待ち合わせ時刻がやってきた。
は? 目の前には、クラスに必ず一人はいた“委員長”風の女が立っている。
メガネが委員長らしさをきわだてている。
「My name is… 」と英語で自己紹介してくるあたりも、かなり委員長。
「どう、気に入った?」とミッチェル。
私たちはさっそくクラブへと向かった。
なぜか委員長は弟同伴で、ミッチェルと弟、私と委員長という布陣でモトタクシーに乗った。
委員長の踊りは凄まじかった。
空調のない熱帯のクラブは粘っこい空気をはらんでいて、強烈な重低音が心臓を直接なぐった。
気づけば委員長は、すっかり汗をかいた私の首に腕を回し、風紀を乱さんばかりの腰つきである。絡んだ腕がヌルヌルする…。
トイレに行く、と言って、やっとのことで別フロアへ逃げ出し、他の客と楽しくおしゃべりしていると、ミッチェルと委員長に見つかり引き戻された。
酔いが回ってきた、委員長はさらに強く私に絡む、クラクラする。ムワッとした空気、ビビットカラーの光線に爆音、そして汗ばんだ首に絡む腕、委員長が間近でクネクネしている…。
直感した。「まずい、こいつはアナコンダだっ!」
深夜零時過ぎ、一瞬の隙を見計らって私は宿に戻った。ミッチェルには申し訳ないが、その日の飛行機は早朝だったし、まだアナコンダには食べられたくなかった。
早朝、モトタクシーで空港に向かう。熱帯夜は東の空から白けはじめ、ひんやりした風が頬を洗って気持ちよかった。
アマゾン源流、イキトスを訪ねる旅が終わりを迎えていた。
【プロフィール】
志田岳弥(しだたけや、1991年10月2日生まれ)
東京都八王子市出身。大学進学を機に沖縄へ、カヤックを始める。
卒業後、2014年10月からの2年間を
青年海外協力隊としてペルーで過ごす。
同国では環境教育に従事。
現地の子供達と川で遊んだ日々は一番の思い出。
帰国後、現在はのんびりしながら生き方を模索中。
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