【写真家・三井昌志さんに聞く:前編】バイクに乗ったら自由になれた。写真家が挑んだインド4周目の旅 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル - Part 2
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    2016.05.18

    【写真家・三井昌志さんに聞く:前編】バイクに乗ったら自由になれた。写真家が挑んだインド4周目の旅

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    ——インドの旅では、食事はどんなものを食べているんですか?

    三井:最近は、変な安食堂みたいな店は敬遠しがちというか……ある程度経験を積むと、「あー、この店構え、絶対まずいやろな」というのがわかってしまうんです。移動中にそんな店しか見つけられなかったら、どこにでも売ってるポテトチップスとパックのマンゴージュースでもいいかなと思ってしまいますね。宿を出発する前に食べる朝ごはんも、前の日に買っておいたポテトチップスと、ぶどうかみかん。

    ——食事にはあまりこだわりはないんですね。

    三井:でも最近は、ちゃんとしたものが食べられるところなら、少々値段が高くてもおいしいものを食べようと思っています。ある程度の大きさの街なら、探せばあるんですよ。「バックパッカーたるもの、安食堂で食べなければ」と考える人もいるかもしれませんが、僕は高級ホテルのレストランにも結構行きます。インドなら、ウェイターさんが給仕してくれるような店でも、150ルピー(1ルピーは約1.6円)くらいでちゃんとしたものが食べられるんですよ。そういう選択肢があれば、躊躇しないですね。うまいですし。

    ——たとえば安食堂で「ここはうまい」とわかるのは、どんな店ですか?

    三井:安食堂は、南インドならミールス(南インドでお昼によく食べられる、おかわり可能な定食)もドーサ(南インドでよく食べられるクレープに似た料理)もあって、まあハズレはないです。北インドはちょっと厳しいところが多いかな。間違いなくうまいのは、ムスリム(イスラーム教徒)が経営している店だと思います。大きな街の中にはムスリムの人たちが集まっているエリアがあるので、そこに行くことが多いですね。

    ——そういえば、旅の最中に三井さんが時々Twitterにアップしていた「チキンマン」の看板の写真が、かなり衝撃的だったんですが(笑)。

    三井:あれね(笑)。頭だけニワトリで、首から下がマッチョな人間というキャラクターの看板が、フライドチキンとかを売ってる食堂にかかってるんです。インド全土にあるんですよ、あれ。ニワトリ人間がチキンを売っているというシュールさ……。この間はチキンウーマンも発見しました(笑)。

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    ——ガイドブックにも載ってないような街を訪ねる時、宿はどうやって選んでいるんですか?

    三井:宿はまず門構えを見て、「ここは高級そうだからやめとこう」「ここは汚そうだからやめとこう」と、自分の中でほどほどのラインを決めて、安宿の中でも比較的ましな、ビジネスホテルみたいな宿を選んでいます。狙い目としては、だいたい600〜800ルピーくらい。以前は200〜300ルピーの宿にも平気で泊まってましたが、最近はそのくらいの価格帯の宿が少なくなってきているんです。僕が行くような地方都市のホテルは主にビジネスマン向けで、そういうビジネスマンは結構お金を持っているので。

    ——夜はどんな風にして過ごしているんですか?

    三井:昼の間はバイクで移動しながら、ずっとシャッターチャンスを探し続けているので、夜は完全に自分の中のスイッチを切って、写真を整理したり、日記を書いたりして、休むようにしています。

    ——何よりも写真を撮ることを大切にされているんですね。

    三井:特に今回のインドの旅は、自分の中では100パーセント「写真を撮るための旅」という位置付けでした。そういう位置付けの旅は今回が初めてだったかなと思います。今までは旅を楽しんでいたというか……もちろん今回も楽しんでいたんですけど、とにかく写真のことを第一に考えよう、という意識がすごく強かったですね。自分は写真家なんだ、旅人である以前に、写真を作品として残さなければならない、と。インドをバイクで回るのも4周目なので、旅のスタイル自体にはそこまで新鮮味はなかったんですよね。あんなトラブルがあったとか、こんな腹立つことがあったとか、そういう経験は一通りくぐり抜けているので。その中で、まだ撮れていない光景、自分が驚くような光景を見つけなければならない。今までの経験と知識を総動員して、とにかくいい写真を撮ろう。そう思っていました。

    次回のインタビュー後半では、インドをバイクで回る旅の中で撮った写真に三井さんが託す思いについて、引き続きお話を伺います。

    【写真家・三井昌志さんに聞く:後編】

    三井昌志 Masashi Mitsui
    1974年京都市生まれ。 写真家。アジアの辺境を旅しながら、「笑顔」と「働く人」をテーマに写真を撮り続けている。著書に『渋イケメンの国 〜無駄にかっこいい男たち〜』『写真を撮るって、誰かに小さく恋することだと思う。』(ともに雷鳥社)など多数。主なフィールドはインド、バングラデシュ、ネパール、ミャンマー、カンボジアなど。
    たびそら http://www.tabisora.com/

    shibu_cover
    『渋イケメンの国 〜無駄にかっこいい男たち〜』
    三井昌志 著 雷鳥社 本体1600円+税
    http://www.tabisora.com/travel/book8.html

    三井昌志さんが今回のインドの旅について写真の数々とともに語り尽くす「帰国報告会2016」が、全国各地で開催されます。三井さんから直接レクチャーを受けられる写真教室も各地で同時開催されるそうです。

    5月22日(日):福岡
    6月12日(日):東京
    6月18日(土):名古屋
    6月19日(日):大阪
    7月3日(日):東京

    帰国報告会2016の詳細はこちら↓
    http://blife.exblog.jp/25551035/
    写真教室の詳細はこちら↓
    http://blife.exblog.jp/25551002/

    聞き手:山本高樹 Takaki Yamamoto
    著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。2016年3月下旬に著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』を雷鳥社より刊行。
    http://ymtk.jp/ladakh/

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