京都の建物とツイードスタイル
そんなツイードランだが、個人的には引っかかる部分があった。東京などで開催されるのはもちろん喜ばしい事なのだが、東京の建物などに、こういったクラシカルな服と自転車は合うだろうか?と言う事だった。ロンドンは古い建物が多く、ツイードやクラシック自転車はさぞかし合うだろうと思った。
しかし、これはどうにもならない。もし、日本で開催されるとしたらどこが似合うだろう?と考えると、古い建物が多く残っている京都か、山方面の田舎だろうと思った。
そんな事を考えていた矢先、ついに今年の11月、京都でツイードと自転車によるイベントが開催されるという情報が飛び込んできた。
この「古都ツイードライド2017 in kyoto」はジェイアール京都伊勢丹の主催で、本家ツイードランとは別の母体のため「ツイードライド」として分けているようだった。実行委員会のヘイジェントルマンカフェのオーナー、馬場さんの悲願の企画で、長年の苦難と計画の末、ようやく今年開催される運びとなった。
京都の日本家屋が残る路上を古いヨーロッパスタイルの自転車乗りたちが駆け抜ける世界を見てみたい。2017年11月25日早朝、自分も愛車のランドナーと共にイベントに参加すべく、京都にスッ飛んで行った。
古都ツイードライド2017 in kyoto
当日は京都駅前から出発し、河原町松原(旧五条大橋) → 建仁寺 → 祇園・巽橋→ 京都府立図書館 → 平安神宮にてランチ → 鴨川 →そして再び京都駅、という流れで、最後にパーティという流れだった。
全国各地から集まった参加者は44名、走行は5名ほどのチームに分かれ、先頭に誘導係を配し交通ルールを守りながらの走行となった。
京都では初の開催のためか、突如出現したクラシカルでお洒落な自転車乗りの集団は道行く人々の視線を釘付けにしたようだった。
天気は快晴に恵まれ、紅葉と古い建物の中、小さな入り組んだ路地を穏やかに走行するツイードの自転車乗りたちの姿は、思った通り抜群にマッチし、お寺や神社仏閣、着物姿の人々などと不思議なハーモニーを奏でているように見える。そして、思った以上に自転車も服装も「筋金入り」の好事家が多かった。
神戸から来た松枝さん(37歳)は昔から自転車と古着が好きで、今回の服装も靴以外は全て古着だそうだ。
自転車も1923年のロイヤルサンビームで、当時、イギリスの最高峰のロードスターである。松枝さんは、普段からこんなスタイルが多く、彼にとって、これらは日常的なスタイルだそうだ。
ひときわ、オーラを放ち、今回、ベストドレッサー賞にも輝いた井口さんの自転車は1934年のイギリス自転車でWEJという個人のビルダーによる自転車。世界で230台ほどしかないらしい。(当時のイギリスは草野球並に自転車によるレースやツーリング盛んで、各地に無名の自転車作りの工房が無数に存在していた)ツイードの上下も使いこみ、体に馴染んでいるのがわかり凄い迫力である。井口さんも普段、こんなスタイルが多く、何と、登山やスキーでもこのようなオーソドックススタイルでこなしているそうだ。(スマホ画像を見せていただいたが、卒倒しそうになった、笑)
嬉しいのは普段から自転車と共に服装も現役として使いこなしている人が多かった事だった。