステンレスペグを作り、われわれアウトドアファンを驚かせたが、またまた個性的な新作を発表した。それが「銀閃花(ぎんせんか)」というナイフである。
1.3mmという極薄刃だからできることって?
近年は、料理だけでなく、焚き火(薪割りやフェザースティック作り)に使える刃の厚いナイフが人気だが、「銀閃花」は反対に刃を薄くして(1.3mm)、料理に特化している。
厚い刃でも食材を切ることはできるが、切断面の両側がつぶれてしまい、薄切りには向いていない。「銀閃花」は薄切りがやりやすく、切断面もきれいになる。
肉の引き切りが得意技
幅が狭い(10mm)のも特徴で、軽量化とコンパクト化につながっている。
幅広の菜切り包丁のような押し切りはやりにくいが(峰を押して固い野菜を切るような作業はやりにくい)、一方で肉の引き切りはやりやすい。ブロックのベーコンやハムを薄く切ったり、ローストビーフを切り分けたり、ケバブを薄く削いだり。得意範囲は狭いが、得意なことはとことん得意といったナイフである。
たとえるならば、守備にはほとんど貢献しないが、左45度、右足でボールを持ったらほとんどゴールしてしまうデル・ピエロのようなものだ(しかもそのボールの軌道が美しくて芸術的)。野球でいえば、極端なオープンスタンスで左投手にめっぽう強かった八重樫幸雄といえばよいだろうか。
魚料理を好きな人が出刃包丁と柳刃包丁を持つように、複数の刃物を持つのはおかしなことではない。肉を愛する人はぜひどうぞ。
※この商品は[通販サイト]「小学館百貨店」から購入できます。
調理用ナイフ『銀閃花(ぎんせんか)』/刃物屋 福善 6,200円(税込み)
https://www.pal-shop.jp/item/A55311007.html