都内を自転車で配達!エコでエシカルな「BICYCLE COFFEE TOKYO」 | ナチュラルライフ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2020.09.01

    都内を自転車で配達!エコでエシカルな「BICYCLE COFFEE TOKYO」

    私が書きました!
    ライター・エディター
    新田草子
    東京都出身、目黒区在住。雪山とお酒をこよなく愛するライター&エディター。雑誌やウェブを中心に、体をととのえること、食べること、心地よく暮らすことにまつわる記事を執筆中。 

    京成金町駅から京成高砂駅までのわずか3駅をつなぐローカル列車、京成金町線。金町駅からその線路沿いを歩くこと数分、板張りに白いペイントをほどこした、オープンな空気感が漂うお店が右手に見えてきます。 ここは、サンフランシスコ・ベイエリア生まれのコーヒーロースター「BICYCLE COFFEE」の、東京拠点。コーヒー好きの方なら、一度はその名を聞いたことがあるかもしれません。

    BICYCLE COFFEEは、有機農法で育てた豆を農家から適正な価格で直接購入して自家焙煎し、それを取引先の店舗やオフィスまでできるだけ環境負荷が少ない方法、つまり「自転車」で届けるという、他に類を見ないロースター。

    旅先の中南米でコーヒー農家が不利益を被る実情を目にした兄弟・いとこ同士の4人の男性が、自分たちにも貢献できることがあるのではないか……と考え、2009年に彼らの拠点であるオークランドで創業した会社です。

    サンフランシスコ・ベイエリアで、3兄弟+従兄弟の4人でスタート。

    その理念に共鳴した日本のアウトドア企業「サンウエスト」が、自社のショールームに併設する形で「BICYCLE COFFEE TOKYO」として2013年に立ち上げたのが、この金町のカフェ&焙煎所なのです。

    豆のパッケージもカフェの容器も、生分解性素材を使用。

    「それまで自転車に関わる仕事をしていましたし、周囲でも食やオーガニックへの関心が高まっていたとき。話を聞いてすぐにやってみようと思いました」 とは、「BICYCLE COFFEE TOKYO」にオープニング時から関わる、スタッフの成田裕作さん。  

    いつもニコニコ、スタッフの成田裕作さん。

    サスティナブルな仕組みの中でコーヒーを販売するだけでなく、自転車で配達することで自分たちもそのサイクルの一部になる。そうしたスピリットにはもちろんのこと、パッケージも生分解性素材を選ぶなど、徹底してオーガニックを追求する姿勢にも共感を覚えたといいます。

    生分解性の素材で作られたカップ類。

    「準備期間中、オークランドに見学に行って驚きました。2013年当時ですでに、カフェで提供する容器にバイオプラスチック製のものが使われていたんです。コストがかかるし食品検疫の関係もあって日本では難しかったのですが、ここに来てようやく、東京でも同じレベルのものを使えるようになりました」  

    一方、コーヒー豆のパッケージには、早くからアメリカと同じ生分解性の素材を採用。「燃やしてもガスが出ないし、埋めれば土に還ります。プランター代わりにもなりますよ」。  

    そう言いながら見せてくれたのは、店先に並んでいた観葉植物。素朴なコーヒー豆の袋を鉢にした小ぶりなグリーンは、のどかなショップの雰囲気によく合うのでした。

    環境と、働く人に配慮する。 その上でおいしいコーヒーができればいい。

    現在BICYCLE COFFEEで取り扱っているのは、グアテマラの小さな有機農家「エル・プラタニーロ」のものを中心に、信頼関係のあるいくつかの農家の豆。数年前にグアテマラの農園を訪れたという成田さんは言います。

    「行ったのはちょうど収穫の時期。季節労働者として多くの家族が農園に滞在していました。山間部にある小さな農園なので機械化が難しく、農法も必然的にオーガニック。収穫もすべてハンドピックで、それを1〜2か月かけて家族総出で行うんです。中には赤ちゃんを背負いながら作業に励むお母さんもいたりして」  

    豆の種類は左から、MEDIUM ROAST、DARK ROAST、BLEND DECAF WATER PROCESS、全て200g・1500円。

    ハードと言えばそれなりにハードだけれど、「ムードはほのぼのとしてますよね。空き時間にはみんなでサッカーしたり、ハンモックを持っていって昼寝をしたり。電気がほとんど使えないので、夕食も明るいうちに食べて、暗くなったら寝る。自然そのままの生活です。ちなみに電気が不足がちなので、コーヒーチェリーの脱穀も水力で行うんです。これも小規模農園だからできることですね」

    焙煎機はアメリカ製の熱風式のものを使用。

    クリーンエネルギーの力を借りながら、人の手によって100%オーガニックで作られるコーヒー豆は、味わいがその時々で変わることも特徴といいます。

    「多くのコーヒーメーカーの場合、バイヤーが毎年世界中を走り回って、できのいい豆を買い付けるのが普通です。けれど僕たちは基本的には同じ農園の豆を使うので、毎回必ずしも極上というわけにはいかない。でも、だからこそおもしろいのかな、と。お客さんも、その年の出来を楽しみに待っていてくださる方が多いんです」  

    もちろんおいしいコーヒーを提供することも大事だけれど、「オーガニック農法を選ぶことで、生産者が農薬に触れずに活動できて、環境にも配慮できる。それがまず大切なことだと思います」  

    トレードマークはカーゴ付き自転車。 豆を届けに、今日も町をひた走る!  

    かくして契約農家で大切に作られたコーヒー豆はアメリカへと運ばれ、本社を経由して、遠く離れたここBICYCLE COFFEE TOKYOへ。それを顧客の注文に合わせて焙煎し、パッケージングして、同じくスタッフの清水大輔さんとともに週に一度顧客のもとへ届けるというルーティンを、成田さんは2014年の配達開始以来7年間続けています。

    今年から「最新型E-BIKE」の「Specialized VADO SL 5.0」を導入。

    「配達先はオーガニックショップや外資系企業、カフェやヘアサロンなどいろいろです。今は感染症対策の関係もあって一部で宅配も利用していますが、都内はほぼ自転車で。銀座ならこれで、1時間くらいで回れちゃいますよ」  と、見せてくれたのは大型カーゴを取り付けたギア付き自転車。黒塗りボディに白抜きのBICYCLE COFFEEのロゴが、なんとも格好いい!

    「汗だらけで得意先のオフィスに入るわけにいかないので(笑)、夏はTシャツの替えを5枚は持っていきます。雨に降られるとちょっときついなと思いますけど、でも自転車で届けるのは純粋に気持ちいいです」  

    自ら配達して手渡すからこそ、生まれた縁もあるといいます。ファーイーストブリューイングという、東京のブルワリーとコラボレートしてのコーヒー風味のビールもそのひとつ。

    コーヒーの香りが癖になるビール。左・BICYCLE COFFEE STOUT 750円、 右・BICYCLE COFFEE IPA 750円

    「僕もビールが好きなので、コーヒーの香りが付いたらおいしいよね、なんて言ってたら簡単に話が進んで。毎年作っていて、今シーズンで4回目です」  

    小さい取引先ももっと増やしていきたいですね、と成田さん。コーヒーを介したつながりは、まだまだ広がっていきそうです。

    カフェではイートインもできる。アイスコーヒー400円。クロックムッシュは「柴又ベーカリーグッデイストア」のもので350円。

    倫理的という意味を含む、「エシカル」な経済活動が注目されつつある昨今。BICYCLE COFFEEの活動は確かにその先端にあるのかもしれません。けれど、それだけではくくれない大らかさを感じるのは、関わる人たちが純粋に自分の“好き”なこととして楽しんでいるからかもしれない。そんなことをふと思った取材でした。

    BICYCLE COFFEE TOKYO

    住所:東京都葛飾区金町2-27-12(サンウエスト ショールーム&ストア内)
    電話:03-3544-2751
    営業時間:木〜金12:00〜17:00、土日10:00〜17:00
    休み:月・火・水休
    https://bicyclecoffeetokyo.com/
    ※一般販売はオンラインショップからお申し込みください

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