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    2017.07.16 渡部郁子

    こんにちは、子連れライター渡部郁子です。

    山が好き、という子どもはいると思いますが、山登りが好きな子どもは少ないかもしれません。少なくとも我が家の3歳男児は、山に行くのは好きだけど、「登るのは疲れる」って言うし、どちらかといえば、山は登るより、登らずにどんぐりを拾ったり枝を拾って振り回してみたりすることのほうが楽しいようです。

    だから、子どもと山に登るなら、山の上に公園があって楽しめるところや、山の上で何か楽しいことが待っているような山、しかも登るのが苦にならない山。ロープウェーなどの乗り物があるのもいいし、動物がいるところもいいかもしれない…今まで、一緒に山に登ったことは何度もありますが、たいてい私が担いで登ることが多く、3歳の息子が自分の足で登頂できる山は、なかなか見つけられずにいました。

    低い山ほど、探すのが難しいんですよね。何事も最初が肝心。自分で歩いて登る初めての山が楽しければ、きっと登山も好きになってくれるはず。1_IMG_4475

    子連れでも登れる山とは?

    というわけで、頂上からの眺めがいいこと、頂上がある程度広くお弁当を広げられること、そして登山距離が短いこと。その条件をクリアできる山を探してみました。平地でもよっぽど機嫌がいいときで2~3km歩くのがやっとですから、頂上までの距離が1kmを越えない程度の山でないと、目的は達成できそうにありません。

    そして見つけたのが、東京・あきる野市の「弁天山」

    標高292m、登山距離は片道たったの0.5kmほど。往復にして1km。これなら「抱っこ」といわずに、登って下りてこられるかもしれません。地元では幼稚園児や小学生などが遠足に登る山なのだそうです。

    観光案内図を見ると、この山のハイキングコースはとなり山に縦走するコースになっています。きっと大人では物足りない山なのでしょう。縦走しなくても楽しめるのかどうか。実際に試してみました。2_IMG_4479JR五日市線の最寄駅「武蔵増戸駅」から歩くと、登山道入り口まで1km程度。赤い鳥居のその先に、本格的な登山道がはじまります。少し手前の標識で、「弁天山0.6km」と表示されていたので、赤い鳥居から山頂までは0.5kmぐらいというところでしょう。

    これなら3歳児が自分の足で登頂する、というチャレンジを達成できるかもしれません。そんな母のもくろみはつゆ知らず、鳥居の向こうに見える石段に興奮気味の息子は、我先にと走り出して、軽快に石段を登り始めたのでした。3_ IMG_4486

    すぐそばに住宅街があるはずなのに、それをまったく感じさせない自然豊かな登山道。木漏れ日の気持ちよさ、ふかふかの落ち葉のじゅうたんの心地よさに、思わず笑みがこぼれます。

    足元に落ちているどんぐりが気になるようです。しばらくじーっと眺めていたあとに、ひとつどんぐりを拾いました。その後もまだ、登ってきません。4_IMG_45045分、10分、どんぐりに夢中になりはじめたその場から、なかなか前に進めません。でも、急かさないでガマンガマン。きっとこのぐらいの年齢の子どもには、登頂という達成感よりも、どんぐりの形の違いを見比べるほうが数倍楽しいのでしょう。

    今までいくつもの山で、どんぐりの魅力のせいで登頂を諦めてきました。50mも進まないうちに、しゃがみこんでどんぐりに夢中になるから、この調子では登頂なんて絶対ムリ、と私が先に諦めてしまうのです。でも今日は、たった50mしか進んでいないけど、もう9合目まで来た!と思えるから、諦めずに待っていることができます。15分ぐらいどんぐりを見ていた息子が、やっと納得したように前を向いてまた登りはじめました。5_IMG_4520そのうち、登山道が見事な落ち葉のじゅうたんに変わりました。歩を進めるたびに、サクッサクッと枯葉が音を立てます。おもしろくて走り回る息子。そして案の定すべって転ぶ息子。でも起き上がるときは笑顔です。落ち葉がふかふかに積もっているので、まったく痛くなかったようです。

    登山道を行ったり来たり、無駄な動きが多いのでなかなか前に進みません。そろそろ登り始めて30分。私は「先に行くよ」と声をかけて、少し前を歩くことにしました。姿が見えなくなると不安になって走ってついてきます。それを何度か繰り返して、とうとう頂上に到着しました。6_IMG_4529眺めがいいね、と声をかけても、あまりピンとこない様子。遠景の場合、子どもはそれほど高さを感じることもなく、あまり興味がないようです。頂上に着いた、という達成感はないようでしたが、「一人で登れたね、すごいね」と声をかけると、びっくりしたような、照れるような表情を見せ、嬉しそうに笑いました。

    7_IMG_4537頂上で、マシュマロタイム。最近お気に入りの焼きマシュマロを作って、しばし休憩してから、もと来た道を戻ります。落ち葉のじゅうたんを一気に駆け下りていく息子。坂道を下るスピード感がたまらないようです。さすがに危ないので、手をつないではみたものの、登るときからは考えられないようなスピードで、あっという間に下まで降りてしまいました。登り50分、下り5分。8_IMG_4490標高があまり高くないので、夏は暑いかもしれません。どんぐりが落ちてくる秋から、雪を避けた冬の時期、そして春の芽生えの時期、続く初夏のころにかけて、小さな子どもの登山デビューにおすすめします。

    弁天山(292m)

    東京都あきる野市網代
    最寄り駅:JR武蔵五日市線「武蔵増戸駅」
    あきる野市観光協会・武蔵五日市駅前観光案内所/TEL042-596-0514

     

    渡部郁子(わたなべいくこ)

    アウトドアナビゲーター JFNラジオ「JOYFUL LIFE」(http://www.jfn.jp/RadioShows/joyful)パーソナリティほか、アウトドア、温泉、音楽をテーマに様々なメディアで情報を発信中。子連れライターとして、親子アウトドアの提案などを行っています。www.watanabeikuko.jimdo.com/

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