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    2019.11.12

    登山やキャンプだけでは物足りない!地域の魅力を味わいつくす里山トラベル

    私が書きました!
    里山トラベラー
    宮本 将弘
    山歩きと暮らしをテーマに各地の里山を巡る里山トラベラー。2015年に山歩きに取り憑かれ週末は山におでかけする日々を続ける。2017年から自身のWEBメディアの運営を開始。記事の執筆やSNSにて山歩きと里山の魅力を発信しています。

    はじめまして里山トラベラーの宮本です。登山をはじめて4年近くになるのですが、その中で人の営みを感じられる里山を歩くことに興味を持つようになりました。山と街の間にある里や地域文化を愉しむ旅のことを「里山トラベル」と称して、関東を中心に里山を巡ってます。今回は里山トラベルとはどういうものかをお話しいたします。

    里山トラベルとは?登山やハイキングとの違い

    里山歩きと聞くと軽いハイキングをイメージしますが、僕の里山トラベルの定義は山歩き&里巡りの掛け合わせたものになります。

    登山やハイキングをして終わり…ではなく、下山後に登った山の地域もしっかり味わう欲張りな山旅です。

    イメージとしてはロングトレイルに近いかもしれません。山を登ったり下ったりして道の途中にある里や町に寄り、その土地の自然や文化に触れ、宿やキャンプ場で泊まる。そして、次の目的地へと向かう旅に出る。これらを繰り返しながら長い道を歩くことがロングトレイルです。

    ちなみに、どれくらいの長さかというとアメリカのカリフォルニア州にあるパシフィック・クレスト・トレイルは全長4,286kmもあり、全踏破するには4~6か月かかるとされています。過酷な旅が想像できますね…。

    欧米ではロングトレイルが一つのカルチャーとして成り立っていますが、日本では土地の大きさや地形の問題もあり、そこまで馴染んでいないのが現状です。

    しかし、その中でも日本ならではの楽しみ方があることに気づきました。日本の山々には歴史的背景や物語があり、その中に身を投じるように山歩きをすることで楽しみの幅が広がるのです。

    日本神話にはじまる山岳信仰や戦国時代の爪痕となる山城、江戸時代の山岳信仰、近代登山、山ガール、そして近年のキャンプブーム。これらの詳しい説明は割愛しますが、山を知ることは日本の成り立ちや暮らしを知ることに等しいと思っています。

    今のキャンプブームがなぜ訪れたのかを紐解くと面白いかもしれませんね。

    歴史と聞くと眠たくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はもともと歴史が好きだったこともあり、まるで本を読むようにワクワクしながら山歩きをして学んでいます。

    日本人にとって山は暮らしの近くにある当たり前のような存在で、僕たちに恵みをもたらしてきました。

    春に種を撒き、夏に豊作を願い、秋に収穫を迎え、冬はじっと力を溜め込む。里山では季節の節目に合わせてお祭りや儀式が行われています。

    以前、神奈川伊勢原市で開催された「虫おくり」に参加しました。地元の人にとっては当たり前なのかもしれませんが、初めて参加する僕にとってはどこか幻想的で不思議な体験をしました。

    「虫おくり」とは日本の伝統行事の一つで秋の収穫に合わせて農作物につく害虫を駆除するための儀式です。三重県熊野市にある丸山千枚田の虫おくりはInstagramでも映えるスポットとしても有名ですね。

    日本昔話のような民話や伝説は今でも語り継がれ、その土地、その里でしか味わえない物語がたっぷりつまっているのです。

    自然に癒されるだけではなく、山歩きを通じて日本を知り、里を知り、暮らしのヒントを学ぶ。このようなあり方を里山トラベルと定義しています。贅沢な山旅です。

    登山やキャンプの楽しみは里との関係値にある

    みなさんは登山やキャンプが終わった後、何をされますか?

    「下山後は温泉とビール」
    「キャンプ後は観光地でお土産を買いに行く」
    「家のベッドで寝たいので早く帰る」

    などなど、人によって様々ですね。

    せっかくその土地に訪れたなら、周辺のスポットを巡り楽しんで帰りたいと思う方は多いのではないでしょうか。

    里山トラベルはもう一歩踏み込み、長い期間でみたときに登山やキャンプの楽しみは里との関係値にあると考えています。

    歴史好きな方ならその土地の成り立ちや風習を学びに資料館に寄ってみたり、その里にしかないお店や景色を見に行ったりするなど、地域そのものを知ることでいっそう愛着が沸いてくるものと確信しています。

    少し大きな話になってしまいますが、里の課題の一つに「少子高齢化」が挙げられ、限界集落という人口の50%以上が65歳以上の高齢者となる集落がたくさん存在しています。 

    日本創成会議の発表では2040年までに896の市区町村が 「消滅可能性都市」に該当して、そのうち523の市区町村の人口が 1万人未満となり、維持することが難しくなるため消滅の可能性が高いと予測されているのです。避けて通ることはできない深刻な問題ですね。

    各自治体では移住を支援する取り組みが行われていますが、限られた人数を奪い合う定住促進には限界があることがわかってきています。

    そうした背景の中で近年では「関係人口」という地域の人と関わる人々を増やしていく活動が増えてきています。

    「関係人口」についてはこちらを参照ください。以下、総務省の「関係人口ポータルサイト」より引用

    ————————
    「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。
    ————————

    全くの主観ですが山歩きやキャンプをする行為は、その地域に関わることになり、関係人口のきっかけになると考えています。

    僕の好きな地域の一つに埼玉県にある横瀬町があります。武甲山をはじめ秩父や飯能の山々が連なる自然豊かな地域です。この辺りへ山歩きに行くときは「武甲温泉」という温泉施設に必ず立ち寄ることにしていました。

    何度も訪れるうちに温泉だけでは物足りなく感じ、もっと横瀬町のことを知りたいと民族資料館や棚田風景が美しい寺坂へ訪れるなど今でも学びを深めています。

    資料館では遥か太古の時代から武甲山と共に歩んできた歴史に触れることができ、やけにテンションが上がったことを覚えています。

    次は横瀬に伝承される横瀬人形の舞台を観てみたいし、お祭りにも参加したいと、どんどん熱が入り横瀬町を起点とした登山やキャンプを味わいつくししたいと思えるようになったのです。

    このように一期一会の観光的なものではなく、何度も訪れることで積み重なる里との関係値は関係人口のきかっけになり、より深くアウトドアを楽しめるのではないかと考えています。

    山歩きを通じて日本の里山を伝えたい

    「しばらく行ってないけどどうしてるかなぁ」と思える人や場所ができたら、それはもう心の故郷のようなもので、遠くに住む親戚や友人みたいなものです。

    日本には数多くの里山がありますが、時代の流れにより未来永劫残るとは限りません。自分の目で見て体験したことを記していきたいと思っています。山歩きを通じて有名無名問わず日本にしかない里山の魅力を伝えていきます。

    みなさんも一緒に第2、第3、第4の古里を見つける旅「里山トラベル」をしていきましょう。

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