https://www.bepal.net No.1アウトドア情報誌「ビーパル」が運営する公式情報メディア。おすすめのキャンプ場、キャンプ道具から、キャンピングカー、焚き火のコツ、野外料理、登山、自転車、サステイナブルな生活、DIY、防災の心得、フェス情報まで、自然と人生を楽しむための情報を毎日お届けします。小学館運営の公式サイトです。 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル Fri, 26 Dec 2025 06:39:28 +0000 https://www.bepal.net/wp-content/themes/bepal/assets/img/common/sitetitle.png 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル https://www.bepal.net <![CDATA[大手町〜丸の内で森とアートにふれる東京ど真ん中さんぽ【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.23】]]> https://www.bepal.net/archives/605815
今回は東京都千代田区、東京駅の西側をめぐる「大手町の森GREEN WAY」です。

23th ルート:大手町の森GREEN WAY

この連載のFILE.12「千鳥ヶ淵GREEN-WAY」で、皇居の外濠の北側をめぐりました。ただ、一般的に皇居と聞いてイメージするであろう、東京駅の西側エリアは未踏です。そこで、東京のど真ん中を攻略しようと思い立ったものの、東京駅はベタ過ぎるし…と考えて目に止まったのが大手町駅でした。なぜベタな東京駅を避けるのかと聞かれても、そういう性格だからとしか答えようがないのですが…。

ともかく、FILE.23は「大手町の森GREEN-WAY」を歩きます。

今回のターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)は、大手町駅A5出入口。何度も来ている大手町駅ですが、5路線も乗り入れていて駅の構造が複雑なので、いつも乗り換えや出口探しに苦労します。

大手町駅A5出入口ターミナル。

大手町

城郭(江戸城)の正門である大手門の前に位置していたことから付いた名称。全国の城下町に、大手町という地名が存在します。そういえば、僕が暮らす山形県の県庁所在地、山形市にも大手町があります。

東京の大手町は平川(神田川の旧称)の河口部分、かつてあった神田山の尾根の先に位置し、もともと芝崎村と呼ばれていたそうです。徳川家康の入府後、日比谷入江が埋め立てられてからは大手前と呼ばれ、大名屋敷が建ち並ぶようになります。その後、明治時代には官庁街に、第二次世界大戦後はオフィス街になりましました。

そっけないオフィス街のイメージの大手町にも、しっかり緑があります。

街の様相の変遷はありながら、大手町は江戸の昔から東京の中心地であり続けています。そんなビルの谷間を進んでいくと、大手町駅A5出入口から徒歩3分ほどの場所に「森」がありました。一瞬「え?」となりましたが、本当に大手町に森があります。

パッと見はこじゃれたカフェの看板のようですが、文字通り「森」があります。

大手町の森

2023年8月に開業した大手町タワー。「森(しん)・呼吸できるまちづくり」を運営コンセプトに掲げ、敷地面積の3分の1を占める約3,600m²に「日本一の都市の森」をめざす人工林を整備しています。希少種を含む約300種もの植物が育っていて、野鳥や昆虫たちが訪れる場所になっているのだそうです。

ビルの中庭的な場所ですが、樹木が生い茂っています。  

大手町の森の整備後の主だった効果としては、以下のものがあるそうです。

  1. 都心において豊かな生態系を育む「皇居」からほど近い距離に「自然の森」をつくることで、多様な生き物が行き交う移動拠点となり、都市の生態系の充実を図ることができる。
  2. 木々が織りなす緑のシェードが直射日光を遮ることはもちろん、自然の森が持つ木々の蒸散作用や土壌の保水力によりクールスポットを形成。開発後は敷地内で1.7度、周辺敷地でも0.3度の平均気温の低下を観測。
  3. 屋根や人工地盤への降雨を植栽の灌水に使用し、水の循環利用を行っているほか、人工地盤上の土は雨水の一次貯留施設として、ゲリラ豪雨時の敷地外流出防止に寄与。

興味のある方は 「大手町の森」のサイトをご覧ください。
https://the-otemachi-tower.com/otemachi-forest

大手町の森へいざ一歩足を踏み入れると、いわゆるビルの中庭の植栽というより、裏山の雑木林の一部を切り取ったような雰囲気です。ただ、壁がガラス張りだったり、通路にはお洒落なベンチが置いてあったりと、意匠などは洗練されています。

森には水が流れ、他のエリアより空気が少し冷たい気さえしました。ベタな例えですが、まさに都会のオアシス。出発したてにも関わらず、ベンチに腰を落ち着け、深呼吸してしまいました。一瞬ここで終わろうかという考えも過ぎりましたが、気合を入れ直し、再び立ち上がって歩き始めます。

まさに小さな森。最高です。

大手町の森(大手町タワー)から、丸の内仲通りを歩いていきます。丸の内仲通りには、ハイブランドのショップやレストラン、カフェなどが軒を連ねています。石畳の道で、街路樹などの整備も行き届いていて、とても気持ちよく歩くことができます。冬にはイルミネーションも施されるようです。

木陰が気持ちい丸の内仲通り。この通りも緑が豊富です。

丸の内ストリートギャラリー

また、丸の内仲通りを歩いていると、いくつもの彫刻を目にしました。調べると、1972年より三菱地所株式会社と公益財団法人彫刻の森芸術文化財団が芸術性豊かな街づくりを目指して、1972年から取り組んでいるプロジェクト「丸の内ストリートギャラリー」だそうです。丸の内仲通りを中心に近代彫刻や世界で活躍する現代アーティストの作品を、 数年に一度入れ替えながら展示しているのだとか。

来た道を少し戻ってチェックし直したりしましたが、現在でも丸の内仲通りだけで15作品、周辺も含めると17作品がストリートに展示されています。大手町〜丸の内エリアを散策スポットとして捉えたことがなかったですが、こんなふうに街歩きを楽しめる場所だとは知りませんでした。

Symbiosis(共生) 佐藤正和重孝 2025年/石、ブロンズ/日本
巨大な町 ルイジ・マイノルフィ 1987年/ブロンズ/イタリア

丸の内仲通りから馬場先門通りを右に曲がり、皇居の方に歩を進めます。日比谷通りまで進んだら、今度は左に曲がり、日比谷公園へ向かいます。右手に皇居のお掘が見えますが、このあたりは「日比谷濠」と呼ばれているそうです。

先に大手町の成り立ちを説明する中で、江戸時代に埋め立てられるまで周辺に日比谷入江が存在していたと記しました。この日比谷濠は、日比谷入江の名残だそうです。江戸湾(東京湾)の入江があったなんて、現在の日比谷からは想像もつきません。

日比谷壕。

日比谷濠のそばの歩道にも、柳などの並木が続いています。丸の内仲通りとはまた違った趣があり、とても気持ちよく歩くことができます。以前、FILE.3「半蔵門GREEN WAY」にも書きましたが、とにかく皇居周辺は空が広いです。特に今回は大手町〜丸の内エリアのビル街を歩いた後だけに、より一層、空が大きく開けていることの心地よさを実感しました。

実は、今回はビル街を耐え忍んで(?)通り抜けた先、皇居の近くや日比谷公園で緑を感じよう、GREEN WAYを楽しもうと目論んでいました。でも、意外にも緑豊かな大手町の森や散策に最適な丸の内仲通りを歩くことができました。ということで、「大手町の森GREEN-WAY」は、ここでいったん終了。日比谷公園については、次回に持ち越しとします。

今回歩いたルートのデータ
|距離約1.8km
|累積標高差約3m

今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

●大手町の森GREEN-WAY

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BE-PAL Fri, 26 Dec 2025 06:00:18 +0900
<![CDATA[足元からリカバリー! ファイテンの技術を採用したスニーカーはキャンプでも便利]]> https://www.bepal.net/archives/624596

ファイテンの独自技術を採用したスニーカー

インソールにファイテン技術が採用されたシューズブランド「S&W ✕phiten」。

革靴やケミカルシューズなど、あらゆる種類の靴を企画、製造している「S&W」が、「phiten」とコラボして、2024年12月に登場したのが、「S&W ✕phiten」です。ライフスタイル全般やウォーキング、ランニングやトレイル向けなど、好みに合わせて選ぶことができるラインアップです。これらのシューズのインソールに、phitenの技術である「メタックス」が採用されています。メタックスとは、phiten独自の水溶化メタル技術によって、各種金属をナノレベルで水中に分散させた素材で、身に着けることで体をリラックス状態に導きます。ネックレスやウェアはイメージできたのですが、スニーカーに採用するとは、意外な気がしました。

「人間の体は、上半身が約60%、下半身が約40%となっており、下半身の40%で全身を支えなくてはなりません。その下半身でも一番下で体全体を支える足は、毎日靴を履くので、日々の疲労を少しでも軽減でき、かつ、足のサポートができればと考えました。」(S&W 営業課 課長 髙松由佳利さん)

6対4という割合もそうですが、頭が重いことを考えると、足にはかなりの負担がかかっていることになりますね。足を起点としたリカバリー、リラックス効果も期待できるそう。より軽やかに、アウトドアが楽しめそうです。

「足は、第二の心臓といわれるほど、全身の血流を回すうえで大切な役割を担っています。立っている間は、全身の血液量の70%が下半身に集まっています。また、足裏には、全身の臓器や器官に対する『反射区』や『ツボ』が集中しているので、phitenシューズを履くことで、リラックス効果も期待できます。」(髙松さん)

足が疲れにくくなるだけでなく、全身が軽やかになりそうですね。

アウトドアだけでなく、日常から履いて軽やかさを体感

(左から)ライフスタイル レディース 8色展開 22.5~25.0cm 9,900円、メンズ 5色展開 25.5~28.0cm 11,000円/ランニング レディース 5色展開 22.5~25.0cm 14,300円、メンズ 5色展開 25.5~28.0cm 14,300円/トレイル レディース 4色展開 22.5~25.0cm 15,400円、メンズ 4色展開 25.5~28.0cm 15,400円(すべて消費税込み)

S&W ✕phitenのシューズは、日々、履くことで効果が得やすいといいます。キャンプなどに出かけるほか、デイリーにも着用しておくと、実感しやすいのかもしれません。ウォーキング、ライフスタイル、ランニングやトレイルと、モデルが分けられていますが、幅広いシーンでの着用をイメージしてデザインしているため、おしゃれアイテムとして選んでもらいたいとのこと。つまり、プロスペックというより、phitenの働きを体感するためのデイリーユースから、ランニングやトレイルなど目的別のシューズの場合は、初心者向けというイメージで選ぶのが正解のようです。

トレイルは見た目以上に軽くて、ハンズフリーの快適さも備えています。

筆者が試し履きしたのが、トレイルです。なんと、フリーハンドで履くことができるタイプ。これは、キャンプのとき、テントから出入りするときなどにとても便利です。初めて履くときに、シューレースはフィットさせておきましょう。こちらは、ライトな山道を想定したトレイルシューズで、アッパーはメッシュ生地が採用され、通気性も確保されています。履いてみると、めちゃくちゃ軽くて、アウトソールのグリップも感じられました。リカバリーしてくれるなら、いつもよりちょっと長い距離を歩いてみようかなと思いました。また、3D設計のインソールが、歩行時の安定性を向上するだけでなく、着地時の衝撃を効率よく吸収し、足の疲労も軽減してくれます。

ランニングモデルらしい鮮やかなカラーもあり、コーデが楽しめます。

今後は、サンダルやキッズの展開も検討中とのことで、親子コーデを楽しむこともできそうです。次のアウトドアは、足元からリカバリーしながら出かけてみるのはいかがですか。

S&W ✕phiten
https://style-w.co.jp/

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BE-PAL Fri, 26 Dec 2025 03:00:00 +0900
<![CDATA[電気ストーブのおすすめを紹介!種類の違いや選び方も解説!]]> https://www.bepal.net/archives/619095 なかでも電気ストーブは電源があるところで使える便利なアイテムで、用途に応じた多彩な選択肢があります。
今回は電気ストーブの基本とおすすめアイテムをご紹介します。

電気ストーブの基本を知ろう!

電気ストーブとは?

電気ストーブ本体
足元で使える電気ストーブ。

電気ストーブは、本体内部の電熱線に電気を通すことで熱を発生させ、その輻射熱を利用して暖める暖房器具です。

空気を暖めるエアコンやファンヒーターとは異なり、熱源から出た赤外線が、人や物に当たって直接暖めます。

電気ストーブの利点は、スイッチを入れてからすぐに暖かさを感じられるところ。

部屋ではなく人を暖めてくれる頼もしさは、オフィスワークやちょっとした作業など、様々なシーンで活躍します。

遠赤外線ヒーター・セラミックファンヒーターとの違いは?

セラミックファンヒーター
部屋を暖めるのに向いているセラミックファンヒーター。

遠赤外線ヒーターは、電磁波を放射して暖める暖房器具です。じんわりと芯から暖まるのがポイントです。

セラミックファンヒーターは、電熱ヒーターで暖めた空気を、文字通りファンを使用して放出する暖房器具です。

人を暖めるより空間を暖めるのに向いており、広い空間より脱衣場所などの小さな場所を暖めるのに適しています。

電気ストーブの種類

カーボンヒーター

炭素繊維(カーボン)を使用したヒーターで、赤外線を放出するためじんわりポカポカする暖かさが特長です。

遠赤外線で人を暖めるのに向いていますが、空間を暖めるのは苦手です。

グラファイトヒーター

黒鉛(グラファイト)を使用したヒーターで、消費電力は高いですが短時間で一気に暖まるのが魅力です。

朝起きてすぐに暖まりたい時や短時間の使用に向いています。

シーズヒーター

金属製のパイプの中にニクロム線などを使用したヒーターです。

耐久性が高く消費電力を抑えた暖房器具で、長時間の使用に適し、寝室やリビングといった場所がおすすめです。

一方、暖まるまで時間を要するため短時間使用は苦手としています。

ハロゲンヒーター

ハロゲンランプを熱源としたヒーターで、すぐに暖まる暖房器具として使われています。

現在は見る機会が減ってきたタイプですが、暖かさを視覚的に感じる光を懐かしむ方も多いのではないでしょうか。

電気ストーブの選び方

利用するシーンで選ぶ

電気ストーブ本体
ニーズに合わせて最適なモデルを。

電気ストーブを選ぶ際にまず考えたいのが、どんな場所で、いつ使うといったシーンで選ぶことです。

朝・日中・夜などの時間帯、リビングといった広いスペース・脱衣場といった狭いスペースかなど。

これにより、すぐに暖まるモデルを選ぶか、長時間持続するモデルを選ぶかが決まります。

デザインで選ぶ

現在は多彩なデザインが見られるようになり、使う部屋に合わせて選ぶことも楽しめるようになりました。

スペースを最小限にできるスリムな縦型・昔懐かしいレトロなデザイン、足元での使用に適したコンパクトなものなど、好みと実用性のバランスを考えたデザインを選ぶと良いです。

機能で選ぶ

暖房のほか、モデルによってタイマー・首振り・人感センサー・安全機能などが付いています。

小さなお子さんがいる家庭・消し忘れてしまうのが悩みの方など、ご自身のニーズに合うモデルを選びましょう。

持ち運びしやすさ選ぶ

持ち運びやすい取っ手。
汎用的に使うなら持ち運びやすさは外せない要素。

ひとつの電気ストーブを幾つかの部屋で使いたい場合は、持ち運びやすさも大切なポイントです。

負担にならない重さか、運びやすい取っ手があるかなどを確認しておきましょう。

電気ストーブおすすめアイテム4選

商品①Aladdin:遠⾚グラファイトヒーター

0.2秒の素早い立ち上がりが魅力のグラファイトヒーターです。

アラジンならではの美しいデザインに二重安全OFFスイッチなどを備え、機能性も十分です。

商品②アイリスオーヤマ:電気ストーブ 400/800W コンパクト EHT-800W

基本的な機能を押さえたコストパフォーマンスに優れた電気ストーブです。

1.7kgのコンパクト設計で、脱衣所やキッチン、デスクワークなどで活躍します。

商品③CORONA:コアヒートスリム DH-919R

じんわりと暖めてくれるシーズヒーターです。

細かな温度調整に首振りなど、豊富な機能を備えています。

商品④トヨトミ:IRW-N100(H)

カーボンヒーターとシーズヒーターの特長を押さえたモデルです。

グレーのデザインで様々な部屋にも合わせられ、柔軟な使い方を可能にします。

電気ストーブがあれば冬場も安心!

電気ストーブのダイヤル。
シンプルな温度調整。

電気ストーブは部屋の広さや時間帯など、ニーズに合わせて多彩なモデルを選べるおすすめの暖房器具です。

人を暖めたり空間を暖めるなど、種類によっても特長が異なるので、今回の記事を参考に最適な1台を選び、寒い冬を乗り切りましょう。

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BE-PAL Fri, 26 Dec 2025 01:00:54 +0900
<![CDATA[昔はけもの道だった!? 絶景のパタゴニア「トレス・デル・パイネ国立公園」ハイク!]]> https://www.bepal.net/archives/618415
同じ国立公園なのにまったく違った表情を眺めることができて、しかもこちらもまた絶景の連続でした! パタゴニア、デカいです。パタゴニア、深いです。

どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

【柳沢有紀夫の世界は愉快!山遊び王国チリ・パタゴニア旅・その2】

前回はこちら↓

[blog_card url="https://www.bepal.net/?p=618344"]

見どころ満載の変化に富んだコースです!

今回もまたプエルトナタレスの街からツアーバスに乗り、2時間かけて出発地点に向かいます。

雨模様だったら前回とは異なり、今回は打って変わって朝から青空が広がります。
そして前回と同じドライブインで休憩。ほぼ同じアングルですが景色が全然違います。笑
そのドライブインから見られた山並み。「ああ、こんな風景が広がっていたのか」とビックリ。
リャマの姿も見ることができました。

チリではこのリャマとコンドルとプーマが観光客に人気の動物です。最近では「野生動物観察ツーリズム」がますます人気を呼んでいるので、プーマもある意味で「大切な観光資源」と考えられているそう。

ところがプーマという動物、お母さんは子どもたちに狩りを教えるために、牧場で飼っている羊を一晩で40から50 も殺してしまうこともあるのだとか。

牧畜業もこのパタゴニアでは重要な産業です。それでこれは由々しき事態だということで対策を練り、牧場では夜中に光と人の声を発してプーマを近づけないようにしていて、今のところそれは結構成功しているとのこと。

でもあくまでも「今のところ」で、プーマが慣れてしまう可能性もあります。観光業も大切ですし、牧畜業も大事。なかなか難しい問題です。

撮影スポットで途中下車。たまらん。
ずっとここにいても飽きない風景。

というわけですでにかなり満足度の高い状態になっている私ですが、まだトレッキングを始めてすらいません。笑 というわけで本日のコースを紹介しましょう!

地図の右のほう、ラグナ・ベルデ湖(Laguna Verde)の湖畔にあるエスタンシア・ラソという牧場からスタートします。

赤い点線を左に進んでいき、トロ湖展望台(Mirador Lago Toro)を経由。その後車道まで降りていき、車でピックアップしてもらいます。標準コースタイム4時間45分のトレッキングコース。13キロメートルで、難易度は中とのこと。

青空のなか出発するも……

11時20分トレッキングスタートです。ずいぶん出発時間が遅いと思われそうですが、チリ標準時の設定がちょっとユニークで、春真っただ中の10月中旬の日の出が6時45分くらいで、日の入りが20時半くらい。というわけで1時間半くらいの休憩時間を考慮しても、日の入りの3時間前にはトレッキングは終了する計算です。

出発地点。最初はただの牧草地で看板が立っていなかったらトレッキングルートと気づかないかも。
湖の反対岸に見える山の名前はアルミランテ・ニエト山(Mont Almirante Nieto)。標高2670メートル。

こんな感じで快調にスタートしたのですが出発から50分後、事件が起こります!

この10日くらい前から雨が多くて川が増水している中、倒木を橋に見立てて渡ります。

川の流れもかなり急。ガイドが手伝ってくれますがめちゃくちゃチャレンジングな川渡りでした。

このトレッキングルートは前回のルート以上に雨の影響で道がぐちゃぐちゃなところが多いです。

ガイドによると「トレス・デル・パイネ国立公園」のトレッキングルートのほとんどがもともと「けもの道」で、それをガウチョ(カウボーイ)が利用するようになって、その後トレッキングルートとしても使われるようになったのだそうです。

でもガウチョたちは馬に乗って通るので、足元がぬかるんでいようと関係ない。よってトレッキングルートも雨になるとぐちゃぐちゃになるところがほとんどなのです。ちなみに国立公園内で人間が一から切りひらいたトレッキングルートはまだ1箇所しかないのだとか。

踏み均されたトレッキングコースから大きく外れなければ歩けないところもあります。

ここは自然にできた水の流れで、トレッキングコースが分断されていました。で、数メートル「上流」に移動すると倒木が渡されていて何とか歩けるようになっているのです。

こんな迂回ルートがあちこちにあります。ガイドと一緒じゃなければ、どこから渡っていいのかわからないところが多いです。日本やオーストラリアの国立公園がすごく整備されていることに感謝しました。

さてこのトレス・デル・パイネ国立公園、この数十年で3回大きな火事があり、その都度かなりの面積を焼き尽くしたとのことです。このあたりは風が強いことがほとんどなので、山火事はすごく広がるのです。

出火原因は様々で1つはイスラエル人がトイレットペーパーを燃やして、それが広がったもの。もう1つは日本人が料理用のバーナーを倒してしまってそこから火がついたもの。もう一つはチェコ人が投げ捨てたタバコからとのこと。

正直言うと日本人のバーナーは事故ですが、そのほかの2つは言語道断ですよね。特にイスラエルのトイレットペーパーを燃やしたのなんて、行動として不可解。

でもその後ここの植生の回復のためにお金を出したのはチェコ政府だけで、イスラエルと日本の政府は何もしなかったと、ガイドからちょっと恨み節を聞かされました。

というわけで私は「約束する。サナエに言っておくわ」と豪語しました。「サナエってだれ?」とガイドが聞くので、「今度の日本の首相の名前はサナエ・タカイチっていうんだよ」。もちろん笑われただけです。

ちなみに私自身も決して安請け合いしたわけではありません。「サナエに言う」と約束しただけで「高市早苗首相に伝える」とはひとことも言っていません。

ただこの辺はむずかしい問題ですよね。チリという国に日本人が迷惑をかけたのは申し訳ないけれども、一人のミスのために巨額の血税を使うのもどうか、と。

そういえば日本でも岩手県大船渡市や岡山県岡山市、愛媛県今治市などで2025年は大規模な山火事がありました。火の始末には本当に気をつけましょう。

絶景の高台へ

歩いていて「なんだかタスマニアに似ているな~」と思いました。

この記事です。高い木々がない感じがですね。やっぱり緯度が高くて風が強いからでしょうか。

写っている山のどれかが「世界で一番登頂が難しい山の一つ」だそう。

というのは今まで登頂に成功した人は5人しかいないのだとか。ちなみにこの湖の名前はトトラ湖(Lago Totora)。日本人、特にジブリ好きには非常に惜しいと感じる地名です。

13時半、高台でランチ休憩。眼下に臨むのはHonda湖。

今度は日本人としてドンピシャな名前だと思ったのですが、スペイン語での読みは「オンダ」ですね。笑

対岸の先に見えるのはこの「トレス・デル・パイネ国立公園」最高峰のパイネグランデ山。

視線を右にずらしても絶景が広がります。

45分ほどランチ休憩を取って、14時15分に出発です。

下は川ではなく水たまりですが、ここもなかなかチャレンジングな倒木の橋。
ちなみにルートを示すサインがまったくと言っていいほどありません。このコースでもまだ一箇所だけしか見ていません。

360度の展望台のトロ湖展望台

16時ごろ丘の上にあるトロ湖展望台(標高559メートル)に向かって登り始めます。

そして16時13分到着。北西のパイネグランデ山方面。
南西はトロ湖。
遠くに見える峰々と雲もいい味を出しています。

ずっとこのままここにいたいと思うほどの360度の絶景です。ところがじつはものすごい突風が吹き荒れています。

手袋とネックウォーマー、そして乱れまくりの髪の毛が風の強さを表しています。

というわけでこの絶景を楽しめたのもせいぜい10分ほど。でもたった10分でもこの光景は目に焼きついて一生離れないと思います。

ぐいぐいと高度を下げたあと草すらほとんど生えていない山の中腹を歩きます。

これがたまらなく気持ちよかったです。さっきの展望台と比べて全然名所じゃないのでしょうけど、「ああ、ここ好きだな」と思える場所が見つかった幸せ。

雲がさらにいい味を出してきました。……というか風雲急を告げる?

嵐に遭うかと思いましたが、問題なく17時20分一般道に到着。10分ほどのドライブでその日の宿泊場所に到着です。

無茶苦茶オシャレなグランピング施設。右の白いのがツインの部屋。

各部屋のすぐ外に、その部屋専用のバストイレが付いています。写真の左側に見えるような建物です。これは別の部屋用のバストイレですが。

ちなみにこの建物、別名「ニンニク」とか「ダンプリング」と呼ばれているとのこと。「ダンプリング」は餃子も含めたひき肉などのタネを小麦粉でつくった薄皮で包んだものの総称ですが、確かに「小籠包」そっくり。笑

「小籠包」の室内。ヒーターも完備していて暖かかったです。
ダイニング&リビングエリアもオシャレですね。

リャマを見て、チャレンジングが川渡りなどアドベンチャーなトレッキングをして、絶景を楽しんで。本当に盛りだくさんな一日でした。明日は今日とは別のトレッキングコースに向かいます。おやすみなさい。

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

Chile Nativo (今回のハイキングツアー催行会社)
https://chilenativo.travel/

CHILE TRAVEL(チリ政府観光局の旅行者用サイト)
https://www.chile.travel/en/

ATTA (ADVENTURE TRAVEL TRADE ASSOCIATION。アトベンチャートラベルに関する世界的な業界団体。今回のイベントを主催)
https://www.adventuretravel.biz

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BE-PAL Thu, 25 Dec 2025 23:00:00 +0900
<![CDATA[【3年×32カ国・ヨーロッパキャンピングカー旅実録】おもしろエピソード&心に残った出会い編]]> https://www.bepal.net/archives/619184
毎日移り変わる景色、文化や習慣の違い、思いもよらない出会い、そして時にはヒヤリとする体験と、バンライフは毎日が小さなドラマの連続です。

今回はそんな3年間の旅で体験した、おもしろエピソード&心に残った出会いをお届けします。どれも、旅の中でしか味わえないユニークな出来事ばかり。3年間の旅で出会った、笑いと驚きと感動の瞬間を、ちょっと覗いてみませんか?

見知らぬ人のキャンピングカーに窓から侵入?!

まさか、小窓から他人のキャンピングカーに侵入することになるなんて...。

それは、フランスとイタリアの国境付近にあるスキーリゾートに滞在していた時の出来事です。そこはキャンピングカー専用の駐車場で、国境付近ということもあり、フランス、スイス、ドイツとヨーロッパ各地からのキャンピングカーがズラリと並んでいました。

周辺を軽く散策し、私たちの車に戻ろうと駐車場を歩いていると、見知らぬ女性が突然声をかけてきました。ドイツ人の彼女はドイツ語で何やら一生懸命話しかけてきましたが、こちらはチンプンカンプン。英語とジェスチャーを混ぜながらなんとかコミュニケーションを取り、状況を理解すると。

どうやら、鍵をキャンピングカーの中に置いたまま外に閉め出されてしまった。ケータイは車の中。夫はスキー中で当分戻らないようで、車の中に入れなくなって困っている。とのことでした。

数十台のキャンピングカーの中から、なぜか私が抜擢。どうやら“サイズがピッタリ”だったらしい。

そして私の背丈を見て「あなたは小さいから、この小窓から入れると思うの!チャレンジしてみて!」と言われてしまいました。「えぇ?まさかの理由そこ?!」(笑)と思いましたが、困ってそうだったので手伝うことに…。しかし、窓を見ると思っていた以上に小さく、しかも結構高い位置…。「え、これ登れるかな」「土足は悪いし、靴は脱いでおこう」と少し戸惑っていると、彼女は「大丈夫よ!」と言いながら、私の体をヒョイッと持ち上げて窓枠までのせあげてくれました。(笑)

あまりの勢いに完全にされるがままで、私はそのまま窓をよじ登って車内に侵入。全く知らない人のキャンピングカーに窓から入るなんて、何だか妙な気分です。中を見渡すとすぐに鍵を発見し、無事にドアを開けてあげることに成功!ドイツ人の女性は大喜びで「本当に助かったわ!」と何度も感謝してくれました。

まさか旅先で小窓から他人のキャンピングカーに“潜入”することになるなんて、まったく予想もしなかったおもしろエピソードとなりました。

ヨーロッパは狭い?思わぬ場所でまさかの再会!

地中海にポツンと浮かぶ島で、まさかの出会い!

イタリアの地中海に浮かぶ、サルディーニャ島を旅していたときのこと。観光地で賑わう海沿いを離れ、あえて選んだのは、のんびりした小さな田舎町にあるRVパーク。そこで給水をしようとしたのですが、慣れない給水仕様に戸惑っていると、1人の女性がニコッと微笑みながら近づいてきて、困っている私を手助けしてくれました。言語はもちろんイタリア語。私は必死に慣れないカタコトのイタリア語を使いながら、なんとかコミュニケーションを取り、彼女は水道ホースまで貸してくれるほど親切で、おかげで無事に給水完了!

ほっとして夫とポルトガル語で話していると、突然その彼女が驚いた顔で一言。「ちょっと待って!あなた達もしかしてブラジル人?!」とポルトガル語で話しかけてきたのです。なんと、ずっとイタリア人だと思い込んでいた彼女は、まさかの私たちと同じブラジル出身!しかも、私たちと同じように、夫婦でキャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを旅しているというのではありませんか。

地中海の島の片隅で、まさか私たちと同じ境遇のカップルに出会うなんて…そんな偶然あります?その日は一緒に食事をし、旅の経験をシェアしながら仲を深め、お互いの旅路へ戻るため、名残惜しくも別れました。

しかし、驚きはここで終わりません。サルディーニャ島で別れてから6カ月後…なんとそこから約5000kmも離れた北極圏に位置するノルウェーのロフォーテン諸島で、偶然にも再会することになったのです。

地中海の島で出会い、次に再会したのは北極圏。約5000kmを越えてつながる旅の縁。

これも何かの縁、ということでノルウェーの幻想的なフィヨルドを一緒にハイキングし、ここでしか味わえない絶景を共有。旅はやっぱり出会いと巡り合わせの連続です。別れ際には、「きっとまた、どこかで会えるよね」と言葉を交わし、またお互いの道を進んでいきました。

旅先で再会した仲間と見る景色は、一段と心に染みるものでした。

ヨーロッパは広いようで、旅人にとっては意外と“狭い”。だからこそ、こんな奇跡のような再会が起きるのだと思います。そんな“旅の巡り合わせ”こそ、バンライフの最大の魅力なのかもしれません。

ノルウェーの北極線上で幻想的な車中泊体験

周囲には民家や人工物もなく、交通量も少ないため、ほとんど無音の世界。

北欧ノルウェーを旅していたある日、雨模様が続く予報のため、5日間ほど車内でパソコン作業に専念するつもりでした。ただ、せっかくキャンピングカーで自由にどこでも泊まれるのだから、絶景の中で過ごそうと考え、訪れたのが、北極圏ラインにあるSaltfjellet高原。ここは、どこまでも続く“北極圏の荒野”で、野生動物がひっそりと息づく場所です。北欧らしい景色と静けさの中、ただ車窓を眺めながら過ごす時間は、忘れられないのんびりした滞在となりました。

そして何よりも感動したのが、毎日のように現れるトナカイの群れです。数十頭のトナカイがキャンピングカーの周りを、優雅に通り過ぎる様子は、まるで自分たちだけの自然劇場にいるかのようでした。

毎日のように、トナカイの群れがキャンピングカーの周りをのんびり散歩。

特に驚いたのは、めったに出会えない白いトナカイを見れたことです。地域によっては「数百頭に1頭」と言われる希少な個体で、「見られたらかなりラッキー!」。静寂の高原に浮かび上がる白い毛並みはどこか幻想的で、思わず息を呑むほどの美しさでした。

珍しいと言われる白いトナカイまで!

野生動物の気配をすぐそばに感じながら、ただ自然と向き合うように過ごした4日間は、旅の中でも特別で、忘れられない体験となりました。

キャンピングカー旅は一期一会の出会いでできている

旅の魅力は、ただ移動して景色を楽しむことではなく、こうした“思いがけない出会い”や瞬間が積み重なって、旅そのものを豊かにしてくれます。まさに、旅の中で生まれる一期一会の体験です。

これからも一瞬一瞬を大切にしながら、私たちの旅は続きます。次回は、ハラハラドキドキの「ハプニング編」をお届けします。どんなトラブルやヒヤヒヤ体験が待ち受けているのか、お楽しみに!

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BE-PAL Thu, 25 Dec 2025 21:00:22 +0900