徳島の離島に1軒だけあるゲストハウス 『出羽島ゲストハウス シャンティシャンティ」 | BE-PAL - Part 3

徳島の離島に1軒だけあるゲストハウス 『出羽島ゲストハウス シャンティシャンティ」

2017.11.15

「うち、お遍路さんの宿泊も受け入れてて、お遍路さんにはお接待として特別メニューが付くんですよ。って…それなんだけど…(汗)」今日のお接待メニューは、笹の葉の上に置かれた大きな焼きカマス。そう、今、まさに、私がかぶりついた身厚つでプリプリの魚。目の前にあったので、ついつい、私の夕ごはんかと…(汗)。地球の裏側から、はるばるお遍路にやって来た人に、私ってば、なんて失礼な…。英語がまるっきり出来ない私は「ソーリー、ソーリー! 」と、ひたすら繰り返し謝りまくったのだった。その後、お遍路の途中で田舎の夏祭りに遭遇したコトを嬉々として写真を見せて語ってくれたベルギー人ご夫妻。私がカマスにかぶりついてしまったコトも、よかったら、土産話のネタにしてください…(汗)。

この日、四国には台風が接近していた。島内を散策していても「ここは日本? どこか東南アジアの国では? 」と、言うほど肌にまとわりつく湿気が半端ないっ! 島全体がサウナ状態。そのせいなのかどうなのか、やたらとでっかいナメクジさんに、道端で何度もお会いした。山に続く道脇のあじさいなんて、木のように伸びまくっている。ここは、なんだか日本じゃないどこかみたいだ。

ところで、島内で西さんが一番若いのかと言えば、そうではない。なんと、未就学児の男の子が一人いる。超過疎化したこの島には、2軒の小さな商店と、もうひとつ店がある。それも、なぜか、かばん屋が! 観光客もさほど多くないこの地にだ。店の名は「出羽島帆布工房」。男の子は、ココの一人息子なのである。

しかし、なんでまた、出羽島でかばん屋なのか? 「ココは、母の実家なんですよ」と語るのは、店主の佐々木さん。リノベーションされて、新しい風が家の中に吹きつつも、出羽島の家特有のミセ造りもそのまま使われている。建物や島への佐々木さん一家のリスペクトの現れなんだろうなと。まったく関係のないいち観光客のくせに、なんだか嬉しくなってしまう。

ちなみに、ミセ造りとは、軒先の椅子や作業台にもなり雨戸にもなる一石二鳥の便利もの。徳島県南部の漁村に見られる造りだ。

ひとつひとつ自らの手でミシンをかけ、丈夫で質の良いモノを静かな島で、黙々と作り続ける佐々木さん。聞けば、ご実家は京都の呉服屋なんだとか。質にとことん拘るのも納得。最近は、島の畑で藍を育て、藍染作品も作りはじめているのだそう。

 

「むうちゃんも、島に引っ越してくればいいのに」と、西さん。安い値段で空き家があるとかないとか。「最近、島に引っ越して来たいって言ってる若い人もいるし」と。きっと、西さんと「出羽島帆布工房」の佐々木さん一家が、島で自分らしくマイペースに生活している姿に魅かれて、これから少しずつIターン者が増えるのではないかな? 過疎の島が若返る日も、もしかしたら、そう遠くないのかもしれない。

※以上は、松鳥むうが泊まった時の情報です。諸事情により変更になっている場合があります。

 【データ】
出羽島シャンティシャンティ
住所:徳島県海部郡牟岐町出羽島45-2
TEL: 0884-72-3510/090-7574-7879
料金:1泊2食付き6,000円/泊(3日前までに要予約、冬季休業あり)
アクセス:牟岐港から連絡船で約15分、出羽島の港から徒歩約5分
URL:http://www.tebajimaguesthouse.com/

出羽島帆布工房
住所:徳島県海部郡牟岐町出羽島20-4
TEL:0884-72-0075
URL:http://tebajimahanp.thebase.in/
(※出羽島帆布工房の写真は、佐々木敦生さんからの提供)

イラスト・文・写真/松鳥むう(まつとり・むう)
イラストエッセイスト
離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上、訪れた日本の島は84島。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島』『ちょこ旅瀬戸内』(いずれも、アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)などがある。http://muu-m.com/

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