本誌はみ出し情報

小野田さんのタイの複製作り−初級編−

「死んだ飼育魚を捨てるのもしのびない」
と独学で剥製作りにチャレンジした小野田さん。その腕前はいまやプロ級で、採集仲間から作製依頼を受けることもしばしばだとか。その小野田さんに初心者向けの剥製作製方法をおうかがいした。(2004年11月号はみ出し情報)

まず事前に用意しておく道具と使い道について説明しておこう。

1)剥製の素材

これがなければ話にならない。入手先は鮮魚店でも、スーパーでもかまわない。
なるべく無傷の魚を選ぶのがポイントだ。

5)ボール紙、クリップ適宜

ヒレの棘条を固定するために使用する。あらかじめヒレの大きさにあわせてカットしておこう。
2)先の細いハサミおよびピンセット
眼球や内臓の切除に使用する。
6)人形用の眼球
3)先の細いスプーン
主に紙粘土の詰め込みに使用する。
7)色塗り用のアクリル絵の具、筆、コーティング用のクリアラッカー
4)紙粘土適宜
剥製の詰め物として使用する
 

これらのものが用意できたら、さていよいよ剥製作りの開始だ。

1.剥製の素材
今回の素材はマダイ。スーパーの鮮魚コーナーで販売されているものでもかまわない。ヒレや魚体にキズがないものを選ぶのがポイントだ。もちろんウロコのないヌメッとした魚は対象外だ。

2.眼球切除 3.内蔵切除【1】 4.内蔵切除【2】
まず眼球を取り除く。ピンセットや、先の細いハサミを使って、丁寧にえぐるようにして切除しよう。ハサミで要所をカットすれば、意外なほど簡単に取れる。 眼球の処理が終わったら腹部を切り開き、内臓と、エラを取り除く。その後軽く水洗いをして一夜干をする。干すことで皮が丈夫になり、中身の肉、骨がより取り除きやすくなる。なお、くれぐれも屋外で干さないこと。猫が持って行ってしまうとか。 骨はハサミで細かく切断する。内臓と一緒に取り除けるので、とってもラクチンなのだ。ステンレスの棒を曲げた「引っかき棒」を自作しておくととても便利。

5.下ごしらえ完
中身をすべて取り除き、皮だけの状態になったら、中性洗剤で3〜4時間漬けおく。これは油分の分解と元の柔らかさにもどすため。その後洗剤を水で良く洗い流し、タオル等で水分をよくふき取る。さてこれで下ごしらえは完了。次はいよいよ中詰め作業だ。

6.本格的作業
剥製作りの本格的作業はここからだ。あらかじめ十分に練っておいた紙粘土を、少しずつ内部に詰めていく。スプーンの先に粘土をつけて行うと作業もスムースに進む。紙粘土の色は白がベスト。有色粘土は、皮越しに色が透けてしまうのでノーグッド。   隙間ができないように、スプーンの腹で紙粘土を押しこんでいく。押さえた手で形を整えながら行うのがコツだ。力を入れすぎると皮が破ける場合もある。力加減には要注意。
お腹の部分は手で詰めこんだほうが早い。 スプーンを使って、詰めた紙粘土をならしていく。凸凹のないように、ときどきは全体の形状を確認する。一方の手を添えて行おう。 反対側も、うろこがはがれないように、頭部から尾部に向かって丁寧にならしていく。完成品を観賞するのはこちら側になるので、より注意深く行う必要がある。

7.整形作業
もっとも手間のかかるのが、各ヒレの棘条を広げる作業だ。ピンと伸びているかどうかが、作品のできをおおきく左右する。少々面倒くさくても型紙を当て、一条ずつ丹念に広げていこう。   棘条を広げたら、もう一方からも型紙を当て、クリップで固定する。はずれないように、数箇所をとめておきたい。
全てのヒレを固定し終わったら自然乾燥させる。期間は季節にもよるが、1週間程度はみておきたい。

8.目入れ
十分に乾燥させたら、型紙をはずして眼球部分の作業に入る。紙粘土をよく練って、眼球の空洞部分に詰め込んでいく。   眼球は人形やぬいぐるみ用に市販されているものを使用する。手芸店で入手できる。

9.色塗り 10.完成
色塗りは、アクリル絵の具で行う。微妙なグラデーションは、図鑑などを参考にしながら行うしかないが、ディティールにはこだわりたい。   全体の色塗りがすんだら、最後にクリアラッカーでコーティング。乾燥するのを待って完成だ。

11.小野田さんご満悦
「見せるための演出も大事です」
海岸で拾ってきた流木で作ったという額におさめて、小野田さんもご満悦。


さて、今回ご紹介したのは、
・片面を犠牲にして皮を切り取り、そこから内臓などの中身を取り除き紙粘土などを詰めるという方法だが、
・360度どの方向からも見ることができるリアル成型の「中級編」
・魚をより自然体に近づけるための「上級編」
もあるそうだ。とはいえ、その域に達するにはそれなりの経験と年数が必要。まずは初級編をクリアしてから取り組むことをおすすめしたい。


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