本誌はみ出し情報
廃校に命を吹き込む(2)
『森の巣箱』の玄関先。地元の交流の場としても活躍しています。

 おじいさんやおとうさんたちが、持ち山の木を持ち寄って建てた校舎。地域の願いの象徴ともいえる尊い建物を末永く残していくにはどうしたらよいか。
 導き出された結論は「観光への活用を考える前に、まず自分たちが何かを楽しめる場にしよう」ということでした。その考えのもと、旧・床鍋小学校は、複合農村施設『森の巣箱』に生まれ変わりました。

 『森の巣箱』は、外部利用者向けの宿泊機能も持っていますが、ユニークなのは地域住民のためのコンビニエンスストアや居酒屋も併設されていることです。田舎だってコンビニや居酒屋のような便利で楽しい空間が欲しい。それなら、廃校を利用して自分たちで作ってしまおうという発想です。また、分室を高齢者の生き甲斐創出の場として開放、JA(農協)と提携して作業場として活用しています。

 スタートに必要な資金は地区が出資、地区民全員が経営者であるという自覚のもとに、実際の運営は、地区から委託された運営委員会が行っています。
 年間の売り上げは、初年度が1500万円。2年目の昨年は、台風で道路が長期間寸断されるなどのトラブルがあったものの、1200万円を維持しました。事業としては大きな金額ではありませんが、人件費を地域の人のボランティアでまかなうことで抑えるなど、地に足のついた運営といえるでしょう。

『森の巣箱』の一角に設けられた“地域コンビニ”。地元でとれた新鮮野菜や日用雑貨を販売。

 『森の巣箱』という名前には、多くの子供たちが元気に飛び立っていった学校は、いつまでも心のふるさとであるという思いが込められています。廃校をリニューアル、自分たちがほんとうに欲しいものに特化した『森の巣箱』は、ひところ流行した(いや、今も進行中?)ハコモノ行政の対極にある、自立型施設ともいえるでしょう。

「まず自分たちが楽しむ」という発想のもとに生まれたイベントのひとつに蛍祭があります。さる6月4日に開かれたイベントには、700人もの鑑賞客がやってきました。貝ノ川床鍋集落は、今では葉山村でももっとも元気のある集落として知られています。

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