2016.03.05

【狩りガールになりたい!#2】総勢200人で「巻狩」猟!?

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狩猟

猟師は絶滅危惧種なんですよ」。そう語るのは猟師歴27年の杉本民雄さん(69歳)。祖父も父親も猟師であり、山には幼少の頃から慣れ親しんできた。

かつて、高知のニホンジカ(以下、シカ)の天敵は、ツキノワグマでもなくニホンオオカミでもなく、銃猟師だったと言う。現在、高知県内の猟師は約3800人。そのうち7割が60歳以上、30歳以下の猟師は1割りにも満たない。

「以前、高知県ではシカが乱獲され激減したんです。そのため、昭和51年から10年間はシカの捕獲が禁止されていたんですよ」。今ではすっかり害獣の地位を獲得しているシカにも、そんな時代があったとは。乱獲されたり保護されたり駆除されたり・・・人間界の都合で、やや申し訳ない気もちにもなる。

森の入口には、まだ新しめのシカの糞が…!

森の入口には、まだ新しめのシカの糞が…!

今、高知県内のシカは7~10万頭もいると言われている。「高知の山の環境には、シカは9000頭ぐらいがベスト。でも、駆除が追いつかないので、5万頭減らすことを目標としています」。平成25年からは毎年約2万頭を駆除しているものの、自然増殖を考えると、毎年3万頭を駆除しなければいけない。

昨年9月には、県総出の駆除作戦として「巻狩」が三嶺(高知県香美市)で行われた。「巻狩」とは、獲物を多勢で四方八方から取り囲み追い詰めて仕留める猟法のこと。

狩猟

高知県や香美市の職員、自然保護団体、山岳団体、猟友会、自衛隊など、総勢約200人が配置された。最後まで駆除に反対していた自然保護団体が協力するとは、それだけ、シカの増殖が他の動植物の存続までも脅かしているということなのだろうか? そんな大がかりな駆除作戦で捕獲できたのは、なんと、たったの5頭。駆除目標数達成はいつになるやら…。気が遠くなる。だが、杉本さんはこう言う。「考え方の違う者同士が一緒に捕獲活動を行った意義は、とても大きいんですよ」と。

狩りガールデビューを果たした女子のコミックエッセイ『狩りガールが旅するおいしいのはじまり』(あり・著/新岡薫・漫画/講談社)

狩りガールデビューを果たした女子のコミックエッセイ『狩りガールが旅するおいしいのはじまり』(あり・著/新岡薫・漫画/講談社)

「最近は女性でも狩猟に興味を持つ人が増えています。高知をはじめ日本の森を守るためにも、これからは、男女問わず若い猟師が必要です」。杉本さんの声に力が入る。

できることなら私も手を挙げたい。しかし、自分に猟師が務まるのか? 暴れるシカやイノシシに止め刺しができるのか? 肉質を落とさずスムーズに解体できるのか? まったくもって自信がない。猟師さんが営むお店に行って、少し話しを聞こうにも、なんとなくはぐらかされてしまうことも…。

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猟中は「本日 銃によるシカ捕獲作業中」と書かれたのぼりを、森の入口に掲げる

「猟師は自分の技術を他人に教えたがらないからね(笑)」と、杉本さん。「いろんな猟師に、今度、罠を見に行く時、一緒に行ってもいいですか? と、聞いて同行するといいですよ。そうやって仲良くなると、猟の話を聞ける可能性も高まります」。

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猟師への第1歩。それは、猟師さんとのコミュニケーション。地元の猟師さん、ジビエ宿やジビエ料理店を営む猟師さん、そして、今回のようなツアーで案内担当をする猟師さん。探せば、猟師さんと出会う機会はそれなりにある。あとは、ほんの少しの勇気を出して声をかけてみよう。「罠を見に行く時、ご一緒させてください」と。

高知家 エクストリームトラベル社
http://www.attaka.or.jp/kochi-extreme/
※今回のBBQツアー以外にもディープな高知を堪能するトラベルツアーを多数掲載中。

松鳥むう

イラスト・文・写真/松鳥むう(まつとり・むう)

島旅イラストエッセイスト
今までに訪れた日本の島は76島。島の人の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらう旅が好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島』『ちょこ旅瀬戸内』(いずれも、アスペクト)などがある。http://muu-m.com/

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